第228話「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官、ロイク・アルシェ伯爵をお連れしました!」
翌朝、いつものスケジュールをこなし、
俺は、シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさん達、
秘書軍団とともに出勤した。
これまたいつもの通り、ジョルジエット様、アメリー様はロジエ女子学園へ通学。
グレゴワール様は一足先に王宮へ出勤。
それで、俺の本日のスケジュールだが、まずは王宮へ。
午前中は、アレクサンドル陛下、グレゴワール様と、
王女ルクレツィア様との婚約発表の打合せを行う事となった。
実は昨夜、秘書達から今後の予定の話があった後、
グレゴワール様から、アレクサンドル陛下を交えて、
3人で婚約発表の打ち合わせをしておきたいと、いきなり話があったのだ。
イレギュラーで大事な打ち合わせが入る。
こういう事はままある。
グレゴワール様曰はく、アレクサンドル陛下のご意向もあり、
ルクレツィア様が落ち着き心安らぐ為に、出来るだけ早く婚約を発表した方が良いとの事だ。
俺とルクレツィア様との婚約発表から結婚の話は間違いなく、
ファルコ王国における国民的なイベントとなる。
何せ、美貌の王女、国王アレクサンドル陛下の妹君ルクレツィア様が、
大破壊を収束させた英雄の俺と結婚するのだ。
大破壊収束の公式発表があったばかりのこのタイミングで、
王国民達が、伯爵の爵位を授与された俺を偉大な英雄と認識しているうちに、
発表するのがとベストだいうご判断なのだ。
ちなみに、ルクレツィア様の婚約発表の翌日、
公爵令嬢たるジョルジエット様以下、俺と5人の女子の婚約と結婚も、
追って発表の段取りとなっている。
こちらはグレゴワール様の考えである。
ばらばらと、さみだれ式で別々に発表するよりも
ルクレツィア様との婚約、結婚確定の発表直後、
一気で5人一緒にオープンにした方が、良いとの判断なのである。
王女ルクレツィア様のご結婚話は、インパクトが最強なのは間違いない。
間違いなく国内外から注目されるだろう。
だが、ジョルジエット様は、譜代貴族中の貴族、名門リヴァロル公爵家のご令嬢、
王国宰相を務め、王国貴族トップのグレゴワール様ご令嬢。
そのご結婚なのだ。
インパクトもかなりのものである。
そのVIP女子ふたり以外にも、更に美女が4人、
計6人もの麗しき嫁が居るというのは、強烈且つ相当なもの。
「ごらあ! リア充、大爆発しろ!」とか、
「てめ! ふざけるな! 恥知らずなジゴロ野郎!」とか、
「おい! 月夜の晩ばかりじゃねえぞ!」とか、
やっかみ、そねみ、怨嗟の声が上がるのは必定。
オーガを5千体討伐し、大破壊を収束させたという功績がなければ、
ふざけるなと、大炎上するのは必至だ。
そんな大炎上回避の為にも、このような段取りを組んだと、
グレゴワール様からは、言われたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
馬車が王宮へ到着。
例によって、数多の護衛岸のチェックを受けながら、俺と秘書達は歩く。
途中、王国宰相執務室へ第二秘書、フォスティーヌ・アルノーさん経由でグレゴワール様へお声がけ。
「後ほど、伺います」と伝言を託す。
アレクサンドル陛下との打合せは、王国宰相執務室へグレゴワール様を訪ね合流。
一緒に伺うのだ。
ということで、それから、自室である王国執行官執務室へ秘書達とイン。
ひと休みしてお茶を飲んでから、俺だけが王国宰相執務室へ。
打合せの内容が内容である。
シルヴェーヌさん以下の秘書達は、上手く話をしてくださいと、
期待を込めた眼差しで俺を送り出した。
王国宰相執務室へグレゴワール様を訪ね合流すると、
王宮の奥にある国王陛下のプライベートルームのひとつ、
特別応接室付きの国王専用書斎へ。
VIPだらけ、護衛だらけの王宮なので、単に移動をするだけでも大変。
時間と手間がかかる。
グレゴワール様と俺を先導する警護騎士が、
「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官、ロイク・アルシェ伯爵をお連れしました!」
おお、俺は以前、ご一行、その他大勢扱いだったのに、名前と爵位で呼ばれた!
感慨深い!
続いて、グレゴワール様が、声を張り上げる。
「朝早いが、事前にお願いし、お時間を頂いておる! 陛下にお会いしたい!」
すると、陛下の警護騎士のひとりが、びしっと敬礼。
「かしこまりました! 陛下より、お聞きしております! どうぞ! 中へお入りくださいませ!」
と言い放ち、更に書斎へ向かい、
「陛下! 王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官、ロイク・アルシェ伯爵がいらっしゃいました!」
とひときわ大きな声で言い放った。
対して、
「うむ!! 大儀である!! グレゴワールとロイクを、すぐ中へ通してくれ!!」
と、ファルコ王国第81代国王、アレクサンドル・ファルコ陛下の声が、
大きく大きく響いていたのである。
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