第8話 「お待たせしました」
中村さんと別れ、俺は更衣室へと向かっていた。その道中、俺は、「よし、今日は早く終わらして早上がりでもさせてもらおうかな?」などと考えていた。そして、仕事場へ行き、いつものように挨拶をしていた。
「前田さん、おはようございます!」
「おっ、木村さん!おはようございます。また久しぶりですね」
「一応、週2くらいでは入ってるんだけど、同じシフトの日がないと会わないですからね~」
やっぱり木村さんと話すと落ち着くし、さらに話したいことなどが出てきてしまうが、俺は今日は中村さんとの約束があるため早めに切り上げた。
「そうなんですよね!じゃあ今日もよろしくお願いします」
「こちらこそ。がんばりましょう!」
そして俺は厨房へと向かった。
「おはようございます。」
と聞こえたので、振り返ると、そこに金田さんがいて
「今日は私と羽柴君の二人らしいので頑張りましょう!」
そこで俺は今日の出勤者が金田さんということを知った。そして俺は仕事に入り、いち早く終わらせようとしていた。だが、今日は休日ということもあり、とても忙しく、早く上がれるような状況ではなかった。というより、終わりの21時30にすら間に合いそうになかった。
時刻は21時30を回り、本来ならば終わりの時間だが俺はまだ一人で仕事をしていた。金田さんはというと、彼女は俺より早くから出勤しているため残業はできず、21時30になり彼女は先に帰っていた。
「やばい、中村さん待たせてるのに!これじゃあやばすぎるって」
俺はダッシュで仕事をやってはいたがなかなか終わらずにいた。すると
「やっぱりまだ仕事してましたか!手伝いますよ」
と言いながら来たのは、木村さんであった。
「ほんとですか?助かります、じゃあこれお願いしてもいいですか?」
俺はこの時中村さんとの約束で頭がいっぱいであったので、なぜ木村さんがわざわざ仕事が終わっているのにも関わらず、自分のことを手伝いに来たのかということを聞かなかったし、気にもならなかった。だが、あとで俺はこの時の木村さんの心情を知ることとなる。
そして俺は途中から手伝いに来てくれた木村さんのおかげで21時45に終わることができた。しかしこの時間でも十分中村さんを待たせてしまっているので俺は早く帰ろうと準備をした。
「木村さん、ほんとにありがとうございます。おかげで残業時間が短くなって早く上がれます。」
「またなんかあったら頼ってください」
そして俺は木村さんと一緒に中村さんの待つ休憩室へと向かって行った。その道中俺と木村さんはたわいもない会話をしていた。
「へえ~木村さんもアニメ好きなんですね。」
「羽柴君もアニメ好き?」
「あっいや、自分はあんまりそーゆーのに疎いんですけど、今日一緒に出勤してた子いるじゃないですか?金田さんっていうんですけどその子がアニメヲタクでいつもアニメの話するので情報としては持ってますw」
「そーなのね。羽柴君て話しやすいね。また話そうね!」
「もちろんいいですよ!自分も木村さんと話すの好きなんで!」
二人で話しながら休憩室に入った。そして
「じゃあ羽柴君お疲れ様!」
「お疲れ様です!」
と、言ってお互い更衣室へ向かった。俺はまだ中村さんが残っているか気になっていたがそれより早く着替えて会いに行こうと思い、いると信じて俺は急いで着替えた。
そして着替え終わり、俺は休憩室に行き中村さんを探した。すると奥のほうに一人で壁のほうを向いて座っている人を見つけ、俺はその人のほうへ向かった。
「あの~中村さん」
と呼ぶと彼女は振り返った。俺はそのまま言った。
「お待たせしました」
俺にとっての小さな太陽 @noname19
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