第158話「帰りの馬車内でグレゴワール様が寂しそうにされていたので、 この作戦を考え付いたそうだ」

俺の王国執行官就任お披露目、

王立闘技場のトーナメント企画を聞いたグレゴワール様の反応は、


「うむ! 良いんじゃないか! いや、良いどころじゃない、最高のプランだ!」


と、大絶賛。

これまた文句なしのOKを出してくれた。


うん!

鬼宰相から出た、問題なしのGOサイン。


後は俺達で手分けして、シルヴェーヌさんの作成した資料を基に各所へ確認。

粛々と進めて行けば良い。


「では、グレゴワール様。すぐ準備に取り掛かりますね」


「うむ、どんどんやってくれ。各所から余計な事を言われないうち、早めにやった方が良い」


「分かりました」


「主催は王家だが、運営は冒険者ギルドが代行しているのも、良い方向へ働くだろう」


「はい、それも考えての立案です」


「うむ、ギルドマスターも全面的に協力するだろうし、私からも伝えておくよ」


「お願いします」


さあて!

執行官就任お披露目イベントの話の次は、

俺の秘書達の、他職場勤務の可否だ。


既にルナール商会と冒険者ギルドは、

シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさん、

3人の秘書の誰もが出勤し、執務室で自由に仕事をする事を認めている。


ここは、ちゃんと説明した方が良いだろう。


「グレゴワール様」


「うむ、何だい?」


「もうひとつご相談があります。実はですね……」


俺は最初から事細かく説明。

シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんも、フォローしてくれた。


俺の仕事を円滑かつ効率的に進める為には必須だと。


「う~む、成る程。ルナール商会と冒険者ギルドの許可は取ったか。まあ、お前達の言っている事は正論だし、理解出来るよ」


グレゴワール様は、同意し、賛成してくれたが……

問題は、王宮への出はいり。


やはり一筋縄では行かないという感じだ。


「まあ、良い。陛下にご相談してみるよ。シャルロット君、トリッシュ君の身上書をお見せしながらな」


「「「宜しくお願い致します」」」


いろいろ話していたら、あっという間に午後10時30分を回った。


そうだ!

忘れてた!


後、ひとつだけ。


「グレゴワール様、お疲れ様でした、ありがとうございました。そろそろ失礼させて頂きます。ところで明日は訓練の後、秘書3人と一緒に、本館の大広間で朝食をご一緒して宜しいでしょうか?」


俺が本館へ食事に行くという事は、ジョルジエット様、アメリー様も一緒という事。


グレゴワール様は、俺の意図をすぐに見抜いた。


「ああ、大歓迎だよ。明日、一緒に朝食を摂ろう……今日はご苦労だったな……お休み」


心の底から嬉しいというように、柔らかく微笑んだのである。


その後、俺と秘書達は別棟へ帰り、この日の仕事は無事、終わったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


翌朝……

昨日同様、俺は騎士達との訓練をこなし、

シルヴェーヌさんは、ジョルジエット様、アメリー様、シャルロットさん、トリッシュさんへ、和気あいあいと護身術指導。


訓練を終えた俺と秘書3人は、本館の大広間へ。

グレゴワール様と朝食をともにする為だ。


となれば、ジョルジエット様、アメリー様も大広間へ来るのはお約束。

同時に俺が座った席の両脇に座って「あ~ん」攻撃もお約束。


朝っぱらから美少女ふたりからの「リア充攻撃」で、

グレゴワール様が昨日同様「すねる」と思いきや、全く違った。


何故ならグレゴワール様は、

俺の秘書、シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんの、

タイプが全く美女3人に囲まれ、ちやほやされる形で、楽しく食事を摂っていたからだ。


ちらと俺が見やれば、グレゴワール様は照れ笑いという感じで、凄く嬉しそう。

ジョルジエット様、アメリー様だって、

自分達と一緒に護身術を習う親しきお姉様方だから、グレゴワール様が「でれても」

全然問題なしというか、文句など言わず、完全にスルーしてる。


いくら亡き奥さん一筋とはいえ、良い年頃の娘が居る父親とはいえ、

グレゴワール様だって、現役の男子。

それが愛娘公認という形で、若い女子3人と朝から楽しく食事が出来るなら、

全然ウエルカムだろう。


よし!

作戦大成功!

って、感じだ。


この作戦の立案者は、意外にもシルヴェーヌさん。

昨夜、グレゴワール様との終了後、別棟に戻ってから提案された。

シャルロットさん、トリッシュさんも即賛成であった。


彼女曰はく、帰りの馬車内でグレゴワール様が寂しそうにされていたので、

この作戦を考え付いたそうだ。


そんなこんなで、朝食が終わり、午前8時前に、

ロジエ女子学園へ通学するジョルジエット様、アメリー様を見送った俺と秘書達。


別棟へ戻ると、全員で朝の合同連絡会議を行う。


王女ルクレツィア様の件が、まだはっきりしないので、

優先事項は、俺のお披露目の件。


シルヴェーヌさんが作成した資料を基に、

王立闘技場のトーナメント企画を確認し、詰めなければならないという事で……

今日は全員で、冒険者ギルドへ行く事を決めたのである。

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