18話目

「全てに…当てはまった…?」

アイは困惑した様子で立ち止まった。

「ま、待ってよ、コウは、結局なんなの…?」

縋り付くように尋ねる。

レンはアイの様子を見て「いきなり言い出してもわからないよね、ごめん」と言った。

「だ、だって、レンは魔法使いで、コウは人間…でも、魔法が使えるように当てはまった人間…?でも、じゃあ、あの時レンが言ってた最上級魔法って…!」

アイがパニックになって言うと、レンは「ちょっと待って?あれ聞こえてたの??」とツッコミを入れた。

「…仕方ないなぁ、もう全部話すよ!」

レンはバツが悪そうに頭をかくとムッとして言い出した。

「ぜ、全部教えてくれるの…?」

アイが不安そうにレンを見ると、レンは「教えていいのかは知らないけどね」と言った。

「コウくんはさ、多分病気じゃん?何で植物状態になったのかどうかはわからないけれど…わかってることは、アルビノ、植物状態の2つだ。

いや、もう1つあったね…あの夢の世界に来れること。」

レンが話していると、アイは「ちょっと待って」と話をさえぎった。

「え。なに?」

レンは不思議そうにアイを見る。

「あの夢の世界って普通は行けないの…?」

「あれ、ボク説明してなかったっけ?あそこは精神世界。アイちゃんのね。」

アイの質問に、レンはキョトンとして答えた。

「…じゃあ何でレンは居たの」

アイはレンを呆れたように睨んで尋ねた。

「ん?ボク?ボクは精神干渉魔法の練習してたから侵入しただけ」

「人の精神世界を練習台にしないで!」

アイがイラついた様子で言うと、レンは「ごめんごめん」と全く反省の色を見せずに謝っていた。

「ま、話を続けるとだね。ボクはまあ、魔法で入ったわけだけど、コウくんは謎なんだよね…ずっと眠ってる人間なわけだし…」

「確かに、わたしとコウは夢の世界で初めて会ったし…」

アイとレンは考え込んでいると、レンはハッとして

「ていうか立ち止まってる場合じゃないじゃん!一旦アイちゃんの家行っていい!?」と焦った様子で言った。

「う、うん、いいよ…」

アイが若干困りながらも了承すると、2人は足早にその場を離れた。


アイの家に着くと、レンは「さて話の続きだ。」と言い出した。

「でもね、本当にわからないんだよね。

何かのサインなのか…それともただ単なるバグか…どちらにせよ、彼が危険人物であることは確かだ。

人間が最上級魔法と同等の能力を所有しているわけだからね。」

「き、危険だとなんかあるの…?」

アイが恐る恐る尋ねると、レンは一瞬硬直したあと、俯いた。

「危険だと…」

レンはゆっくりと顔を上げた。

その顔は、ひどく真剣だった。

「危険だと…殺処分かもしれない。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛のない世界で ぺるそな @NOZOUSA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ