第104話「俺の方から問い合わせしようと思っていたほど」
「では、ロイク様へ、私がまとめた依頼候補の中で、特におすすめの案件をお伝え致しましょう」
好意の牽制球を投げられたような形となったが……
俺とトリッシュさんは、じっくりと依頼案件の打合せを行った。
そして結局、彼女えり抜きという4件のベスト依頼を提示され……
うち1件の依頼受諾を確定させた。
笑顔のトリッシュさんが、依頼受諾書と資料、地図を渡して来る。
やっぱり、彼女は可愛いなあ。
え?
お前、交際中?のジョルジエット様とアメリー様はどうすんだって?
いや、タイプが違う美少女を健全に鑑賞するくらい、問題ナッシングでしょ。
「ではロイク様。トレゾール公地の資源の採集、採掘と魔物討伐依頼、宜しくお願い致します」
「ありがとうございます。トリッシュさん。受諾案件を含め、良い案件ばかりで、大いに迷いました」
「そうですか! ロイク様からそうおっしゃって頂けると、私、凄くやりがいを感じますよ!」
「そうですか! この依頼を完遂し、トリッシュさんへご報告に上がった時、今回ご提示頂いた他の依頼が、まだ受諾されていないのであれば検討しますから」
「かしこまりました! ロイク様!」
「はい! 宜しくお願い致します」
「頑張ってください! 依頼をバリバリ完遂し、早くランクAになっちゃってくださいね♡」
「はいっ! 頑張ります!」
と、盛り上がったところで補足しよう。
上記の会話に関して。
ステディ・リインカネーションの世界における冒険者ギルドの依頼受諾には、
ランクB、つまりランカー以上には『ある特典』が与えられている。
『ある特典』とは、今回のように担当者がキープし、リリースした3件の依頼に関してという限定で……
先に俺が受諾した『トレゾール公地の資源の採集、採掘と魔物討伐依頼を完遂した』という条件で、
再度問い合わせをし……
もしもまだ、他の冒険者が受諾確定していない場合、
希望すれば優先的に受諾する事が出来るのだ。
え?
仕組みが複雑?
ちょっと分かりにくいって?
じゃあ、簡単に言おう……
俺が受諾した『A』という案件をまずは完遂。
再度『B』『C』『D』というリリースした依頼の状況を問い合わせ、他者に受諾されていなければ、俺が優先的に受諾する事が可能というローカルルールがある。
え?
最初からシンプルにそう説明しろ?
すんません。
という事で、トリッシュさんからは
「ではロイク様。今回の現場は遠方ですし、ノルマも特にありませんが、大変危険が伴う依頼ですので、準備を万全にされ、充分ご注意をしてください」
と念を押して注意された。
対して俺も、
「了解です。重々注意します!」
と答え、打合せは無事終了した。
相変わらず上機嫌のトリッシュさんに、1階ロビーまで送って貰った俺。
冒険者ギルドを出て、街中の各商店で、今回の依頼に必要なものを購入。
お昼前にホテルへ帰還したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ホテルに戻った当日は、昼食、夕食はホテルで摂った。
その合間に、依頼の資料と地図を読み込んだ。
ここで依頼の詳しい説明をしておこう。
わかりやすく、5w1hで。
When:いつ。
期限……無期限。
Where:どこで。
場所……王都ネシュラから北へ200kmにある、
ファルコ王国所有の、トレゾール公地。
Who:誰が。
受諾者……ロイク・アルシェ。
What:何を。
仕事内容……トレゾール公地の資源の採集、採掘と魔物討伐。
Why:なぜ。
王国所有、未開の地であるトレゾール公地からの貴重な資源採集、採掘、凶悪な魔物討伐による治安の向上。
How:どのように。
方法……工具等を使った鉱石採集、採掘、武器、魔法、スキル等を使った魔物討伐。
まとめると、王国所有、北方のトレゾール公地へ赴き、
魔物を倒しながら、貴重な鉱物、宝石等を採集、採掘し、持ち帰る。
無事、採集、採掘した鉱物、宝石を持ち帰れば、その価値に応じてインセンティブ的に報奨金を支払う。
また討伐した魔物に関しても、種類によって、同じく報奨金を支払うという、
いろいろ美味しい依頼である。
資料には、トレゾール公地において、採集、採掘可能な鉱石、宝石。
同じく出現する魔物、それぞれの種類が記載され、報奨金の金額も記載されていた。
この依頼……ステディ・リインカネーションをやり込んだ俺は知っているし、
実は受諾した事もある、超がつくぐらい美味しいもの。
もし打診がなければ、俺の方から問い合わせしようと思っていたほど。
なので、トリッシュさんから見せられたリストの中にあったのを見た時、
狂喜乱舞するのを懸命に抑えたくらい。
どちらにしても日帰りとかはなく、現地にて1週間くらい泊まり込みとなる。
でも、今日の買い物で用意はばっちりだし、明日はまたも早めに出発。
念入りにストレッチをした俺は、その夜、ぐっすりと眠ったのである。
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