頭を動かせ、巡らせ、カナリアパンチ!
停止していた脳を動かせば、なんのことは無い。
彼女を疑ってはならないなんて簡単なことだった。
彼女の言葉はSOSだったのだ。
最初は警察を頼ったが、頼った刑事が殺された。
ならば他を当たるしかないと考えるのは妥当だ。
……でなければ、一糸乱れぬ動きに説明がつかない。
違和感を覚えるほどに───綺麗過ぎた。
好きな人ならば、死体の前で建前を気にするだろうか。
まだ恋人ではないとかそんなもの理由になるだろうか。
取り乱して然るべき、というのは偏見だろうか。
ポートワーク氏の話をする彼女に嘘はないと思った。
と、すればだ。
彼女から話を聞くのは得策でないだろう。
「───ドクター・エレキエル。このことはレディの父君はご存知か? 」
「今のところ、公爵の介入は無さそうに思われます、が……」
「表と裏。レディがボクを選んだ理由を確信に変えるためにも、公爵を洗いたい」
「……なら、現担当捜査官である俺にも咬ませろ。仲間外れにすんなよ、カナ」
嗚呼、この馴れ馴れしい声は……知らないフリしたい。
だが現担当と言われたら。
ヴィンセント・ポレフェン警部補。
ロバートの直属の部下であり、行方不明扱いの彼の代わりに指揮官をしている。
「ヴィンセント……。やはり貴様が後継か。仕方ない、頼めるか? 」
「余所余所しいなぁ。『ヴィンスお願い❤』くらい可愛く……ぐっ」
綺麗にストレートが鳩尾に入った。
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