第6話 「同い年だね」

 それからしばらくたったある出勤日。俺はいつものように更衣室で着替え、7階の従業員roomへと向かった。そして従業員roomに入るとそこにエレベーターを待つ人が一人いたので、俺は


「お疲れ様です!」


と、元気よく言うと、その子は携帯を見ていたからかとても驚いた様子で慌ててこっちを見ながら、


「お疲れ様です!」


と笑顔で挨拶をした。その顔に俺は驚いた。その子はあの元気のある彼女であったからだ。彼女の働く店は俺が働いている店より1時間ほど早く締まるので出勤時間も違うし、退勤時間も違うから俺は勝手にごみ捨ての時にしか会えないと思っていた。そのためなんだか、いつもの違う雰囲気の中に俺と彼女の二人でいた。そこで俺は思い出した。「次こそ話しかけるって決意したじゃないか」と、しかも今はちょうど二人しかいなくて話しかけるなら今しかないと心に決めた。しかしいざ話しかけようと思うと、変な人に思われないかなどと言った不安が押し寄せてきたが、こないだ話せず後悔したことを思い出したので、俺は勇気を出して話しかけた。


「あの~急にすいません、自分○○スーパーでバイトをしているんですけど」


と言い、そのあと名前等を質問しようと思ったら、彼女が


「あーゴミ捨て場で何回かあったことありますよね?」


と言ってくれて俺は「覚えててくれたんだー」と感激しながらも


「そうです!それでいつも元気よく挨拶してくれるのでいつか話してみたいなって思って今日話しかけました」


「ほんとですか?えーなんかありがとうございます!」


「それでいきなりなんですけど前から気になってたことがあって」


「どうしたんですか?」


「あの~名前とかって聞いても大丈夫ですか?」


「もちろん全然大丈夫ですよ! 

       私の名前は中村 花(なかむら はな)って言います。」


と彼女は笑顔で答えてくれた。俺は「中村花か~、花のように明るい彼女にぴったりの名前だな」と心の中で思っていた。


「じゃあ中村さんって呼んでもいいですか?」


「もちろんいいですよ!逆に名前はなんていうんですか?」


「俺の名前は羽柴 圭って言います。」


「羽柴君っていうんですね、羽柴君は今大学何年生ですか?」


「えっ、なんで大学生ってわかるんですか?」


「だって羽柴君、髪の色、金じゃないですかw」


そこで俺はいつもの癖で、帽子をまだかぶっていないことに気づき少し恥ずかしくなった。


「確かにそうですね、こんな色の高校生やばいですねw 俺は一応大学一年生です」


と言うと、中村さんは食い気味に


「えっ!ほんとですか?私も大学一年生ですよ」


と、言われて、俺はとてもびっくりしたとともに少しうれしかった。やっぱり同い年のほうが仲良くなりやすいからである。すると中村さんは笑顔でこう言った。


「同い年だね!」

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