1日目 下校

 私は、勇気を振り絞って隣の席の琉宮りゅうぐうくんに告白した。その結果は両想い。琉宮くんも私の事が好きだったみたい。私たちはもう恋人。恋人という響き。いい響き。これからは琉宮くんと一緒。同棲どうせい生活もいつかしたいなぁ。高校卒業してからだけど。

 私の頭は、琉宮りゅうぐう かいまっていく。


 ※※※

 

 告白した次の日。私と琉宮くんが付き合って1日記念日。

 今日は火曜日。平日なので勿論もちろん、学校がある。学校に着いて教室に入って、席に座ると、隣には恋人の琉宮くんがいる。早く会うのが楽しみだ。


「おはよ、琉宮くん!」

「おはよ、水谷みずたにさん」

 私たちはお互い、挨拶あいさつわす。

「水谷さん、僕たちって、もう、恋人なんだよね..」

「うん。恋人」

「その、僕が今まで好きだった水谷さんと付き合ってるって事だよね?」

「今まで好きだったかは知らないけど、そうだよ」

「まぁ、これからよろしく!」


 琉宮くんはいまだに私と付き合ったって事を信じれてないみたい。付き合ってるんだよ、私たち。


「今日、一緒に帰らない?家近いんだし!」

 琉宮くんに訊く。Noでない事を信じる。

「いいよ。ちょうど話そうと思ってたんだ。一緒に帰ろって」

「私たち、考えることは同じね!」

「気が合うところがいっぱいあるんじゃないかなぁ?」

「犬か猫、どっちが好き?」

「「猫!!」」

「和食か洋食か。どっちが好き?」

「「和食!!」」

「もしデートに行くなら?動物園?水族館?」

「「水族館!!」」

「「無人島にひとつだけ持っていくとしたら?」

「琉宮くん!(水谷さん!)」

「私たち、気が合うことばっかだね!これはキセキ?」

「キセキだね!水族館、行こうな!」

「うん!約束!」


 私と琉宮くんはゆびきりげんまんをして約束をした。


 そのまま学校での一日が終わり、下校の時間になった。琉宮くんと帰る約束、忘れてないよ!

 

 私は何故なぜかたったの30秒で荷物をまとめてしまっていた。琉宮くんはというと、マイペース。まだ片付け終わってなかった。


かいっていつも荷物纏めるの遅いよな」

「まぁね。マイペースな性格だからそれに比べて、みなとは早いよな。帰りたい欲めっちゃ出てる」


 他の人と話してるともっと纏めるの遅くなっちゃうじゃん!茅野ちのくん考えてよ!!

 ここは茅野くんに言うべきなのか?話しかけたらもっと遅くなるって。いや、言うしかない。


「茅野くん、話しかけたらもっと遅くなるでしょ。実際、琉宮くん、手止まってるし」


 言ってなかったが、私こと、水谷みずたに桃葉ももはは普段、清楚せいそキャラだ。でも、琉宮くんとせっしてる時はハチャメチャキャラ。学校ではねこかぶっている。


「あ、そうだね。もうみんな教室の外出てるし、俺たちも行こうぜ」

茅野くんは素直に訊いてくれた。


 ☆☆☆


 茅野くんは他の友達と帰るらしく、私たちより早く教室を出ていった。

 今、私たちは玄関に向かうべく、誰も居ない廊下を歩いている。

 私は周りを見回みまわし、誰も居ないことを確認する。そして、琉宮くんにたずねる。

「ねぇ、私の手、にぎってくれますか…?」

 私はほおを赤らめながら、彼に尋ねる。

「急にあらたまってどうしたんだよ。いいよ」

 と言って、琉宮くんは私の手を取り、ぎゅっと握る。琉宮くんの体温が私の手に伝わってくる。


ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!


 私は今までにない程、心の中で叫んだ。その叫びは顔にも現れていたらしく、頬がさっきよりも赤くなっていた。体がポカポカしてくる。体温急上昇中たいおんきゅうじょうしょうちゅう

 私、今日で死ぬのかな。

 そう思いながら私はこのセカイに戻ってくる。

「水谷さん、さっき凄い顔赤かったけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ。あはははは」

「まぁ、水谷さんのその顔、可愛かったけど」

「むぅーっ。いい加減かげん苗字みょうじ&さんけやめてよ!名前で呼んで欲しいよっ!そのわり、私も名前で呼ぶからっ!」

 私は、タコみに頬をふくららませて琉宮くんに言う。てか頬赤いし、もう、私、タコじゃん。

「えぇー…ちょっと恥ずかしいよ…」

「ほらかいくん!勇気持って!」

「ちょっ!“誡くん”って!照れるじゃん…!逆に言えなくなっちゃったじゃん!!」

「気にせずーほらほら〜」

悪魔あくまか!!」

悪魔桃葉あくまももはです!早く言わないと悪いことしちゃうぞー!」

「あーもう分かったよ!桃葉!ほら、言ったよ!!」

「照れてしまい、天使桃葉てんしももはになってしまいました」

 私たちは、気付かないうちに学校の廊下から帰路きろに着いていた。と、そこに。


「にゃーっ」


「「あっ、猫ちゃん!!」」

 息ピッタリ、ハモってしまった。やっぱ私たち、気が合う。


 ハチャメチャな下校だった。でも、


「「楽しかったっ!!」」


 ひとつの記憶おもいでになった。



観察ノート


・誡くんは猫が好き

・誡くんは和食が好き(今度作ってあげよう!)

・デートに行くなら水族館(水族館のタコとして私をみてくれないかな?)

・無人島にひとつ持っていくなら私

・誡くんって言うと照れる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る