第208話「とことん愛し愛される関係になって、 「俺と結婚して本当に良かった!」とルクレツィア様に実感して貰う」
俺は秘書3人を同行させ、冒険者ギルドでギルドマスターのテオドールさんと打合せした後、ルナール商会を訪問。
会頭のセドリックさん、理事で統括長のオーバンさんといろいろ話した。
俺の未来の嫁となるセドリック会頭のシャルロットさんの猛プッシュもあり……
また冒険者ギルドへの対抗心?もあり……
ルナール商会は、俺の処遇を考えてくれるらしい。
「拙速に決めてはいけない」という、シャルロットさんの言葉もあって、
セドリックさんとオーバンさんが相談し、決定した事を、
後日、連絡してくれるようだ。
俺の勘では……
ギルドと同じく『最高顧問』へ昇格という可能性が高いと思う。
出される労働条件も近い……と思う。
ダークサイド企業の営業マンであった、
ケン・アキヤマたる俺の記憶に刻まれている。
前世でも似たような事があった。
……いわゆる『横並び』という奴だ。
補足しよう。
横並びとは、横方向に並ぶ事。
こういう場合、関係する団体・企業が、揃って同じ方策を取る事。
他と同じである事だ。
言い換えれば、右に習え、画一的。
何故そうするのかといえば、無難を求め、リスク回避する以外のなにものでもない。
まあ、俺は非難するつもりは全然ないし、待遇があがるのはウエルカムだ。
「後日改めて連絡します」というセドリックさんとオーバンさんへ、
「明後日行われる、大破壊収束の公式発表がありますし、しばらくは落ち着きませんが、ルナール商会の問題解決にも真摯に取り組ませて頂きます」
と告げれば、ふたりは大喜び。
シャルロットさんもにっこにこ。
特にセドリックさんからは、
「明後日の大破壊収束の公式発表は、グレゴワール様から、特別席へご招待して頂いておりますから、オーバンとともに伺います。シャルロットの婿殿の晴れ姿、じっくりと拝見させて頂きましょう」
とか言われちゃった。
とまあ、そんなこんなで話していたら、あっという間に午後5時。
平時の勤務は残業なし! 帰宅の時間になった。
という事で、帰りま~す。
まあ、仕事の時は勤務時間は関係なく、徹夜で残業って場合もあるけどね。
ルナール商会の依頼の際とか、トレゾール公地の竜退治とか、今回の大破壊収束とか、メリハリのある勤務って事だ。
セドリックさんが言う。
「おお、ロイク様。そろそろ時間ですな。帰りの足はどうなっていますかな? シャルロット?」
「はい、会頭。事前に指示をして、リヴァロル公爵家の馬車が迎えに来る事になっていますわ」
「おお、そうか」
「成る程。ではこちらで馬車を手配せずとも大丈夫ですな」
と笑顔のセドリックさん。
本館を出ると、時間通り、リヴァロル公爵家の馬車が停まっていた。
「では! 失礼致しま~す!」
「「「「「お疲れ様でしたあ!」」」」」
退勤時はセドリックさん、オーバンさん以下、
社員さんが大勢、俺達を送ってくれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺達を乗せた馬車は、ルナール商会本館前から、ゆっくりと走り出した。
馬車の中は和気あいあい。
冒険者ギルドに続き、ルナール商会でも打合せが上手く行った事もあり、
俺、シャルロットさんは勿論、
シルヴェーヌさん、トリッシュさんも笑顔である。
そのシルヴェーヌさんが言う。
「シャルロットさん、さすがですわ。多分セドリック会頭は、冒険者ギルドに近い条件を出して来ますわ」
対してシャルロットさん、
「はい、シルヴェーヌさん。私達とルナール商会は共存共栄ですわ。私の夫君という以上に、ロイク様のお立場を最高顧問という形で固めておければ宜しいと」
するとトリッシュさんも、
「はあい! 冒険者ギルドも、私達にとって更により良い職場環境になるよう、頑張りまっす!」
こうなると後は王宮においての地位固め。
となれば、キーウーマンは当然王女ルクレツィア様……
しかし、俺はルクレツィア様を出世の道具に使うつもりはない。
王女として生まれ、王国の駒として翻弄されかけた彼女にとって、
俺との結婚を、人生最良の選択とする為に。
秘書達同様、ジョルジエット様、アメリー様同様、
ルクレツィア様の為に頑張って、愛し愛されつつ、幸せになる!
そう決意した。
でも……今頃、ルクレツィア様はどのような想いでいるのだろうか?
いくら大破壊を収束させた英雄だからといって……
見ず知らずの平民の俺へ嫁ぐよう、
兄上アレクサンドル陛下から告げられた彼女の気持ちはいかに?
……少し切なくなった俺。
ふと、目の前に居る3人の秘書達の幸せそうな笑顔を見て、
更に俺にぞっこんのジョルジエット様、アメリー様の健気さを思い出し……
改めて思う。
ハーレム野郎と言われても、俺は5人の嫁が大好きだと。
全員、ロイク・アルシェとして生まれ変わった人生をともにする、
良きパートナーだ。
だから俺はルクレツィア様も大好きになる!
そして大好きになって貰う!
とことん愛し愛される関係になって、
「俺と結婚して本当に良かった!」とルクレツィア様に実感して貰う。
まだお会いした事のない、ルクレツィア様へ、俺は想いを馳せていたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます