第2話 職業選択の自由
うーん、何も浮かばん。ヤバいなあ。
映画の公開後、インタビューやエッセイの仕事で忙しかったのもあるけど、女スナイパーの続編どうするかなあ。明日打合せなのにどうしようかなあ。と一人部屋で
『コージくん、久しぶり元気ですか?実は僕の次回作の件で相談したいのですが時間ありますか。もちろんプロの作家さんなので忙しいのは承知しています。10分程度でいいので場所は指定頂ければそちらに向かいます。宜しくお願い致します。』
(やけに低姿勢だなあ。まあ、あいつとはかなり差がついちゃったかなあ。まあ、身近にプロがいるから
『石原くん、了解しました。明日ちょうどソニーで打合せがあるので折角なので同行してみますか?業界の雰囲気もわかるし為になると思いますよ。ただ、セキュリティが厳しいので僕のアシスタントという形になりますがいかかですか。』と返信した。
(コージの野郎、すぐマウント取ろうとしやがって、クソ-! ん、でもソニーで打合せってことは続編のことかなあ。よし、OKで返信するか)
翌日、石原はコージのアシスタントととして打合せに同行することとなった。
翌日の朝
石原はあるプランを思いついた。
アシスタントとして参加できるから、依頼された2つのミッションについてはこの作戦で行こう。
①女スナイパーは派遣社員の続編→アシスタントとして、適当なアドバイスをする。→結果面白くない作品となる。→コージ失脚。
②コージのファンタジー作品アイデアについて→コージからはアドバイスを貰わず、自身で執筆→作品がヒットしたら『実は僕自身のみで書きましたと告白する。』→ヒットしなかったらコージのせいにして『コージ先生の才能も枯れましたねえ』とイメージを植え付ける。
おお、これは我ながら完璧な作戦だ。ノーリスクなのが素晴らしいなあと石原はほくそ笑んだ。
-ソニー・ミュージックエンタテインメント会議室-
「高橋さん、最初にちょっと紹介します、彼はアシスタントしてもらっている石原くんです。」
「は、初めましてアシスタントさせて頂いています石原と申します。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いお願いします。石原さんは実際はどういうことされるんですか?」
「まあ、そうですね、アイデアを出すという言うか簡単に表現するとブレーンですかね。」
「うーん、ちょっと手伝ってもらってる感じですね。」
(石原のヤロー何勝手なこと言ってんだ。お前にアイデアもらったこと無いだろ。こんなことなら連れてこなきゃよかった。)
スタッフの高橋ユウトから続編のスケジュールやキャスト案などの一通りの説明の後、確信に迫る質問がなされた。
「コージさん、所で肝心の原作なんですがいかがですか?」
「色々、案は浮かぶんですが決定打にかけるというか。職業を替えたいんですよねえ。最初は『女スナイパーは正社員!』にしようと思ったんですけど何か拡がらなそうでやめました。」
「でも、いいですね。職業変更するところから決めていきますか。」
「石原くん、何かアイデアある?」
コージはブレーンとほざいた石原に仕返しとばかりに回答を求めた。
(きたー、チャンスだ。ここでバッドアイデアを出せばいいんだ。)
「たこ焼き屋とかタバコ屋はどうですか。」
会議室がシーンとし、重い空気になるのが目に見えて来るようだった。
「いや、いや、ジョークですよ。だって『女スナイパーはたこ焼き屋』とか『女スナイパーはタバコ屋』なんて語呂もおかしいでしょう。」
(いやあー、危なかったなあ。さすがに悪すぎたか。一見好さそうで、無理があるようなやつがいいなあ。そう考えると意外に難しいなあ。)
「それじゃあ、巫女さんとか女流棋士、あと女子プロゴルファーなんかどうですかあ。」
石原が答えると、コージがぴくっと反応し、高橋ユウトも「なかなか、いいんじゃないですか」と好感触だった。
コージは、二人にちょっとトイレに行った来ると告げて会議室を出て行った。
石原は、作戦②を思い出し折角なのでプロの制作スタッフにアドバイスを貰おうと質問した。
「高橋さん、今回の件と全然関係ないですけどファンタジー作品ってどういうのを指すんです?」とド直球の質問をした。
(ファンタジー?俺、読まないんだよなあ。でもプロとして知らないとは言えないし、うーん、、、、)
「まあ、まず敵がいますよねえ。それで仲間をつくっていきますよね、、、、それで、、、、、」
「あっ、簡単にいうと『桃太郎』ですよ。ファンタジー作品は!敵(鬼)、仲間(サル、キジ、犬)あと通貨(きびだんご)が登場するじゃないですか。業界ではまあ、そういってますね。」
(なるほど、『桃太郎』か‼さすがプロだなあ。これなら本当にコージのアドバイスは無しで自力で書けそうだ。)
しばらくすると、コージが戻ってきて開口一番、
「プロゴルファーにする。『女スナイパーはプロゴルファー!』にします。」と高らかに宣言した。
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