2日目 登校①

 私は今、夢のセカイにいる。その内容は、昨日のかいくんとの帰路きろでの話など、諸々もろもろだ。

 現実世界の時刻は“07/01 水曜日 05:59”だ。今日から7月だ。これから本格的な夏が始まる。

 06:00、スマホが私を呼ぶ。私は現実世界に戻り、ベッドの上で上半身を起こし、スマホに“ストップ”というボタンを押してスマホに返事をする。

 うぅーん!っと体を伸ばす。そしてベッドから出る。そして、またまた体を伸ばす。体を完全に伸ばしきれていなかったみたいだ。

 洗面台に向かい、冷たい水を出し、手でその水をすくい、その水を顔にバシャバシャとかける。うん、目がめた。

 自室に戻り、パジャマを脱ぎ、学校指定の半袖シャツを着て、青を調ちょうとしたチェック柄のスカートを穿き、桃色のスクールベストを着て、紺色のハイソックスを穿き、最後に赤色のリボンを襟のところに付けて、着替え完了。

 洗面台に戻り、ヘアアイロンで寝癖を直す。今日は結ぼうかな?いや、ろしとこう。

 リビングに行くと、両親がいた。お父さんは新聞を読んでいて、お母さんは朝食の準備をしていた。

「「おはよう、もも」」

「おはよう、お父さん、お母さん」

 お互いに挨拶あいさつわす。

「桃葉、夏服、似合ってるわよ」

「ありがとう!」

「あら、ズレてるわよ」と言ってお母さんはリボンを直してくれた。

「ほら、これで可愛くなった」

「桃葉、学校は楽しいか?入学してから3ヶ月、新しい友達はできたか?」

 お父さんが唐突とうとつに訊いてくる。そりゃあ勿論もちろん、誡くんのおかげで楽しい。友達だってできた。

「うん、毎日楽しいよ」

「それはよかった。お父さん、安心したよ。3年間の高校生活、思う存分ぞんぶん、楽しみなさい」

「分かった」

「朝ごはんできたわよー」

 お母さんがキッチンから呼びかける。

 ダイニングテーブルに並んでいるのは、白く輝く白米、如何いかにも出汁だしが効いていそうな赤だしを使用した味噌汁、こうばしい香りがただよい、皮がパリパリに焼き上げられ、鮮やかなオレンジ色を見せる焼き鮭だ。いたって普通の和食を意識した朝食だろう。

「いただきます」と手を合わせて言ったあと、白米を口にする。うちでいつも食べているお米は新潟にいがた魚沼うおぬま産コシヒカリだ。お米の中で一番美味しい。

 次に焼き鮭をたしなむ。うん、あぶらが引き締まっていて美味しい。

 最後に味噌汁を口の中に流す。予想通り、出汁が効いていて美味しい。

 その後も順調に食べ、最後に味噌汁でしめる。

「ごそうさまでした」

「おまつさまでした」

 食べ終わった食器をシンクに持っていき、自室に戻り、カバンに今日いる教科書やノートなどを詰め込む。学校の準備はオッケー。そして、スマホを開く。スマホの時刻は“ 07/01 水曜日 07:00”を知らせている。学校に行くまではまだ時間がある。

 スマホのパスワードを解除してホーム画面へと飛ぶ。(パスワードはかいくんの誕生日)

 よし、Insta○ram見よう。

 アプリを開いて出てきたのは、猫ちゃんの写真。はぁ、何このアプリ。天国?可愛い子ばっかじゃん。癒されるー。

 ストーリーの欄には、オレンジを調ちょうとしたグラデーションの円の中に猫ちゃんがずらーっと並んでいた。もうここ天国じゃん。

 Insta○ramを見ているうちに、当たり前のようにだんだんと時間が経っていく。スマホの時刻を見ると“ 07/01 水曜日 07:25”を知らせていた。もう学校に行く時間だった。

 カバンを持って玄関に向かう。ローファーを履いて、「行ってきます」と告げると、お母さんがリビングから飛び出してきた。

「お弁当忘れてるわよー!」

「あっ、ありがとう」と言ってお弁当を受け取る。

「行ってらっしゃい。頑張ってきてね」

「うん、行ってきます」

「気をつけるんだぞー」っとお父さんがリビングから大きな声で言う。

 玄関のドアを開けて外へ出る。夏の日差しがまぶしい。雲ひとつない快晴である。ちょっぴり冷たい風が吹いている。清々すがすがしく、気持ちいい。


「おはよ、もも


 え?この声って…?もしかして…かいくん……?


「う、うわあぁっ!か、誡くん?!?!」

「びっくりさせちゃったかな?」

「なんで私の家知ってるの?!」

「あー、神崎かんざきさんに教えてもらった。『明日桃葉の家に迎えにいきたいから家教えて』って言ったら抵抗ていこうすることなく教えてくれたよ」

「あーりんちゃんかぁって誡くん、凛ちゃんと接点あったんだ」

「うん。中学校同じだったから」

「そういうことね」

「そっちこそ、昨日『一緒に帰ろ!家近いんだし!』って言ってたけど、なんで僕の家知ってるの?」

「あー、日東にっとうくんに教えてもらったの」

「あーときかぁってもも、常和と接点あったんだ」

「うん。中学校同じだったから」

「そういうことね」

「ほら、もう学校行こ!」

「そうだな。時間的に」


 私たちは海岸沿いを歩いて、文月ふみづきの風と海風を感じながら、「綺麗だね」と言って、海をバックにツーショットを撮った。そして、その写真は、お互いのスマホの壁紙になった。


 二人の恋は、まだまだ続いていく。



 観察ノート

りんちゃんと接点があった

日東にっとうくんはかいくんの友達






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