来訪者

「よし、いい感じですかエメルさん?」


夢から覚めた後はあっという間だった。家でエネルとエメルさんとくだらない話をしたり、凜にお土産を渡したり、四人で食卓を囲んだり、ほんとあっという間だった。出来る事なら永遠にその時間が続いてほしいとさえ思えたけど、俺はやらなければいけない。皆が勉学に励んでいる時に遊んでいた負債だとして今俺はこの場に立っている。


  「うん、いい感じ。練習二日目にしてこれはもう才能というしかないよ」


伸ばした右腕の先にいるのは、上半身だけが見事に吹き飛び、下半身だけの異形種がその場に自立していた。今日一日勉学を怠った事を加味しても、今の異形種を狩りの働きではまだまだ巻き返せそうにない。それを念頭に置き喝を入れるが、未だこの景色は慣れっこない。異形種からの直視の対策として目に包帯を巻いたのだが。


  「流石にこの包帯、中二病感満載って感じがして嫌なんですけど」


人通りが少ないから良かったと言えるものの、今のこれが活気あふれる街に放り投げられれば間違いなく変人としての烙印を押され通報沙汰になりかねない。


  「中二病?――――あぁ、あれね痛々しい人の呼称みたいなやつのこと」

  

  「待ってください、一様それで合ってはいますけど、その解釈をされれば今まさにエメルさんの目の前にいる奴は絶賛痛々しい奴で通っちゃうじゃなですか」


  「私が未然に対策したいい案だと思ったけど.....うん、そう言われればかなり痛々しいわね」


バリンと、内部の聴覚が疲弊していても分かる硝子の心がバリバリに割れる音。


  「でも、安心して人通りは少ないおかげで誰にも見られてないし、異形種からの直視を避けるためにこの方法しかなかったの」


  「それなら仕方ないですね。別に包帯を付けたからって不便はないし、しかも無駄に着け心地がいいし」


また異形種からの直視を食らって気絶してしまえば本末転倒。それに、外部からの視覚という情報を遮断されたことによるものなのか、触覚の感度が異常に鋭くなり、その場の空気に触れるだけで何処に何があるかとか、エメルさんがはっきり見えるとかで、正直目を防がれているという感覚にはなっていない。


  「ま、それ私の魔術でちょちょと作り合わせたものだけど気に入ってもらえて何よりよ」


  「まさかとは思いますけど、この触覚の鋭さ、包帯の影響だったりして....」


  「大正解。効果が忠実に表れて良かった~生命体皆々、視覚によって目の前の情報を感じ取ることが出来る。でも、もしそれが出来なくなった場合生命体はどうするか、聴覚に頼る?ノンノンそれはナンセンスさ魔術使いとしては。答えは触覚の増幅、感度を高める、レベルアップ!そうする事によって生命体の第六感を疑似的に作ることが出来るの。今回の刹君に作った包帯....いや塗布はストロークを保持してる人にしか効果は出ないんだけど、ストロークを保持している場合、視覚を切り離すことによって得られたエネルギーを触覚へと回し、その分を上乗せするっていう多少ごり押しみたいな所はあるけど、それでも視界が180°付近から360°までに変わったのは凄いことでしょ」


えっへんっと俺の目の前で胸を張るエメルさん。でも、これは本当に胸を張るべき偉業だとそう思う。180°付近の視界が当たり前だと思って生きていた。いや、そういう風な構造で人間は出来ているのだからそれ以外の考えを思いつかないのは仕方がないことだと脳に焼き付けていたこの塗布とやらを巻くまでは。視界....いやなんて表せばいいんだろうな、取り合えず景観模索とでも言うべきなのだろうか、前面だけではなく後面にも目玉が付いた感覚。触覚は視界よりも情報の変換効率が良いのか、頭に負荷が全くかからない。360°の景観模索と思考のマルチタスク、これ以上の悦をただの人間が得ていい物なのだろうかと若干不安に煽られた。


  「でも、これって痛みとかも増幅させたりするんじゃないんですか?」


視界が完全に断絶された今、景観が鮮明に見える程の触覚を与えられれば痛みを増幅させる事だってあり得るだろう。


  「それは勿論考えてあるわよ、ある一定の触刺激の値を超えると自動的に触覚がシャットアウトするようになってる、一瞬の激しい痛みは伴う感じだけど、それでも長くつらい痛みを味わわされるよりはマシでしょ」


エメルさんに一片の不覚なし。魔術使いと言うのは宇宙に何人いるのか分からないが、恐らくこの人はかなり上の部類だと肌で感じる。あぁ、やっと分かった。エネルがあの時、エメルさんに教えられるなんて幸せな事なんだぞって。こんな魔術道具を作れるんだ、天才じゃないはずがない。


  「どこまでも抜かりない。これで――――ふっ!!!異形種狩りに集中できそうだ」


背後からの違和感を右腕から出てくる光で粉砕する。今度はビンゴ。根元から逝ったみたいで再生することはなかった。


  「いつの間にそんな技術を、流石異端のストロークを保持する者としか言いようがないわね」


  「待て待て、そんな呼称をされれば、本当に中二病まっしぐらじゃないですか」


  「え~~かっこいいと思って付けたのに~」


どうやら天才でもネーミングセンスの方はお粗末だったようで。


「そんな事よりエネルの方は大丈夫なんですか?あいつ今日疲れてそうでしたけど」


「大丈夫大丈夫。アイツが本当に疲弊したとこなんて見た事ないし。とにかく今は路地裏にいる残りの異形種に集中するよ」


路地裏の奥をエメルさんが指す。その深淵とも呼べる場所には異形種がゴロゴロと。最強を心配する必要があるのならば、今目の前にいる異形種を倒せと脳が訴えかけてくる。今も尚出現を繰り替えす異形種もいれば、引っ張ってこられた人へと徐々に徐々に近づいていく異形種。


  「――――まずい....」


慌てて放つ魔術は捻じれ、的へと上手く当たらず、一方通行の路地裏を照らす一瞬限りの灯りと化していた。


  「ほ~い」


焦る心をほぐすように、俺が出した光の後に続いて、その光よりも速い氷塊が、異形種の足元を穿つ。


  「やっぱり戦闘に慣れないと、急な敵の反応に対応出来ない感じかな刹君は」


  「慣れたくないですよ....そんなの」


あぁ、こんな事は死んでも慣れたくない。異形種の残骸から漏れる異臭、裏路地の奥に横たわる人の影、背けたくなる現実を直視する、戦うということはこういうことなんだと、再認識させられる。


  「取り敢えずは保護しなきゃだね。私はいつも通り手当てを、刹君は私が手当てを終わらした後に裏路地から出すのをお願い」


  「はい、分かりました」


毎夜裏路地限定で起こる舞踏会。皆が軽快に社交ダンスを踊るといった芸当はしないもの、一般市民から魔術士、片翼にストロークが張り巡らされた男といった、人員のレベルは他に引けを取らない舞踏会。そんな楽しい舞踏会も残念ながらもうお開きと、足元だけ残った何かが、おいてかないでと涙を流すように壊れていく。これで舞踏会は終了お疲れさまでした。でも、ここでお開きといっても何か味気ない。パーティーにはいつだって何かスパイスがないと。おや、どうやらあちらの方でここの舞踏会に引けを足らないパーティーがやっているではありませんか。エデンの者に■■なんて実に興味深い。これは是非とも足を運んでみるほかありませんね。では、一足先に――――














  「エネル、また茨木君に嘘を言いましたね」


尋問なのか、はたまた言葉による拷問なのか、夜の渋谷で行われるもう一つの舞踏会で、女は簡潔に男の心臓を言葉で刺した。同じ強さでも面積の小さい物で押される方が痛いと同じ感覚で、長く説教を聞かされるよりも、簡潔に相手の心臓を穿つことのできる一言を放たれた方が痛いのだ。


  「あぁ、ついたよ忘れもしない今日の午前8時17分。異形種からの直視を理由に茨木刹という人間が気絶した....ってね」


男は何も包み隠さない。いや、最初から彼は包むことさえしていなかった、嘘で塗り固められた言葉。それは肝心の当事者である茨木刹という人間はそれを嘘だと見抜ける材料を手にしていなかったために、茨木刹はそれを事実だと、疑問を持つといった一工程を踏む前に脳のしわに刻み込んでしまったのだ。

 

  「何故そんなことを....なんて今更聞いた所ですし、今後の方針について話し合いでもしましょうか」


  「あぁ、それなら――――」


  「おやおや、マナちゃんに緋色の――――エネルさんでいいっか、随分とこんな夜更けの渋谷なんかで二人きりで楽しそうにしてるよ、まさかデートの最中だったとか!それなら今すぐこの舞踏会から辞退させてもらうけどそんな雰囲気にも見えないか」


低い位置に坐した電子掲示板の上に見える少女の影。髪を靡かせているつもりなのか右手で自分の髪を最大限振り切ろうとたくし上げるが、時刻は深夜の11時を回っているためシルエットでしか見えない。辺りにある灯りなど、今まさにその少女が足場にしている電光掲示板ぐらい。けど悲しきかな、それは上を照らすことなく、誰の目にも止まらない直線、という位置を永遠と照らしている。


  「稜楓!あれほど家にいるようにって言ったでしょ!」


親が子に躾をする時の声、もちろん子はそれを知らず知らずのうちに破っているもの。


  「マナちゃんこの国ではね、特に理由がなかったり不当に家に閉じ込めた場合監禁罪に当たるんだよ。いつもいつもマナちゃんが深夜に外に出ていくたびに”あなたは静かに寝てなさい”とか”鍵を探しても無駄ですよ”とかこれ明らかに監禁罪にあたるよね~」


稜楓と呼ばれる少女から告発される黒瀬茉奈の罪。


  「あなたが真っ当な人だったら最初からそんなことはしていませんよ」


感情的になっていた少女は落ち着きを取り戻しつつ、電光掲示板の上に坐す少女に答える。


  「これでも、なるべく学業に勤しんだり、部活動への参加とか真っ当な人としてのなりを演じてきたつもりなんだけど、マナちゃんはお気に召さなかった」


  「はい、お気には召さなかったです」


彼女への対応は慣れているのか、それとも心が読めるからそんな返答をするのか、先程の親としての発言からは全くと言っていいほど感じられない愛想。それを当然と受け止める電光掲示板の上の少女。


  「ま、私がここに来たのはただの遊びだし、家にいてもつまんないからねぇ」


  「お前、確か刹の――――」


  「えぇそうですよ。まごう事なき刹君――――いえ、茨木先輩の後輩の柊稜楓です」


ささっと電光掲示板から降り、地面と着地した瞬間、華麗にドレスの両端をつまんでお辞儀をする。


  「自己紹介どうも。で、二人の関係性ってやつはなんなの。なり的に一般人ではないよな柊さん」


この状況下において、先程までの雰囲気に無頓着でいられる少女を無関心でいられる程男は寛容ではない。男は、少女のお辞儀を払うよう正面からその少女を縛り付けるように睨む。


  「マナちゃんとの関係なんてエネルさんにとってはどうでもいいことだし話さなくてもいいでしょ」


  「マナとの情報共有の時間をお前に取られたんだ、詫びの印として少しぐらい何か話せよ、つまらない事でもいいから」


  「おぉ怖い怖い。これはつまらぬものだけど話すしかないみたいだねぇ」


  「いえ、いいですよ稜楓。つまらぬ事を口にするほど今は時間に余裕がありません」


あぁ、全くだ。切り捨てるにしてはあまりにもつまらなさすぎるんだよその情報はと男は嘆く。


  「そうですか。でも、このまま何もせず私だけが傍観者となり二人の会話を聞くなんて許されるはずがありませんし、どうです?ここはいっちょ哨戒班の情報をお教えするということで」


  「対価は得た。どうぞ続けて」


  「おや、これはあっさりと承認を。おほん、簡潔に、哨戒班――――名前をビレットバス――――」


  「――――」


  「――――――――え、それだけ?」


  「はい、つまらぬものの等価交換と思ったのでこれくらいが丁度いいのかなと」


内心キレそうだ。はらわたが煮えくり返るというのはこういうことなんだと男は実感する。


  「あ~あ聞いた俺が馬鹿だった。マナ、一体コイツは何なんだ?俺が知ってるエデンのメンバーにはいないぞ」


  「知らないです、私が聞きたいぐらい」


  「え~!!!ひどくないマナちゃん。監禁までしておいて、来たら来たらでこの仕打ちって。並大抵の心じゃとっくに壊れてるよ」


  「あなたのどこが並大抵ですか稜楓。はぁ~~こんな事になるならもう少し内側からのセキュリティを強固にしてくるべきでした」


外敵から身を守ったり、泥棒が入ってこないようにするために外に設けられるセキュリティ。どうやらこの少女の中では、面倒くさい同居人を外に逃がさないようにするための装置として、内側に設けるものとして作動しているらしい。しかし悲しきかな、その強固であるはずのセキュリティは中にいるおおよそ監禁と言った形で閉じ込められていた少女にあっさりと解かれてしまったのだ。


  「まぁ、どっちにしろ哨戒班について私が知りえる情報なんてこれっぽっちしかないし、そもそも哨戒班が出る惑星、というもの自体が異常であり、異質。情報なんざ惑星をほっつき歩いて偶然出会うことなんてないし、惑星に喋りかけても教えてはくれない。哨戒班の姿すら未知なのだ。皮肉かもしれないけどね哨戒班の情報を手に入れたくば哨戒班そのものを顕現させなくてはならないと、その情報だけは明確なんだ」


カツンカツン、とシューズからヒールのような音を自慢げに出しながら3メートルぐらいの直線を往復し語っている少女。その言葉に先程までのおふざけは込められていなかった。惑星の現状、哨戒班の情報が名前だけ、それから哨戒班の情報を得る手段が残酷なもの。その事実だけが男の眼前にいる少女からありのままに伝えられた。今までに出現した哨戒班が両手で数えられる程度、しかもどれも類似性が全くなく、哨戒班という一つのカテゴリーに分類するにはあまりにも不確定すぎる情報しかない。この惑星では何か違うかと男は期待したが、他の惑星とは何も違わなく苛立ちを見せた。


  「ふぅ――――結局は哨戒班が出てこない限りは何もできないってわけか」


  「そういう事になるでしょうね稜楓がそのように言うのであれば」


  「マナちゃん、均整部隊から執行者の派遣も出来るけどしないの?正直今までの哨戒班戦の時よりも状況が状況なんだしさ」


  「いえ、必要ありませんよ。決して過信しているからという訳でなく、これはあなたと私が与えられた責務。私達二人で負った任務なのですから更なる人材派遣などあり得ませんし、あっちにそれだけのリソースの余裕があるとは思えませんし」


「それもそうか、少しは楽できると思ったんだけどな~」


「あなた非戦闘員じゃないですか。こんな所で呑気に雑談している暇があるなら、とっとと家に帰って私が帰るのを大人しく待ってください」


「は~い分かりましたよ~だ」


そう言い放つと、もう夜の渋谷に彼女の姿はなく、月光が照らされる木々を転々としていっている姿だけが確認された。


  「――――これでようやく今後の方針について喋れそうです」


  「で、結局何なのアイツ?」


  「単なる同居人です」


  「――――」


  「何ですか?」

  

  「別に~~」


単なる同居人に本来の姿を見せる彼女ではないと男は重々理解している。


  「ま、そんな事はどうでもいい。哨戒班は俺とエメルで鎮静化させる」


  「おや、意外ですね。てっきり茨木君も戦闘に連れていくと思ったんですが、茨木君怖気づいてしまいましたか?」


  「逆だよ逆。アイツに哨戒班の事言ったら、”俺もついて行くよ”って言いそうだろ。マナも分かっている通り、異形種と哨戒班ではそもそも比べるのがおこがましいレベルに差がある。それもそうだな、生産性の高い量産型の物と、生産性を落として品質を最高級の物とじゃ後者の方が明らかに性能が良い」


  「それはそうですけど。てっきり、あなたのことですから”責任がどうたらこうたら”とか言って無理やり連れて行くんだと思いました」


  「エメルちゃんにも全く同じことを言われたよ。あん時は、半分冗談で言ったつもりっつーか、本気で捉えてほしいと意図があったわけではないというか――――」


  「その身勝手な言動に巻き込まれて茨木君は死の淵を彷徨ったって言うのに、あなたはそれを冗談だと切り捨てるんですね。えぇ、それならあなたは私が排斥する対象に相応しいです」


少女は男を断罪する。この惑星の均衡を保つ。その役割を担っているのならば、民間人と異形種の接触をさせる人物など排斥対象に他ならないと、本人の目の前で言い切ったのだ。


  「どうやら琴線に触れさせちまったらしいな。どうしてかな、いつから世界はこんなにも難しくなったんだ。倒すべき者は同一。思想の類似。同じ道を辿ってきた同士。これだけの共通点がありながら何故相容れないだろうな俺達は」


男は苦笑しながら弱音のようなものを吐いている。


  「あなたはまだそのような幻想を抱き続けながら生き続けているのですか、いつまで経ってもお花畑で羨ましい限りです」


少女の煽りは更に拍車をかけ男の精神を摩耗させにかかっている。


  「あぁ、お花畑でもいい、そっちの方が綺麗だしな。それでも、俺は刹には伝えない。俺はお前みたいに強くはなれない」


  「そうですか、それが災いしないと良いですけどねエネル。今のあなたは何処か....いえ、忘れてください。哨戒班の件についてですが、協力はなしといった形で進めさせてもらいます。倒すべき敵が同じであっても、それが同じく敵と組むことになっては本末転倒です」


やるべき事は異形種を狩る事だったのか、単なる男への忠告だったのか。それが両方達成された少女は、バサッと木々の揺れる音の正体になりながら夜の渋谷を離れた。


  「あ~あ完全に嫌われちまったなこれは。まっ、元より共闘する気なんざなかったけどな」


この談合をもって、少女と男の上辺だけ協定関係は完全に破棄された。少女は男の思想を拒絶し、男は少女の在り方を拒絶し続けた、その結果としては当然すぎると男はひとりでに考えていた。


  「お~~いエネル~~そっちは終わった~?」


暗い裏路地の一本道から軽快に手を振りながら走ってくる少女が一人。


  「はぁ―――はぁ―――ちょっと――待ってくださいよエメルさん」


その少女を追っかける形で息を切らしながら走っている少年が一人。


  「二人とも....おかえり」


「うわぁこれはまた派手にやったねぇ...」


少女の視界に映るのは、黒い液体を辺りにまき散らしながら徐々に地盤へと沈んでいく異形種の残骸。


  「蒸発すると言っても服にかかったらシミになりかねないし、今日はここら辺で切り上げよっか」


  「そうですね、俺も明日の学校に向けてちゃんと休息をとっておきたいし」


  「明日も休むか刹」


  「休まねぇよ!」


享楽に浸る舞踏会もここでお終い。参加者数百名は颯爽と退場願い、結果参加者二名の宴。彼ら彼女らは円満に事を進めようとしましたが、そうはいきません。何事にもスパイスというものは必要ということでしょうか。スパイスが投下された後、円満とはいかないまでも舞踏会の〆としては相応しい最期を遂げました。いや、見方によってはスパイスは必要ないといった意見も....いえ、それは違いますよ。スパイスは絶対なのです。地味なものにちょいといれてあげるだけで華やかになったり、はたまたお粗末なものになったり、すプラスにもマイナスにもスパイスを加えることによって変化は絶対にあるのです。今回は結果だけを見ればおおよそマイナスに傾いたのか。それでも構いませんだって面白かったんですから。それじゃあ今日の舞踏会もここまでまた開かれることを楽しみにしていますよ。

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