自分のために
夏休みが残り一週間となった日、龍はいつも通り机に座って勉強をしていると電話がかかってきた。隼からだった
「もしもし」
「龍今日、今から遊園地いかない?」
「なんで急にそんなことになったんだよ」
「それは最近、全然会ってなかったじゃん。だから久しぶりに会いたいなって思ってさ。それに一樹は、もう行くことになってるからさ~。絶対来いよ!」
「ちょっと待てよ」
『プ~プ~プ~』
「あの野郎~!まあこうなった以上、行かないとな」
そういうと龍は少しだけ準備をして家を出た。
遊園地に着くと隼と一樹がベンチに座っていた
「お~い龍こっちこっち~」
「おい隼、お前勝手に電話切んなよ。俺は今日は家で勉強する予定だったんだから」
そんな話をしていると
「あのさ~。あそこにいるのって美月さんと美鈴さんそれに美侑さんじゃない?なんか男の人達に囲まれてるけど」
「なに!」
「あ、ホントだ。確かに男の人達にナンパ?されてるね」
「助けなきゃ」
「そうだね」
「ねえねえお姉ちゃんたち女の子だけで来たの?」
「俺らといいことしない?」
美月たちは初めてのナンパに困っていた
「いえ結構です。皆行こう」
「「うん」」
そう言うと美月たちは歩き出した
「そんなこと言わずにさ~」
そんなことも言われたが無視して歩いていると
「無視してんじゃねーよ!」
男の一人が美月の肩を引っ張る
「やめてください」
美月はその男の手をどける。するとその男が
「痛って―な。ふざけんじゃねえよ」
美月に手を上げようとした時、龍が何とか間に合いその男の手を掴んだ
「誰だよお前!」
「俺はこの子の彼氏だよ!人の女に手出すんじゃねえよ」
「ちっ!なんだよ彼氏持ちかよ。じゃあ他の子はもらっていくぞ」
「「悪いな俺この子の彼氏しだから」」
一樹と隼だった。
「なんだよ全員彼氏持ちかよ」
「あ、警備員さんこの人たちです!」
周りで見ていた人が警備員を呼んできてくれたようだ。男達は警備員に連れられていった。
「龍なんでここに来てるの?」
「ああ、それはね隼に来いって言われてさ」
「そ~なんだ。そうだ六人で一緒にアトラクション回らない?」
「いいけど」
「じゃあ決まり。皆行こ」
そう言うと歩き出した。
「そういえば一樹と隼、付き合ってたの?美鈴さんと美侑さんと?」
「ああ、そうだよ俺は美侑と一樹は美鈴と付き合ってるぜ。言ってなかったっけ?」
「初耳だわ。まあ良かったな」
「おかげで今、凄い幸せなんだ」
龍はこの話を聞いて今の状況がトリプルデートみたいなものだと思った。そう考えていると
「龍、ジェットコースター乗ろうぜ!」
隼がジェットコースターに乗ろうと誘ってきた
「え、ごめん無理。ジェットコースターだけは絶対無理」
「龍は本当に高い所、無理だよな~」
龍は絶対無理と言っていたが少し迷っていた何故ならジェットコースターに龍が乗らないとなると皆に迷惑がかかると思ったからだ。ここまで龍が高いところが苦手なのには過去にあった出来事が原因なのだ。その出来事とは、龍が小学生の時に、遊んでいたジャングルジムから落ちて大怪我をしてしまった事もあり高い所に恐怖心を覚えてしまったのだ。
「どうする?龍が乗れないってなると別のアトラクションの方がいいんじゃない?」
皆に迷惑をかけたくないという龍の気持ちが勝ったのか
「やっぱりジェットコースター、乗ろうぜ。」
龍のいった言葉にみんなびっくりしていた
「別に無理しなくてもいいんだよ龍。別のアトラクションに乗ればいいし」
「大丈夫だよ。俺も高い所が苦手なところ直さないとなって思ってたし。いい機会だからチャレンジしないと」
「そうと決まったらいくぞ!席は恋人同士のペアでいいよな」
「「いいよ」」
そしてアトラクションに乗り終わった龍と美月はベンチにいた。龍は美月に膝枕してもらいながらみんなを待っていた。龍は予想通り乗っている間ずっと目をつぶっていた。そして酔ってしまった。
「龍、大丈夫?」
「ああ、少しは落ち着いてきたよ。ごめんな。お前に迷惑かけたのに膝枕までしてもらって」
「別にいいよ。でももうあんまり無理しなくていいからね。自分の事を常に一番に考えて。嫌だったら無理って言っていいから」
「分かったよ」
「わかればよろしい」
そんな会話をしているとアトラクションを終えた隼たちが戻ってきた
「またせてごめんな」
「いや大丈夫だよ」
「よし。じゃあ次々乗ってこうぜ」
その後、時間ギリギリまでアトラクションを回った
『まもなく閉園の時間です。まもなく閉園の時間です』
「もうこんな時間かじゃあ今日はここで解散。また夏休み明けな~」
隼がそう言うとみんな帰っていった。龍も帰路を辿った
家につき龍は自分部屋に戻った。龍は美月が言っていた『自分の事をを一番に考える」ということが頭から離れなっかった。今まで龍は自分の事を一番に考えた事がなっかった。
「自分の事を一番に、か難しいな」
どこからどこまで一番に考えないといけないのかが龍は、なかなか分からないまま夏休み最終日を迎えた
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