第21話 春の連休 三日目、旅行の終わりに



 ふふ。 くすぐったい。 いやだ。 うそ、いやじゃないよ。

 こちょ、こちょ。 誰? 私のお腹、くすぐるのは…



「おはよう、お寝坊さん」

「先生」

 先生は私のおへそに、キスをする。 くすぐったい。 かわいい、先生。

「可愛かったから、つい。 眠りながら、笑うんですもの」

「夢かと思った。 くすぐったい、夢かなって」

 おへその周りを、爪でこしょこしょ、くすぐられる。

「えへへ、くすぐったい。 やだあ」

「ふふ。 可愛い。 いい子、いい子」

 そう言って、今度は腰骨の上を、軽く噛む。 薄い噛み跡を、長い舌で、舐める。

「あっ……。 先生、ってば……」



 どきどきしたまま、朝ご飯を食べた。 お腹のまわりにキスしたり、こちょこちょ触ったり、されて。 何だか、お腹の奥、中まで、くすぐられるような感じが、気持ちよくて。

「もう、終わりかあ」

 連休はまだ、あと二日あるけど。 楽しい旅行は、今日でおしまい。

「まだ、終わってませんよ」

 私たち二人、また、部屋のベッドで、抱き合う。 朝ご飯から帰ってきて、館内着の作務衣を脱いで、下着姿で。

 先生は、私の髪を撫でてくれる。

「あなたをちゃんとお家に届けるまでが、旅行ですから」

「家に帰るまでが遠足、みたい」

 目を合わせて、ふふっ、と先生も笑う。

「家、帰りたくないなぁ」

 腕に力を入れて、ぎゅうってする。 離れたくない気持ち、伝わるかな……。

 先生は、おでこにちゅ、とキスしてくれる。

「お母様、待ってるから。 楽しかったかな、まだかな、って。 温泉やご飯のお話、して差し上げて」

「いっぱいえっちした話、しちゃおかな。 なんちて」

「まぁ。 びっくりさせてしまうわ。 そういうお話は、あなたが卒業してからよ」

 卒業しても、えっちの話は、ママにはできないよ!



「先生、帰る前に、もう一回、したい……」

 お化粧終わって、着替えて。 部屋もあらかたきれいにしたけど、チェックアウトまで、まだあるから。 離れる前に、くっ付きたい。

「ふふ。 可愛い子」

 大きなソファに腰掛けて、キスをする。 

 先生の首に、腕を回す。 お互い、最初から、舌を絡ませて。 私は、ん、ん、と喉が鳴ってしまう。

「キス、気持ちいい?」

「大好き……。 ひとりでしてる時も、キスのこと、考えてる」

 家ではキス、できないから。 二人の時に、いっぱいもらうんだ。

「先生、あのね」

「なあに?」

「昨夜してくれたやつ……。 してほしい……。 あそこ、くっ付けるやつ……だめ?」

 昨夜の、女の子どうしの、セックス……。

 あんなの、忘れられない。 今まで生きてきた中で、一番、最高だった。 思い出すだけで、お腹の下の方、もじもじして、きゅんとしてしまう。

「だめなわけ、ないわ。 気持ち良かったの?」

 私は、こくこく頷く。

「どんな風に良かったか、教えて」

 先生は、私をくるっと回して、背中から抱く。 私のショートパンツだけ脱がして、お腹、おへその周りを、指でさわさわする。

「せ、先生のあれと、私のあれが、こすれて。 普通に指で触っても、気持ちいいのに。 すごく、よかった」

 こんなこと、言わされて。 絶対、パンツの中、濡れている。

「それだけ?」

 意地悪。

「あと、い、いつもは、先生がぎゅってしたり、抱きしめてくれたりして、指、もらってたけど。 昨夜した時は、あの……」

 これ、言うの、恥ずかしい。 言い淀んでいると、おへその下を、とんとん、と指先でノックされた。 先生、それも、えっちなんですけど……。

「昨夜は、先生に見下ろされて、あの、それが、すごく、興奮したの……」

 ああー。 言っちゃったよ。 恥ずかしい。 私は両手で、顔を覆う。

「どうして、お顔隠すの」

「恥ずかしいからだよ……」

 お腹も、ずっとさわさわされてるし。 お腹触るの、完全に、えっちだよ。

「じゃあ、昨夜みたいに、しましょうか」

 また、くるっとさせられて、向かい合わせに。 そして、覆い被さって、押し倒される。 パンツ、脱がされる。

 先生も下を全部脱いで、自分のそこを、触ってる。 先生の指が、濡れる。

「先生の指、なめたい」

 先生は、指を私の口に差し込んでくれる。 私はわざと音を立てて、唾をいっぱい付けて、舐める。

「いい子ね」

 そう言って、私の脚を、ぐいっと開かせる。

「こんなに濡らして、かたくして」

「先生が、そうしたんじゃん……」

 指が口に入ったまま、答える。 めちゃめちゃ、興奮する。

 私、意地悪されるの、好きみたい。 先生、意地悪なこと、言って。 ちょっとだけ、痛くして。 私のこと、見下ろして……。

 先生は私の口から指を抜いて、その指をぺちゃぺちゃ、舐めてくれる。 舐めてるお顔、きれい。

 そして、私のそこと、先生のそこを、ぴったりくっ付けてくれる。

 あれとあれが、くっ付き合う。 かたくなって、存在を主張する、気持ち良いだけの、あれが。

「あ、あぁ……。 先生のと、くっ付いてる……」

「気持ちいい?」

 そう言って、両手の指を、絡めてくれる。 指を絡めたまま、お互いが擦れるように、動いて。

「いい……。 さいこう……」

 二人とも、濡れてるから。 にゅるにゅる、潤滑油にして、気持ち良いのが増幅される。

「先生、すき、すきなの。 先生も、すき……?」

 知りたい。 先生のこと、もっと。 他の人には絶対見せないところ、くっ付け合えば、先生の気持ち、分かる気がして。

「大好きよ。 気持ち良いこと、嫌いな人、いないわ」

 いつもより、少しだけ息を荒くして、答えてくれる。 それでも、私より、ぜんぜん余裕。

 でも、聞きたいのは、気持ちいいことの、ことじゃない……。

「ちがうよぅ、わたし……。 ゆうひのこと…… すき?」

 好きって、言って。 先生。

 先生はふふっと笑って、でも私が大好きな意地悪な顔で見下ろして、言った。

「当たり前でしょ。 夕陽ゆうひ。 この世で一番、好きよ」

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