17話目
「ねぇ、レン…わたし、どうすればいいの?」
アイは震える声で尋ねた。
レンは困ったように笑い
「どうしようもないよ」と言った。
「どうしようもないのに、生きてるの?」
アイが、また尋ねる。
「どうしようもないから、生きてるんだよ」
レンは笑って返した。
そんな話をしながら、進む。
人々には見えない2人は、ひたすらに進む。
「…ボクね、優秀だけど落ちこぼれな魔法使いなんだ」
レンが話し始める。
アイは、顔を上げてレンを見る。
「魔力量は優秀なくらいあるんだけど、魔術の才能がないんだよ」
レンは笑って言う。
「だからね、今のこの魔法も完璧じゃないよ。霊感がある人には見えているんじゃないかな」
レンは、辺りをチラリと見た。
すると、一瞬こちらを見た人は急いで顔を逸らしていた。
「あははっ、幽霊だと思っているんだろうね。顔を逸らすだなんて酷いなぁ」
レンは笑いながら、続ける。
「だからね、ボク、優秀な人が羨ましいんだ。すごい人が、憎い。嫌悪感すらあるくらいだ」
レンは、笑顔を崩さない。
「…レンにも、憎悪とかあったんだね」
アイが言うと、レンは「酷くない!?それ!」と言いながら笑っていた。
「そうだね…魔法の話でもしようか」
レンの言葉に、アイはキョトンとすると
「それ、話していいの?」と尋ねた。
「あははっ!ダメだろうね〜。でも、聞いて欲しいんだ、これからの為に。」
レンは笑って振り向いた。
笑ってこそいるものの、どこか真剣な眼差しだった。
アイは黙って頷いた。
「…じゃあ、進みながら話そうか」
「魔法はね、当たり前だけれど、人間には使えない筈なんだ。
でも、一部例外が居る。
それは、何かしらで魔力を獲てしまった人間だ。何かしらって言うのは…例えば、大きな憎悪とか、悲嘆とか…____絶望とか」
レンの言葉を聞き、アイは立ち止まった。レンは振り向き、悲しそうに笑った。
「多分、彼は
____全てに当てはまったんだろうね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます