第5話 強い決心

 翔太に相談してから俺はバイト先にいくたび、「今日はいるかな?」とあの子のことを気にするようになった。そして今日もなんだかソワソワしながらバイト先へと向かった。そしていつものように、ごみ捨ての準備をして従業員roomへ向かい、エレベーターを待っていた。なんだかこのエレベーターを待っている時間はとても落ち着かない、それは初めてあの子に会ったのがこの従業員roomであったので、俺はそれからここならまた会えるかもとずっと思っているためである。それは今日も同じであり、「来ないかな~」と、思っていた。だけどその子は今日も現れず、エレベーターのほうが先に来てしまい、「今日も会えないか」と思いながら、乗り込み、ゴミ捨て場へ向かった。1階につきごみ捨てを終え、3階の仕事場へ戻るため、エレベーターを待っていた。そしてエレベーターが来て俺は乗り込もうとしたが、中に誰かいる気配がしたので俺は止まって顔を上げた。そして俺は固まってしまった。なぜなら、中から


 「お疲れ様です!」


と、俺がもう一度会いたいと思っていたあの子がこないだと同様に元気のいい挨拶と共に出てきたからだ。そして俺は慌てて、


「お、お疲れ様です!」


と言った。その俺の声に反応したのか彼女は俺のほうを見て、ニコっと笑顔で会釈をした。俺はこないだから気になっていた彼女が突然目の前に現れ、さらに彼女と目があったことでドキッとしてしまい慌てて目線をそらしてしまった。

 そして彼女はゴミ捨て場へと行き、俺はエレベーターに乗り3階へと向かった。そのエレベーターの中で俺はとても悔しがっていた。それはせっかくなかなか会えない彼女に会えたのに、こないだ翔太と話して「俺は彼女のことが特別だ」なんてことを言ってしまったがために変に意識してしまって話しかけることができなかったからである。それでも会えただけで俺は幸せであった。それに笑顔で会釈してくれた彼女の顔を俺は思い出して「かわいかったな~」と思っていた。今日二回目会って思ったことがある。それは「俺はもしかして、あの子に一目惚れしたかな」と。その気持ちに俺は気づいたがこの気持ちは翔太に言わないでおこうと心の中にひそかにしまった。それでも話したい気持ちは消えなかったので俺は、「次こそ話しかける!」と強く決心した。

 

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