第8話 戦争7
援軍が来たことが確認できたとき、敵軍の陣形が一気に変わった。
さっきまでは対岸を見つめるように川に横一列に兵を並べているが、今は来た援軍に向かい打つかのようにほとんどをその援軍の方向へと向けている。
こちらを向いている兵は約三百ほどだ。
「陛下、この後どうするんでしょうか?」
ケーベルスの隣に立っている騎士は質問する。
「決まってるだろ」
ケーベルスはにやりと笑って
「突撃だ」
そう告げた。
川の深さは約膝下ほど。
あまり深いとは言えないし流れもあまり早くないが鎧を着て進軍するにはさすがに時間がかかる。
だが騎馬兵となると話は別だ。
こちらの騎馬兵は約二百五十ほど。
まずこの騎馬兵に相手の陣形を荒らしてもらう。
ケーベルスが指令を下すと、左右から多数の騎馬が飛び出してくる。
そしてその騎馬兵たちは勢いよく川を横切っていく。
対岸にいる敵の歩兵たちはもともと結構くっついていた幅を、より縮めることで騎馬兵が抜けにくいようにするためだ。
そしてこちらの騎馬兵は、そのまま相手の陣形に突っ込んでいくかと思っていると、いきなり右へ九十度曲がりそしてそのまま直線へ走っていく。
そして敵の陣形の終わりになるとそこを曲がる。そしてこちら側の騎馬兵のほとんどが敵の陣形の横をとる形になった。
そうすると敵の陣形はこちらでもだいぶ分かるように陣形が変わっていっている。
さっきまでは相手の兵はほとんどこちらを向いていたが、今相手の陣形の右半分の兵士たちが騎馬兵のほうを向いている。
つまり、こちら側に向いている数が一気に半分となった。
そして騎馬兵と同じタイミングで進軍を始めていた歩兵たちも今では三分の二を渡り切っている。
相手兵の顔には明らかな戸惑いの顔が浮かんでいた。
それらを見ながらケーベルスは進軍をしていると前で変化があった。
川のほうへ増援が来たのだ。
その数は約二百ほど。
つまり、相手はわざわざ二百の兵を一回無駄に移動させたのだ。ケーベルス側の援軍のせいで。
そして鎧を着ている兵の移動はなかなかに消耗する。
今やってきた敵兵はせいぜい百五十人ほどの活躍しかしないだろう。
「ちくちくと千の増援が聞いてきているな」
ケーベルスは馬に乗りながら周りに聞こえないぐらいの小さな声で呟いた。
そしてその顔はにやりと笑っていた。
そしてついに敵兵と自兵の激突が始まった。
最初は川のから移動してきたこちらが不利だった激突も、だんだんと五分五分になってきた。
騎馬兵の十人ほどが敵陣形に入り込むことに成功して混乱を招くことに成功したのだ。
そしてその混乱は歩兵たちとぶつかっている最前線の敵兵にまで伝わっていた。
そしてある一人の兵士が敵の剣を薙ぎ払い打ち倒すと、他の兵も同じように敵を打ち倒し、そしてなだれ込むように我が兵が敵の陣形へとなだれ込んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます