「風船」によせて

我慢の限界がくると、プツンと何かが切れたように、言いたいことをわあっと言ってしまいます。

良くないことだとは分かっているのに、言いたくて気が済まないんですよね。

それで、気が済むまでわあっと言ってから激しく後悔するんです。


テレワークでお仕事をする前、「通勤ラッシュ」を経験しました。ものすごいスピードで駅構内を走る人、人、人にうんざりしたり、電車でギューギューに押されたり……。

行きかえりだけでぐったりしてしまいました。

通勤ラッシュでもみくちゃにされるストレスに、家や職場でのイライラが重なって、人込みの中、恥ずかしさも忘れて怒鳴った日が何度あったことでしょう。

もちろん、故意にではありません。やってしまった後、「ああ、なんてことしちゃったんだろう」とむなしく申し訳なくなったのは言うまでもありません。


そのことをふと友人にもらしたら、

「心の中の風船が爆発しちゃったんだね。でも、その後で反省の気持ちが生まれたのはいいことだと思うよ」

と言ってくれたんです。心がすうっと軽くなったのを覚えています。


そうか、心の風船か……。

歩きスマホやらヘッドホンから音漏れさせながら走ってくる人にぶつかられたとき、すでに心の風船は膨張を始めてしまってどうすることもできなかったんだ。

怒鳴ったときはきっと、広範囲にかけらが飛び散ったことでしょう。

今度は怒鳴るのではなく、「人のふり見て我がふり直せ」の精神で、「危ないですよ」とやんわりと言ってみようかしら。

そして親切を受け取ったら、心の風船に優しい気持ちや感謝の気持ちをたくさん詰め込んで風にのせて誰かに届けたいです。

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