第252話「おお、これは願ったりかなったり」
……テオドールさんへの報告は、和やかに、和気あいあいで終わった。
報告が終わり、俺達は全員で、ギルドマスター専用応接室を出る。
一旦、最高顧問室の『応接室』にて、今後の予定、段取り等を打合せする事に。
このまますぐ、俺達とエヴラールさん、クロエさんのふたりが一緒に仕事をするわけにはいかないからだ。
1週間くらいかけ、サブマスター及び秘書業務の『引き継ぎ』を行わねばならない。
応接室で、いろいろ話した結果……
引き継ぎ後、正式に冒険者ギルドを退職したふたりは、
休みを取った上で、リヴァロル公爵家邸別棟へ引っ越し。
秘書や使用人同様、『住み込み』をして勤務する事も決定。
来月初めから、正式に勤務して貰う事となった。
落ち着いたところで、トリッシュさんへ指示を出し、
業務部担当者へ連絡を入れ、依頼完遂の報告をし、
トレゾール公地で採集した金、宝石の精算を行う。
やがて業務部担当者が来て、応接室で金、宝石を引き渡し、
精算、魔導端末から、鑑定金額の30%を所属登録証へ入金して貰った。
詳細な結果は省くが、結構な金額となり、俺、エヴラールさんは勿論、女子達も大満足である。
完遂報告が終わり、業務部の担当者が去り、ひと息ついたところで、一旦解散。
テオドールさんから後任人事の指示もあり、
そのままエヴラールさん、クロエさんはギルドの人事部へ行く事に。
俺はこそっと、エヴラールさんを呼び、最高顧問執務室へ。
扉を閉め、男ふたりきりで内緒話をする。
今後の事もあるから、意思確認をしなければならない。
俺とエヴラールさんは最高顧問執務室に置かれた長椅子にそれぞれ座り、
向かい合って話す。
「エヴラールさん」
「は、はい」
「
「わ、分かりました」
対して、こくこくと頷くエヴラールさん。
ここは更にはっきりと具体的に告げた方が良いだろう。
「回りくどいいい方はやめて、しっかりとプロポーズしてくださいね」
「は、はい」
大丈夫。
エヴラールさんは、『けじめ』をつけてくれるようだ。
返事を聞き、思わず脱力した。
しかし、俺も人の心配をしている場合ではない。
創世神教会大聖堂において、婚約、結婚の確定発表が、
それも王女ルクレツィア様を始め、6人まとめての発表イベントが待っている。
はっきり言って、結構なプレッシャーだ。
「ふうう、エヴラールさんと同じく、俺も……これから山場です。お互いに頑張りましょう」
「は、はい、私はクロエひとりで、いっぱいいっぱいなのに、最高顧問は6人も。心中お察し申し上げます」
俺は頷き、エヴラールさんと拳を軽く合わせるフィストバンプを行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最高顧問執務室を出て、執務室経由で、応接室へ戻ると……
ウチの秘書シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんが、
クロエさんと一緒に、きゃっ、きゃとはしゃぎ、仲良く楽しそうに話していた。
厳密にいえば、現在は勤務時間中。
しかし、こういう時、厳しく指導するシルヴェーヌさんも、
一緒になって笑顔で会話を交わしていた。
まあ、今回の経緯を考え、不安が解消されたクロエさんの安堵と、
これから一緒にリヴァロル公爵家別棟で暮らす事がとても楽しみらしく、
女子4人は凄く盛り上がっていたみたい。
まあ、たまには良いだろうし、
今後の事を考えてもコミュニケーションをとっておいた方が良い。
そう思った俺は、何も言わずにスルー。
そして、エヴラールさん、クロエさんとともに、俺も人事部へ行く事にした。
当然、冒険者ギルド担当秘書のトリッシュさんも誘う。
「トリッシュさん。エヴラールさんとクロエさんが人事部に行く際、俺もあいさつしておくけど、一緒に来る?」
「うふふ♡ もちのろん! 行きま~す!」
ここで『お子様』だと、私も一緒に行くうという駄々をこねるが、
さすがシルヴェーヌさん、シャルロットさんは大人の女子、
「行ってらっしゃ~い」
「その間に、事務作業してま~す」
と余裕しゃくしゃくで、手を振ってくれた。
と、ここでクロエさんが提案。
「最高顧問! 本日宜しければ、エヴの帰還仮祝い等々を兼ね、とりあえず、ギルドの食堂で、この場の全員一緒にランチを摂りませんか?」
おお、これは願ったりかなったり。
「ああ、正式なお祝いは改めてやるとして、その提案は大歓迎だ。みんなは? エヴラールさんはどうかな?」
「「「大賛成!!!」」」
「はい、最高顧問。いえ、伯爵閣下! 喜んでご一緒します」
という事で……
俺とトリッシュさんは、人事部へ、エヴラールさんとクロエさんを送り、あいさつ。
人事部も話が既に、テオドールさんから話が通っていて、
スムーズに手続きが終わり……
その後、ギルドの食堂で6人楽しく、懇親会形式のランチを摂ったのである。
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