第249話「エヴラールさんは、大仰天! 呆然自失状態となってしまった」
主従関係となった俺とエヴラールさんは、王都へのんびり歩いたが……
ここで、アクシデント。
王都の少し手前で、早朝の王都入りの旅人を狙う強盗団が出現したのだ。
強盗団の人数は50人ほど。
街道に居並んで、道をふさぎ、通せんぼをしていた。
俺とエヴラールさんが、たったふたりだと見て、数で圧倒するつもりなのだろう。
汚いひげづらの野郎軍団を見て、
ルナール商会の馬車で、故郷から初めて王都へ来た時に、
むつけき山賊どもに襲撃された事を思い出す。
すぐ戦闘に入った。
しかし、あの時同様、相手が悪かった。
竜殺しの俺と剣聖であるエヴラールさんだ。
強盗団は常人が少し強いくらいのレベル。
なので、
更に俺は索敵……魔力感知で察知していたので、
事前にエヴラールさんと示し合わせ、万全の態勢で迎撃。
相手は剣、斧等で武装していたが、俺は威圧と格闘。
エヴラールさんも峰打ち的な手加減攻撃。それぞれで圧倒。
……50人でもほぼ瞬殺。
俺とエヴラールさんは、顔を見合わせ笑い合った。
強盗団全員を生け捕りにして捕縛。
収納の腕輪へ放り込み、仮死状態で、王都の衛兵隊に引き渡す事にした。
そんな事があり、正門へ到着したのは、午前4時30分。
まだ開門時間となっていなかったが……
俺とエヴラールさんの身分証明書が役に立った。
まず門番へ、そして強盗団引き渡しの際は衛兵隊へ見せたのだ。
さてさて!
王都内へ入ってから、俺とエヴラールさんとの話題は、
先ほどの強盗団退治の影響か、
帰還途中、闇に紛れ、街道わきに潜む、山賊、強盗、追はぎが居た事で盛り上がる。
俺が行きも、山賊どもを目撃したと告げれば、
「頃合いを見て、治安向上の為、討伐プロジェクトを組みましょう」と気合を見せる。
そんなエヴラールさんは独身。
自宅へ戻ると言い張ったが、俺はリヴァロル公爵邸へ行こうと誘う。
俺の住まいで入浴し、朝飯を食べ、ギルドへ一緒に報告へ行こうと提案したのだ。
数回の押し問答があったが……
俺が説き伏せ、ふたりでリヴァロル公爵邸へ。
そして、まだ人がまばらな通りを歩き、無事到着。
護衛の騎士は俺を見知っており、事情も聴いていた。
しかし、トレゾール公地へ戻った俺がエヴラールさんを連れ戻したのが、
あまりにも早く、びっくり仰天。
のけぞりながらも、中へ入れてくれた。
時間は午前5時を過ぎており、
毎朝の恒例、シルヴェーヌさんの指導のもと、護身術のけいこをしていた嫁ズ5人。
俺とエヴラールさんの姿を見て、大感激。
「良かったあ! 旦那様とエヴラールさんが、ご無事で!」
「旦那様! ご帰還! そして再びのドラゴン討伐! 誠におめでとうございます!」
そして訓練中の騎士達も全員駆け寄って来て、
俺とエヴラールさんの無事を大いに喜んでくれた。
やがて、グレゴワール様も顔を見せ、事情を説明したら、
「うむ、よく無事で戻って来た。またドラゴンを10体、その上、強盗団も倒したのか? お疲れ様だな」
俺とエヴラールさんを優しくいたわってくれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
何はともあれ、まずは風呂へ入ってひと休み。
俺は別棟にある専用の風呂。
エヴラールさんは客間の風呂に入り、それぞれさっぱり。
どうしようか迷ったが……
結局、朝食は本館で、嫁ズ、グレゴワール様ともども全員一緒に食べた。
さすがの剣聖エヴラールさんも、ファルコ王国譜代貴族ナンバーワン、
リヴァロル公爵家では借りて来た猫って感じで大人しい。
だが俺の直臣ともなれば、グレゴワール様達大勢の貴族と接する事も多くなる。
慣れて貰う第一段階って感じだ。
これからも、こういう機会をどんどん設けて行きたい。
あまりプレッシャーをかけない言い方で、エヴラールさんへも伝えておこう。
朝食が終わり、午前8時過ぎ、冒険者ギルドへ早めに出勤。
3人の秘書達とともに、移動はリヴァロル公爵家の専用馬車。
エヴラールさんは、自分専用のサブマスター室に行くのだけれど、
今日は最高顧問室執務室で待機。
ギルドマスターのテオドールのテオドールさんが出勤するまで待機。
出勤したら、ギルドマスター室へ、俺とともに今回の『報告』へ赴くのである。
ここでひとつカミングアウト。
最高顧問室では、エヴラールさんへ、嫁ズの事を教え、
しばらく厳秘だと念を押す。
この場のシルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさん、
リヴァロル公爵家で、俺の事を旦那様と呼んだジョルジエット様、アメリー様の5名だけでなく、王女ルクレツィア様までも俺と婚約、結婚すると知り……
エヴラールさんは、大仰天!
茫然自失状態となってしまった。
そんなこんなで、午前8時15分となり……
まだギルドマスターのテオドールは出勤しておらず、ひたすら待ちの状態。
と、ここで。
るるるる、るるるる……
魔導通信機の呼び出し音が鳴った。
これは内線の音だ。
朝っぱらから誰が来たのか、俺には、否!
秘書達は勿論、エヴラールさんも知っている。
「はい、ご安心ください。エヴラール様はお戻りになっています。最高顧問以下、全員執務室におりますよ」
来訪者とトリッシュさんの、魔導通信機での会話が終わった瞬間。
ばんっっ!!
とノックもなく、乱暴に執務室の扉が勢いよく開いたのである。
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