第196話「結果、俺は素敵な女子4人に囲まれた」
「そして! 私の話にはまだ続きがある!」
グレゴワール様は、きっぱり言い切ると、またも「にこっ」と笑った。
「まだ続きがあるの……ですか?」
「うむ、分かっているだろう、ロイク・アルシェ君!!!」
ああ、俺には分かります。
『やんごとなき方』の事ですよね?
「……………………」
俺が無言で頷くと、グレゴワール様は微笑む。
「うむ、そうだ。アレクサンドル陛下の妹君、王女ルクレツィア様の事だ」
「ルクレツィア様の件で、陛下が何かご決定をくだされたのですか?」
「ああ、他国からの縁談もいくつかあったが……熟考の末、陛下はきっぱりとお断りなされた」
「ええっと……それって、もしかして……」
「ああ、そうだ。ルクレツィア様のご結婚相手に、ロイク・アルシェ君。君をご指名されたのだよ」
「うわ! 俺がですかあ」
「うむ、前々からルクレツィア様の件では、陛下と私で相談している事は君も知っていただろう」
「はあ、まあ……」
「陛下が最終決断をされた決め手は、ズバリ今回の大破壊収束だった」
「そうなんですか」
「うむ、陛下はな、竜を10体を倒したロイク君の実力は文句なく認めていた。伝説の勇者級だとな。しかし今回の大破壊収束の経緯を陛下はご覧になって、ロイク君、君に惚れ込んだのだ」
「陛下が、俺に、惚れ込んだ……」
「うむ、往復2,000㎞を徹夜で走破し、オーガ5千体を倒した底知れぬ強さと根性、頑健さ。そして命令違反を犯しても危機に陥ったブルデュー辺境伯を救った誠意と男気。更にバシュラール将軍、騎士兵士達を思いやった気配りと優しさ。初対面のブルデュー辺境伯、バシュラール将軍にも気に入られる人当たりの良さ、王国の状況をも細やかに考える政治、経済感覚、そして宰相たる私のアドバイスと推薦。最終的には、陛下御自身が君と話して確信されたのだ。妹君のご結婚相手は、君ロイク・アルシェしか居ないと!」
「そこまで称賛されると、
「ああ、そうだ! ロイク君! 君は王家、我がリヴァロル公爵家、そしてサニエ子爵家と、3人の女子を
おお~いっ!! ある程度、予想していたとはいえ、一気に人生の大激変だ。
これって、やっぱり「ついてる」って事?
パラメータのLUK:ラッキーが、10,000《MAX》最高値のせいなのか。
この異世界ゲーム、ステディ・リインカネーションの世界へ転生した俺が、
前世よりも、1億倍幸せになる布石なのか?
良いのか、こういう超ハーレム展開は。
でも、ここまで来たら、NOの選択肢は許されないだろう。
俺は……覚悟を決めた。
息を大きく吸い、声を張り上げる。
アラン・モーリアであった頃、こういう物言いには慣れている。
「はい! グレゴワール様! 分かりました! 栄えある名誉と無上の喜びをかみしめ! 今後もファルコ王国の為にまい進して行きたいと思います!」
「うむ、はきはきとした、良き返事とあいさつだ」
グレゴワール様はそう言うが、結婚の話になれば、俺には伝えるべき事がある。
そう、俺との婚約が内定しているシャルロットさんの件だ。
「あの、グレゴワール様」
「うむ、何だね?」
「実は……ルナール商会会頭セドリックさんの孫娘、俺の秘書のシャルロットさんの事なんですが」
「ああ、君の秘書のシャルロット君の事か?」
「はい」
「うむ、セドリックから聞いておるぞ」
え!?
セドリックさんから聞いてる?
な、な、何、それえ?
「へ?」
「彼女とも婚約が内定したのだろう? おめでとう! 先ほどセドリックから魔法鳩便で連絡があった」
「そ、そうなんですか?」
「セドリックは、ひどく気を遣ってくれてな。さすがにルクレツィア様の件は知らないから、ジョルジエット、アメリーの婚約が確定したら、シャルロットさんの婚約をオープンにしたいと手紙に記載されていたよ」
グレゴワール様はにやりと笑う。
「はははは、ロイク君。両手に花どころじゃない。まさに百花繚乱だな。まだ結婚話が出て来るようなら、相談してくれれば良い」
ええ!?
まだ結婚話が出て来るようなら、相談してくれれば良い!?
グレゴワール様、何ですか、それ!?
懐が深い!!!
「ええっと、……良いんですか? 多分トリッシュさんも、俺との結婚を希望しそうです」
「構わん! 古来より英雄色を好むという! それでこそ! 大破壊収束の英雄だ! どうせルクレツィア様の第一夫人、ジョルジエットの第二夫人、アメリーの第三夫人は確定なのだ!」
とグレゴワール様は大きな声で言い、
「ははははははははは!!!」と豪快に笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
グレゴワール様との打ち合せが終わった。
「このまま、本館で夕食を摂ると良い。ジョルジエット、アメリーも学園から、そろそろ帰って来るだろう。秘書の3人も呼んでやれ」
という事で、秘書達3人も一緒に食事を摂る事となり……
本館の使用人が呼びに行った。
そうこうしているうちに、ジョルジエット様、アメリー様がロジエ女子学園から戻って来た。
大破壊発生により休校となった余波の補習授業で遅くなったのだ。
俺は当然出迎えに行く。
普段、いろいろと尽くして貰っているし、当然である。
馬車から降りて来たジョルジエット様とアメリー様。
「ロイク様あああ!!!」
「ロイク様あああ!!!」
大声で叫び、俺へ向かって一目散に駆けて来る。
そして俺との定位置、左わきにジョルジエット様、右わきにアメリー様が、
ぴったりと、くっついた。
ぐいぐいと身体を押し付ける。
そこへちょうど、シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんの秘書3人もやって来た。
ジョルジエット様、アメリー様がくっついているのを見た秘書3人。
3人のうち、シャルロットさん、トリッシュさんがこちらへ猛ダッシュ。
すると!
何と何と何と!
ジョルジエット様、アメリー様が少し身体をずらし、シャルロットさん、トリッシュさんを迎え入れてくれたのだ。
結果、俺は素敵な女子4人に囲まれた。
ああ、超リア充。
爆発しろ!! と言われても反論出来ない。
そんな俺のリア充姿を、筆頭秘書のシルヴェーヌさんは、
ただひとり、複雑な表情で見つめていたのである。
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