第253話「誉れ高き勇者よ! 我が妹を幸せにしてくれ! 頼むぞ!」

※当作品は、これまで毎日の更新を続けて来ましたが、

『週に数回、不定期』となる予定です。

またツイッターなどで、更新も事前告知する予定です。


皆様のご愛読と応援がとても励みとなっております。

引き続き、何卒宜しくお願い致します。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


冒険者ギルドのランチ懇親会をして……2週間。


俺は王国執行官を始め、冒険者ギルド、ルナール商会、各最高顧問の仕事をまんべんなくこなした。


王国執行官は、伯爵として、王国貴族達との顔合わせ、打ち合わせが主。

「今後の事もあるから、しっかりとコミュニケーションをとっておけ」

とグレゴワール様から指令が出た。


冒険者ギルドにおいては、王立闘技場のトーナメント、

ファルコ王国王家主催武術大会の進行打合せをじっくりと行っていた。


ルナール商会においては、商人修行をしながら、いくつかの支社、支店へ出張。

懸案事項解決の手伝いをした。


いずれの仕事も、秘書達の支えがあり、スムーズに事は運んだ。

本当にありがたく、感謝しかない。


ああ、そうそう。

討伐したドラゴンの死骸は、グレゴワール様が調整したり、冒険者ギルド、エヴラールさんへ進呈したりして減ったが、結局まだ5体ほど収納の腕輪へ入っている。


時価総額金貨500万枚、日本円にして約50億。

これはまさに俺の虎の子。


いざという時、家族の為に使おうと思うし、もっと討伐しておこうとも決めた。

トレゾール公地へは、また赴く事になるだろう。


ここで、皆さんが気になるであろうアルシェ伯爵家の財政面をさくっとオープン。


俺の収入は、王国執行官、冒険者ギルド、ルナール商会の給料、依頼の報奨金。

ここから家族の生活費、秘書、家臣、使用人への給料、諸経費を支払う以外、

無駄遣いは、あまりしていない。

たまに家族皆で外食をしたり、ささやかなプレゼントをしたり、

部下達の息抜きに食事会をするくらいだ。


残った分は貯金をしているが、こちらもそこそこの金額となっている。


今後、トレゾール公地を始め、割譲される領地が確定すれば、

支出も増える。

だが、有能な管理官を立て、領地経営が軌道に乗せられれば、

そちらの莫大な収入も見込める!


俺は、愛する家族の為、家臣達の為には、もっともっと頑張りたいが、

前世のように心身がすり減る事無く、無理なく働き、豊かな生活を送りたいと思う。


さてさて!

俺の直臣となる為、ランチの1週間後に冒険者ギルドサブマスターその秘書を退職。

引き継ぎと手続きを終えた、エヴラールさんとクロエさん。


しばらく休暇を取ると思いきや、

間を置かず、その3日後にはリヴァロル公爵家邸別棟へ、引っ越して来た。


「ゆっくり休めば良いのに」と、さとしたが、

ふたりは頑として首を縦に振らなかった。


「少しでも早く、リヴァロル公爵家、アルシェ伯爵家の空気に慣れたい」

という前向きな姿勢がびしばしと伝わって来る。


どうやら、俺が夜通し走って、

トレゾール公地へ駆けつけたのを凄く恩に感じているようだ。


そして、やはりというかギルド退職直後に、

エヴラールさんはクロエさんへプロポーズした。


返事は、当然OK!


結果、ふたりは婚約し、結婚する事となった。


なので、俺も引っ越しにあたり、別棟に3間続きの客室を用意し、

新婚ふたりの『新居』とした。


伯爵となった俺に優秀な家臣が増える事を、グレゴワール様も喜んだ。


何せ、エヴラールさんは剣聖とうたわれる剣の達人であり、

頭脳明晰&冷静沈着でもあるから。

先日のトレゾール公地事件は例外中の例外だ。


また奥様となるクロエさんも24歳、美貌の才媛。


1歳違いで25歳の俺の嫁のひとり、シルヴェーヌさんへの、

良き刺激剤となるに違いないし。


俺としても、シルヴェーヌさん同様、クロエさんが、

後輩嫁ズの『姉貴分』として、『先輩』として、

良き相談相手、教育係となってくれる事を望んでいる。


何度も言うが、人は石垣、人は城。

優秀な人材は、俺達家族の支えとなってくれるに違いない。


実際に、エヴラールさんとクロエさんに会ったグレゴワール様も、

ふたりを大いに気に入り、激励をしたという次第。


今後も良き人材が見つかれば、積極的に雇用したい。

当然、好条件、好待遇で!


俺は、前世のダークサイド企業社長のようには、絶対にならない!


という事で、新たなメンバーも増え、俺の日常は再スタートした。


立てた1日のスケジュールは変わらない。


でも、エヴラールさんとクロエさんの就任は、俺達家族だけでなく、

騎士や使用人達へ、大いに刺激を与えた。


朝の訓練は、剣聖のエヴラールさんが入る事で引き締まり、良い緊張感が生まれた。


シルヴェーヌさんの兄、警護主任の騎士バジル・オーリクさんも、

武技を好む者同士として、剣聖のエヴラールさんと意気投合。


またシルヴェーヌさんが指導する護身術に、武道の心得があるクロエさんが加わり、

女子達も盛り上がる。


朝食も、俺とエヴラールさんが騎士達と摂る際は、

クロエさんも加わって、女子達全員でグレゴワール様をちやほや。


上機嫌となったグレゴワール様は、気合が入りまくりで、

宰相として、より一層、政務に励んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


冒険者ギルドは大丈夫だが、王宮、ルナール商会と、

各所に同行して回り、顔見世し……

慣れて来たところで、エヴラールさんは俺の副官、クロエさんはその秘書という立ち位置で、仕事を滞りなく、進めて行く。


そんな中、創世神教会大聖堂における、俺と6人の嫁ズの、

『婚約、結婚確定発表』の日が近づいて来た。


とある日、打ち合わせをする事に。


グレゴワール様、俺、3人の秘書立ち合いの下、

アレクサンドル陛下、王女ルクレツィア様に謁見した、

エヴラールさん、クロエさんは、緊張しっぱなし。


俺の副官、その秘書として紹介して以来、ふたりはこれが二度目の謁見。


まあ、これは何度も経験して、慣れて貰うしかないものなあ……


とりあえず、ルクレツィア様が俺と婚約するという発表が、1か月後に決まった。

その1週間後、創世神教会大聖堂における、俺と6人の嫁ズの婚約、結婚確定発表を行う事に。


「ロイク様……いよいよですねえ……」


ルクレツィア様がしみじみと言う。


「ええ、いよいよですね」


同じ事を繰り返す俺。


「うふふ♡ 可笑しい♡」


他愛もない事で面白そうに笑うルクレツィア様。


幸せそうな妹君の笑顔を見て、兄上アレクサンドル陛下も慈愛がこもった笑顔。


「ロイク!」


「はい!」


「誉れ高き勇者よ! 我が妹を幸せにしてくれ! 頼むぞ!」


切々と頼むアレクサンドル陛下。


対して、俺は、


「はい! お任せください!」


と、きっぱり言い放っていたのである。

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