女スナイパーはファンタジスタ?
夕哉圭シロー
第1話 密談
東京都杉並区高円寺 某居酒屋
昼間から石原はカウンター席でその店の一番安いトリスのハイボールを串カツともつ煮をつまみながら、何気に店の棚に設定されたいたテレビを見ていた。するとワイドショー番組で大ヒット上映中『女スナイパーは派遣社員☆彡ザ・ムービー』の出演者による撮影秘話などが取り上げられていた。途端に機嫌が悪くなり、原作者で石原の友人でもあるコージの悪口をブツブツつぶやき始めた。
《そもそも、コネでドラマの原作採用されたクセに!今回だってヒロセカンナちゃんと子猫の可愛さだけじゃねーか。俺だって、あれ位全然書けるよ。》
しばらくすると石原の横に、突然黒いスーツを着た男が座り、
「石原さんですね。」
「えっ、あっ、はいそうですけど。どなた様ですか?」
「申し遅れました、私、カドカワbooksの角田と申します。実は大事なお話がありまして。。。。」とおもむろに名刺を差し出した。
++++++
東京千代田区 (株)カドカワ 某役員室
プロダクツマネージメント室長の西藤は、マーケティング統括部責任者で役員の藤原に呼び出されていた。嫌な予感を抱えながら、ドアをノックし、「失礼します。」と告げながら入っていった。
藤原:忙しい所悪いね。
西藤:いえいえ、とんでもないです。所で急ぎの案件ていうのは。。。
藤原:そのことなんだけど、昨日役員会だっただろ。社長(冬野 柔)が怒っててさあ。。。。
西藤:女スナイパーの映画ですか?
藤原:そう、その通り!社長はソニーのことメチャクチャ嫌いでさ、しかも海外制作ならまだしも、国内制作で原作者のコージ先生は、投稿サイト出身だろ。うちも、カクヨムという同じようなサイトがあるのになんで出来ないんだ!ってもうずっと機嫌悪かったよ。
西藤:やはり、そうでしたか。
藤原:そこでなんだけど、コージ先生にうちでファンタジー作品書いてもらえって社長命令が出てさあ、それで君を呼んだんだ。まあ、わかるだろう。うちの場合はファンタジー作品でヒットすれば、君のいるプロダクツマネージメント部直下の関連会社角川ゲームス、角川ムービー、角川BOOKS、角川モバイルに展開できるからおいしんだよ。まあ逆に言えばそこそこのヒットでも利益還元できるから。社長は特に社会派とか恋愛ものよりもことあるごとにファンタジー・ファンタジーって言ってるわ。
西藤:いやあー、そうですよね。実は既にコージ先生のこと確認したんですが。。。
藤原:おー、すごいぞ。それで。
西藤:コージ先生はなんですが、ソニーと専属で3年契約してるみたいなんですよ。
藤原:何い3年!ちょ、ちょっと待て、作家でそんな縛り今時やってないぞ。ミュージシャンみたいだなあ。あっ、やつら音楽系もやってるから同じような契約にしたのか。卑怯なやつらめ。うーん、どうするか。。。。
沈黙の時間が流れて後、藤原が口を開いた。
藤原:よし!こうしよう。××××××
西藤:なるほど。わかりました、早速動きますね。
藤原:頼んだぞ。
++++++
東京都杉並区高円寺 某居酒屋
『突然で申し訳ございません。是非、作家として石原さんにお仕事を依頼したいのですが、少し特殊な事情がございまして、ちょっとここでは話にくいのですが。』と角田は告げると、
『マスター、すいません、奥の座敷に移動していいですか?』了解をもらうと、テンションがあがったのか、追加でトリスよりも100円高いメーカーズマークのハイボールを頼んだ。
『やって欲しいことは2つです。1つは女スナイパーは派遣社員の続編の状況。2つめはコージ先生がもしファンタジー作品を書くとしたらどんな構成やキャラクター設定になるのか。要はアイデアを聞いて欲しいんです。』
『えー、僕がコージに?何か嫌ですよ。』
『もちろん、謝礼はお渡しいたします。それと石原先生は作家活動されてますよね。よろしければ、カクヨムの連載コーナーでピックアップやwebでの販売も致します。』
(まあ、web販売だったらリスク低いからこの程度はいいだろう。やってくれるかな)
『わかりました、角田さんがそこまで言うのならやってみますよ。だけど作家活動に影響のない程度ですけどね。』
(石原先生かあ、いい響きだなあ。webとはいえ作家デビューだよなあ。)
『ありがとうございます。それでは、よろしくお願いしますね。なるべく早めにお願いしますね。』
(昼間っから呑んでるくせに何が作家活動だよ。素人に毛が生えたレベルじゃねえか。連絡なかったら毎日催促してやるからなあ。)
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