第69話 【ケイちゃんの話】クリスマスパーティーの夜
「かんぱーい!」
「乾杯!」
「マブーハイ!」
乾杯、何回目だよ。 お兄ちゃんの友達に、パパもママも混ざって、何度も乾杯してる。
パパもママもお兄ちゃんがお酒飲めるようになったから、すっごく嬉しいらしい。 ワイン、シャンパン、ビール。 持ち寄って、リビングで大宴会。
あたしは別に楽しくないけど、夕飯だし、英梨ちゃんいるから、そこにいる。
英梨ちゃんも、いてくれる。 ソファで、あたしの隣に。 あたしは甘えて、肩にもたれかかる。
「お酒って、美味しいの?」
「さあ。 好きじゃないからなぁ」
「あれ? 乾杯…」
「乾杯したら、グラス、誰かにあげちゃうんだ。 どうせ、飲んでくれるし。 いつも、車だしね」
そうなんだ。 うちは皆飲むから、大人は皆、好きなのかと思ってた(多分あたしも、飲める体質)。
「毎年皆、リビングで寝ちゃうんだよ。 お酒って、すごいね」
「そうなの? 私は去年、帰っちゃったからなぁ。 ケイん家、パーティーに寛容」
「ママ、騒ぐの好きだから」
だからね。
あたしは、英梨ちゃんのセーターを、くいくい引っ張る。
「皆が寝ても、英梨ちゃん、寝ないでね……」
午前二時。
皆が静かになってから、しばらく経つ。
あたしと英梨ちゃんは、順番にお風呂に入って、二人、あたしの部屋にいる。 ベッドに入って、手を握って。
「ケイんちは、お風呂広いね」
「そう? 自分ちだから、分かんないけど」
あたしは、パジャマに着替えて。 英梨ちゃんは、新しい下着で。
ぎゅっ、と抱きしめられる。 どきどきする。 あたしも、背中に腕を回す。
「英梨ちゃん。 好き……」
小さい声で、言う。 自分の部屋のドアはもちろん閉めてるし、階下の誰にも絶対聞こえないと思うけど、大勢いるこの家の中で、英梨ちゃんだけに聞こえるように。
「私も、好き」
そう言って、唇どうし、キスをする。 キスは長くて、あたしは、ますますどきどきする。
「な、なんか、キス、すごかったよ」
唇が離れたから、言う。 長くて、舌も入れられて、絡まって、えっちだった……。
「クリスマスだから、いいでしょ。 一年間で、一番エロい日だよ」
「それ、怒る人は、怒るよ……」
また、ちゅ、ちゅっ、てされる。
なんか、階下にみんながいるって思うと……。
「え、英梨ちゃん……? なんか、あたし、今日、ヘンかも」
「ん? どしたの」
「あたし、今日、なんか……。 とにかく、ヘン」
英梨ちゃんは、あたしのパジャマのボタンを外す。
寝る時は、ブラ、しないから。 キャミソールの上から、左胸に手のひらを当てる。
「どきどきしてる?」
「そうかも……。 いつもより、どきどきしてるかもしんない」
キャミソールをずらして、胸の先、口に含まれちゃう。
「あ……」
「かたくなってる」
やだ。 言わないで。 あたしは、首をふりふりする。
「興奮してるの? ケイ、かわいい」
「か、かわいくなんか……。 てか、興奮なんて、してないし」
「そうだよね、ごめん、ごめん」
う……。 余裕の、英梨ちゃん。 あたしより、ちょっとお姉さんなだけなのに。
しばらく、そのまま、胸、キスされる。 あたしはもう、気持ちが良すぎて、どきどきが止まらない。
「え、英梨ちゃん。 あたし、あたし、気持ちいいみたい」
「ん」
初めて、自分から、言う。 すっごい、恥ずかしいけど……。 もう、我慢できない。
「あの、下、さわって…?」
「うん」
ほっぺにちゅ、としてくれて、右手を、あたしのパジャマのズボンの中に入れる。
「あ、あ、あっ」
「すごい、濡れてる……。 ケイ、そんなに、気持ち良い?」
あたしは、こくこく頷く。 声、出そう。 口を開けて英梨ちゃんの顔を見ると、キスで塞いでくれる。
「ん、んっ、ん」
すっごい、気持ちいい。 何これ?
指で、すごく濡れてるあそこを撫でられて、唇は、キスで繋がって。 腿で、英梨ちゃんの手、ぎゅっと挟んでしまう。 それでも指は、撫で続けてくれる。
「んんっ……んっ……!」
「え、英梨ちゃん。 あたし、なんか、すごかったかも。 なんか…… 初めて…… いった? いったかも……」
「いってたと思うよ。 だんだん声、おっきくなってたし、身体もあったかくなって…」
「いい! もう、ストップ。 恥ずかしいから、もう言わなくて大丈夫」
英梨ちゃんの口の前に、手のひらで、ストップ!ってする。 英梨ちゃんはあたしの手のひらにちゅ、とキスをして、
「なんかさ。 声出さないようにえっちするの、いいね。 かなり興奮するよね」
と言った。
あたしは英梨ちゃんに、
「それ、保健室でも同じ事言ってたカップルがいた」
って、教えてあげた。
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