第254話「まもなく、王宮で広報担当から、公式発表があるはずだ」

アレクサンドル陛下から、妹君ルクレツィア様を幸せにしてくれ、頼む!

と言われてから1か月後の午後早め。


ファルコ王国の広報担当?から、

王女ルクレツィア様と伯爵たる俺ロイク・アルシェの婚約、結婚確定が発表された。


片や、17歳の可憐な直系の王女。

こなた、16歳で伯爵となったばかり、大破壊を単身で収束させた英雄。

そのふたりの婚約と結婚。


街は大騒ぎさ!ではないが、

ファルコ王国中が、とんでもなく騒然となったのはいうまでもない。


しかし、驚きはすぐ喜びと歓迎の声に変わった。


王国民は、皆、ルクレツィア様と俺の話題で持ちきりとなったのだ。


……そして時間は少しさかのぼる。


俺は発表の直前、事前にアポイントをとった上で、

3時間以内に、関係各所をめぐった。


グレゴワール様とジョルジエット様は全てを知っているので良し……

また王国の主な諸貴族へは別の広報担当者複数が連絡に回った。


一方の俺は、ルクレツィア様以外、ジョルジエット様達女子5人を連れ……


サニエ子爵邸で、サニエ子爵ご夫妻と会い、


冒険者ギルドでギルドマスターのテオドールさんに会い、


ルナール商会で、セドリック会頭とオーバンさんに会い、


最後に、居酒屋ビストロ邂逅亭かいこうていで、

ラクルテルご夫妻と会った。


関係者全員へ、今まで話が厳秘であった事、これから重大発表がありますと伝え、

簡単な経緯とスケジュールを説明したのである。


「ジョルジエット様だけでなく、ルクレツィア様までも輿入れされるとは! ウチのアメリーは第三夫人となりますが、なにとぞ、可愛がってやってください」


「ロイク様! 我がサニエ子爵家のお引き立てをお忘れなく! ぜひぜひ! 宜しくお願い致します」


と、サニエ子爵ご夫妻。


「おお! ルクレツィア様も、めとるのですか! さすがは勇者ロイク様! 甲斐性がありますなあ!」


と、テオドールさん。


ルクレツィア様とご結婚され、ロイク様も王族に連なるのですなあ! ウチのシャルロットも、商人らしく、皆様と折り合いをつけ、上手くやっているようでなによりです」


「ロイク様を、シュエット村からお連れした時は、山賊から救って頂きましたなあ。思い起こせば、あれが、英雄譚の始まりですね!」


と、セドリック会頭とオーバンさん。


「たまげましたよ! ウチのパトリシアが高貴な王女様、公爵家のお嬢様と一緒に、ロイク様の嫁になるとは!」


「うふふ、皆さまから、トリッシュと呼ばれ、可愛がって頂いているようで、何よりですわっ!」


と、ラクルテルご夫妻。


誰もが驚いたが、事が事なので、納得してくれた。


これで事前のあいさつは済み、その後公式発表があり……

行き違い、あつれきなく、無事、情報を共有出来たのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


各所へ連絡が終わり……俺と嫁ズ5人は、リヴァロル公爵家邸へ戻って来た。


各自、身支度を解き、リラックス出来る格好に着替え、本館の大広間へ。


ちなみに、グレゴワール様は王宮に詰めており、

侍従長とともに、公式発表の段取りを組んでいる。


家令のセバスチャンさんの指示で、遅い昼食が運ばれた。


俺はナンバー2の席に座り、左右をジョルジエット様、アメリー様が座って、

お約束の、あ~んしてえ。


周囲を、シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんに囲まれ、食事を摂る。


ごらあ!

てめえ! ぶち殺すぞ!


と言われそうなくらい、リア充炸裂なのだが、

これは、いつもの事だから仕方がない。


結婚後、ルクレツィア様が加わり、7人一緒に暮らすようになったら、

どうなるのだろうか?


楽しいような、もっと凄くなるような……


さてさて!


午後3時となった。


まもなく、王宮で広報担当から、公式発表があるはずだ。


王宮にスタンバっている俺の副官エヴラールさん、その秘書クロエさんが、

発表がされ次第、馬車を飛ばし、この本館まで伝令として報せてくれる事となっている。


ちなみに、エヴラールさん、クロエさんには先に昼食を摂って貰っている。

飯抜きで、待っていろとか、非道な事を俺はしない。


15分少し経過し、俺の耳には馬車の音が。


多分、エヴラールさん、クロエさんだろう。


このまま、嫁ズとともに、ふたりを待とう。


更に数分経過……


セバスチャンさんに先導された、エヴラールさん、クロエさんが大広間へ。


「伯爵閣下!」

「先ほど! 王宮で、ルクレツィア様と閣下のご婚約が発表となりました!」


「おお、ふたりとも、お疲れ様! 発表となったか!」


「はい! 閣下! 早くも王宮の周囲は大騒ぎです!」

「ええ! 王国民は、皆、喜んでいますよ!」


良かった、良かった。


俺と、嫁ズ5人がわいわい、喜んでいると……


俺の魔力感知に……凄い数の人の気配が!!

リヴァロル公爵家邸正門前に集結して来た。


やがて……


「ルクレツィア様あ!! ロイク・アルシェ伯爵う!! ご婚約おめでとお!!」


「バンザイ~!! バンザイ~!!」

「バンザイ~!! バンザイ~!!」


大歓声が、リヴァロル公爵家邸正門前で、鳴り響いていたのである。

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