『疑ってはならない』
まるで、レディイザベラだけが時をさ迷っていると思えた───。
一言一句変わらない彼への恋慕を語る。
彼女はこれをループして五回目なのだろう。
ポーカーフェイスを装い考える。
彼女を疑ってはならないとはどういうことなのか。
疑えばロバートのように失踪する。
剣はあれど魔法などないこの世界。
物理的要素が働いているはずだ。
───リリーン! リリリリーン!
おなじタイミングで電話が鳴る。
「レディ、失礼」
「構いませんわ」
こちらもおなじ台詞で話し掛け、
「はい、レイドール私立探偵事務所です。……は? もう一度。───少々お待ちください」
受話器の受話口を抑え、おなじようにボクはレディイザベラを見つめる。
彼女はハッとした。
「……『レオルド・ポートワーグ』氏によく似た男性が───遺体で見つかったそうです」
「まあ……! 」
同じ泣きそうな顔になるレディイザベラ。
「ご本人と決まった訳ではありませんが、ご同行されますか───? 」
「はい……、確かめさせて下さいませ」
控えめではあるが綺麗な刺繍が遠目でも分かるハンカチを握りしめ、涙をこらえる瞳でこちらを見据えていた。
……ドレスや仕草まですべて違わず、おなじだった。
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