第64話 初冬のお茶会

「先生のお誕生日、最高だった……。 また、お誕生日にならないかなぁ」

「心配しなくても、来年また同じ時期に誕生日だから」

 ケイとハンバーガー屋さんで、お茶。 めっきり寒くなって、カフェラテも、ホット。 ケイは向かいの椅子、いつも通り、ポテトの大きいやつ。

「結局、何あげたの?」

 ポテトにケチャップを付けながら、質問される。

「えっ…… えーと。 ひくと思うから、言いたくない」

「何それ。 あたしも、英梨ちゃんのプレゼント、教えたじゃん。 言いなさい」

 ポテトを一本、口に突っ込まれる。

「むぐ……。 ひかない?」

「今さらじゃん。 ひかないよ」

「実はね……」



「ええええ~……」

 体ごと、ズザザーっと、ひかれる。

「ほら! ねえ、ひかないって言ったでしょ。 戻って来て。 ひいちゃ、ダメ」

「ひくでしょ。 何、その誕生日プレゼント……。 エロすぎだよ、二人。 いつか二人が我慢できなくなって、日中、学校の廊下とかでおっ始めるんじゃないかって、心配だよ」

「あ~……。 そうならないように、定期的にやっとかないとだね!」

「冗談で言ったのに……」



「でもさ。 お泊まりデートできるのも、入試近くなったら、難しいよね。 大学、夕陽は一般で受けるんでしょ」

「うん。 推薦もらえるほど、成績よくない。 部活もやってないし。 一月半ばに共通試験で、二月末に、二次試験」

「あたしは一応、指定校で受けちゃったからさ。 夕陽、ほんと、応援してる。 あんたしか、友達いないんだから。 応援しまくるからね」

 両手を、ぐっと握ってくれる。 

「ありがと。 うれしい」

「でさ。 あの~、クリスマスって……なんか、する?」

「去年は、お泊まりとかしなかったから。 冬休みだったし、メールだけした。 お正月も。 ケイは? 英梨ちゃんと、デートするんでしょ」

「それがさ。 デートっていうか、家でパーティーなの。 最悪。 お兄ちゃんの友達、7人くらい来る。 二人きりが良かったのに」

「でも、英梨ちゃん来るんでしょ。 抜け出して、部屋で静かにえっちすればいいじゃん」

「いやそんな…… そういうことじゃない! したいわけじゃなくて、二人でお出かけとかがいいの! あたしは」

「あ……そうなの。 てっきり、クリスマスえっちがしたかったのかと」

「性欲魔人め。 そんなカップルばかりではない、この世は」

 し……知らなかった。 みんな、クリスマスはえっちするんじゃなかったのか。 先生にも、あとで教えてあげよ。



「でも、クリスマスかぁ」

 あと、ひと月もない。 先生は、きっと一緒に過ごしてくれる。

「私、自分の親にね、頭いい、カッコいい、年上の人と付き合ってて、一人暮らしのお家、泊まりに行くって言って、実際行ってるから。 全然、親、許すと思う」

「まじか~。 夕陽のママ、すごいね。 学校の先生だって事は……まさか、言ってないんでしょ?」

「さすがにそれは。 あと、ママは、男の人だと思ってる。 避妊しろってめっちゃ言われた」

「まあ、そうかもね。 つーか、そういう事、親子で言うの、すごいね」

「うちのママ、できちゃった結婚だし、若かったから……。 離婚してるし。 そこは、ハッキリ言ってくる」

「そうなんだ」

「クリスマス……なんか、楽しみになってきた。 お泊りの前に、いっぱい勉強しとこ。 えへへ」

「すけべ~。 新しいなにかを試したら、教えて、師匠」

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