第11話 触ってくる子


 福岡に引っ越して、二カ月ぐらい経ったころ。

 僕は慣れない環境に、合わせるのに苦労していた。


 だが、クラスの同じ班になっている森盛さんが、よく話しかけてくれるから、「あれ、イケちゃう?」とテンション爆上げで通学していた。


 いらない情報だが、僕の髪質は天然パーマだ。

 家族はみんな天パー。

 そして、ボンバーヘアだ。


 正直、この天然パーマには悩まされた。

 なにかってと、すぐに「あの天パー、イカ臭い」とか言われる。

 コンプレックスだった。

 だから、ストレートヘアに憧れていた。


 ある日、森盛さんが、いつものように僕に話しかけてくる。


「ねぇねぇ、童貞くんってさ。その頭……」

 言いかけて、すぐに察した。

 どうせ、森盛さんも僕の頭をけなすんだ。

「そうだよ。だから、なに?」

 ちょっとすねて見る。

「すごく柔らかそうっちゃ! 触ってもよか?」

「え……」

 僕の予想と反して、彼女は目をキラキラと輝かせてる。


「ね、よかやろ?」

「う、うん……」


 そっと頭を差し出すと、彼女の小さな手が優しく触れる。


「うわぁ、思った通り、フワフワで柔らか~いっちゃ!」

「そ、そう?」

「うん、バリ気持ちよかぁ~」


 その間、僕はずっと頭を撫で回される。

 たぶん5分間ぐらい触られた。

 

 森盛さんは嬉しそうに「柔らかい、柔らかい」と言っていたが……。


 机の下で、僕の股間はギッチギチに硬くなってしまう。


「どうやったら、こんなに柔らかくなると?」

「う、さあ……」


 必要以上なまでのボディタッチ……いやヘッドタッチ。

 触るなら、下のヘッドにして欲しいものだ。


 この子、僕に惚れているどころか、初めてを捧げる覚悟だな!?

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