港町

 穏やかな潮騒

 しょうゆの香り

 人々の絆

 ちょっぴりきつめの町言葉


 どれもみんな好きだった

 だけど今では錘のように

 私の胸を締め付ける


 あなたと過ごしたいくつもの時が

 荒波に押し流されてゆく

 そびえ立つ灯台も

 小さな電車も

 優しいあなたの声も

 団子の味も……


 あの日々はもう帰らない

 帰らないけど時は過ぎ

 私もあなたも年重ね

 それぞれの道歩んでく


 一度移ると決めた町

 今ではもう、遠い町

 そんな異国を飛び出して

 新たな人と歩む道

 きっと素敵な日々になる

 そう願ってもいいですか


 あなたに捧げたいくつもの時を

 そっと心にしまったら

 ほんのり塩の香りがした

 それは熱い涙となって

 私の頬をそっと濡らした


 もう二度と行かぬ町

 懐かしい気持ちになれた町

 あの風景は津波のように

 私の目から離れてく


 今なら言える

 心いっぱいの「ありがとう」

 今ならきっと

 あなたからのエールを

 素直に受け取れるかもしれない


 私、幸せになるから

 あなたも幸せになってください

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