2話目
「生き物とかも居ないね〜、つまんないなぁ」
「……」
アイは無言で歩き続ける。
「あっ!あそこに何かいるよ!アイちゃん!」
レンの声で振り向くと、大きな魚のような生き物がいた。
「どう見ても大きいよね〜」
「…うん」
レンはケラケラと笑うと「さて、行こうか!」と言った。
どこかに行き場所があるわけじゃない。
帰りたいわけでもない。
ただ、どこかに行きたい。
「それは、ボクも御一緒していいかな?」
レンが顔を覗き込んでいた。
アイはキョトンとし、口を開いた。
「ついてきて、くれるの?」
「勿論!多分ね、君とボクは似たもの同士なんだよ!ボクもどこかに行きたいんだ!」
そう言い、レンは手を差し伸べた。
(この人なら…わたしをわかってくれるかもしれない。)
アイは、改めてレンの手をとった。
レンは嬉しそうに目を細めると「改めてよろしくね!アイちゃん!」と笑った。
その笑顔の直後に、爆発音がした。
ギュッと目を瞑る。
目を開くと、レンが笑顔で居た。
「大丈夫?アイちゃん」
「…何の音?」
アイが呟くと、レンは笑顔で「あ〜、あれだよ!」と言った。
見ると、先程の大きな魚のような生き物が、何か黒いものを吐き、その黒いものは大きな爆発音と共に爆発した。
アイはギュッと目を瞑ってから
「…ねぇ、あれこっちに来てない?」と言った。
レンは楽しそうに「来てるね〜!」と笑った。
「さてじゃあ…戦うしかないか!」
(…何言ってるんだ、この人。あんな怪物勝てるわけもない。ましてや人間だし…)
アイが考えていると、レンは「んじゃ!ここはボクに任せてくれ!説明が省けそうだしね!」と言い、手を振った。
(…?説明が省けるって…)
「さぁ怪物くん!こっちだよ!」
レンが手を上げると、大きな魚のような生き物、怪物はレンの方を向いた。
「あはっ♡脳はないみたいだね!呼ばれて向くだなんてバカみたい!」
レンは嬉しそう…いや、もう変態レベルの歪んだ笑顔を浮かべていた。
「ねぇもう我慢できないっ!始めようか!最高のお遊戯をっ!」
レンが言うと、レンの回りに大量の銃が現れ、銃口を怪物へ向けた。
「せーのっ!Recital Time(お遊戯の時間)!」
掛け声と共に、大量の銃が一斉に発砲した。
レンの楽しそうな「もっともっと!」という声に合わせて、どんどん発砲していく。
怪物は避けることも出来ず、みるみる削れていき、そして消えた。
一瞬の出来事だった。
レンは「あ〜楽しかったぁ…♡」と恍惚の表情を浮かべていた。
アイが呆然としていると、レンは「どしたの?」と顔を覗き込んだ。
「あ、あなたは…一体…」
「ボクはね〜…『魔法使い』だよ!」
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