第86話「よし! 余裕のよっちゃんだ」
召喚した冥界の魔獣ケルベロスが咆哮。
その特殊効果により、ジェム鉱山出入り口を取り囲んでいたゴブリンどもは、
完全に麻痺、無抵抗状態に陥った……
そのおかげで俺は、ゴブリン500体以上をあっさり倒す事が出来た。
ちょうど倒し終わった時。
後を追って来て驚いたルナール商会支社の社員さん達と合流。
俺が単独で……実はケルベロスのフォローありきなのだが、
ゴブリン500体を倒した事に驚き、慌てふためく社員さん達。
何はともあれ、ともにジェム鉱山内へ突入……
ケルベロスに勢子をやらせ、残っていた数体のゴブリンを鉱山外へ追い出し、
あっさり倒した後、探索。
索敵で事前に分かっていたが、鉱山内の社員さん達は、
中の扉を閉め切って、立てこもっており……無事。
採掘し、俺が持ち帰る予定の宝石も同じく無事であった。
まずは鉱山内の社員さん達の命が助かった事。
そして何とか、仕事が完遂出来そうな事。
とりあえずホッとした俺である。
ケルベロスのお陰で楽をさせて貰ったが、ゴブリン500体を倒し、
レベルとパラメータが上がった。
ぱららら、ぱっぱ~!!
ファンファーレが鳴り渡り、心の内なる声が、
レベルのアップ、各パラメータのアップを告げてくれたのだ。
全てを記載しないが、こんな感じである。
〇名前:ロイク・アルシェ
〇種族:人間族
〇性別:男子
〇年齢:16歳
〇LV:レベル:12⇒13
〇属性:
〇職業:元農民⇒元店員⇒元プー⇒冒険者ランクB、ランカー
〇STR:ストレングス:7,200⇒7,300
〇DEX:デクステリティー:10,000《MAX》
〇VIT:バイタリティー:10,000《MAX》
HPは、5,000⇒5,300
〇AGI:アジリティ:10,000《MAX》
〇INT:インテリジェンス:5,000⇒5,100
〇MND:マインド:5,500⇒5,600
MPは、4,900⇒5,000
〇LUK:ラッキー:10,000《MAX》
〇CHA:カリスマ:4,800⇒5,000
殆どが微増だが、まあ順調という感じだ。
そんなこんなで!
全員合流して支社へ戻り……
社員さんのひとりが、慌てて支社長さんを衛兵隊本部へ呼びに行った。
山賊退治で出払っていた衛兵隊を待っていた支社長さんであったが、
本部に残っていた衛兵20名のうち、3名とともに、大慌てで支社へ戻って来た。
ここで改めて衛兵3名を交えての事情聴取が行われる。
ルナール商会本社幹部オーバンさんの手紙添付の仕事の指示書、
俺の冒険者ギルドの所属登録証があったので、状況と俺の身元はすぐ明らかになった。
衛兵達が現場検証をしたいというので、
俺と支社長さん、社員さん2名はジェム鉱山入口へ。
ここでも論より証拠。
おびただしいゴブリンの死骸を見て、今までの説明が裏付けられた。
最後に俺が一旦、異界へ戻していたケルベロスを召喚し、
「使い魔の犬です」と衛兵達に見せて、事情聴取は完了。
ちなみに死骸は衛兵隊が始末してくれるそう。
時間はちょうどお昼、午後0時である。
支社に戻り、改めて、社員さん全員と話す。
鉱山内の社員さん達の命が助かって良かったと改めて思う。
「ロイク・アルシェ様! 本当に! 本当に! ありがとうございました! 深く深く感謝致します!」
俺に対し、平身低頭でお礼を言うのは支社長さん。
対して俺は、
「支社長様! とりあえず、俺がお届けした書類を再確認して頂き、引き換えに宝石100個をお預かりさせて頂きたいのですが」
と申し入れた。
しかし、支社長さん、ぶんぶん手を振り、
「とんでもない! 本社には事件の
などとありがたい、お話を頂いたが……ここまで来たら、俺は仕事を完遂したい。
「今から出発すれば、本日中に王都に帰れそうなので、宝石の引き渡しをお願いします。事件の経過報告書だけ、簡単に書いて頂けますか? 俺が届けておきますから。詳細な報告書は後送しておいてください」
と、申し入れ。
「ええええ!!??」
「ほ、ほ、本日中に王都へ!!??」
「も、も、戻るとぉ!!??
驚く支社長さん以下ではあったが、俺は何度も懇願。
何とか、重要書類と引き換えの宝石を受け取る事が出来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
宝石100個を受け取った俺は、支社を出てから収納の腕輪へ仕舞った。
これで、宝石を落としたりして、紛失する事はなくなった。
そして、徒歩でジェム鉱山手前の町、ミーヌへ戻る。
さすがに街中では、超高速で走る事は出来ない。
挙動不審者として怪しまれ、下手をすれば、衛兵の職質対象となってしまう。
もう事情聴取はお腹いっぱい。
なので、
たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!
たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!
と少し早歩き。
怪しまれず、職質されず、何とか、ミーヌの町を出る事が出来た。
時間は午後1時。
うん!
行きでスタミナの消費加減は分かった。
身体能力抜群な俺は、100kmぶっ通しで走っても、それほど疲れないのだ。
え?
ゴブリンと戦った疲れはないのかって?
大丈夫。
念の為、回復魔法を行使し、体力……HPは満タンにしてある。
よし!
王都への帰還、100kmの走破、スタート!
ここからしばし、ジョギングレベルの時速7kmだ。
まあ、帰還はこちらに来た時ほど、気を遣わないで大丈夫だろう。
街道を10分ほど走る。
一本道を戻るだけだから、迷う事もない。
ジョギングレベルの慣らし運転を終えると、
時速20km、50km、70kmの巡航速度へアップ。
更に速度をアップし、時速100kmへ。
ドッヒュン!!
と風を切って走る。
行きと同じく、追いはぎ、山賊、追いはぎ、傭兵くずれの山賊、
そして追いはぎがたくさん出没したが、当然全てを華麗にスルー。
同じ奴が居たり、弓矢を射掛けて来る奴も居たが、全く当たらない。
シュヴァルを過ぎ、行程の半分ほど走ったところで、スタミナチェック。
あはは!
まだ全然大丈夫。
全体力を100としたら、まだ20くらいしか減っていない。
念の為、再び回復魔法でHPを満タンにしておく。
引き続き、ダッシュ! ダッシュ! ダッシュ! ダッシュ!
駆ける! 駆ける! 駆ける! 駆ける! 駆けるう!!!
街道を通る人が上りも下りも皆、呆気に取られている。
だが、構うものか!
更に走ると、やがて、王都ネシュラの巨大な街壁が見えて来た。
ここで俺は速度を少しずつ落として行く。
時速100km、80km、60km、40km、20km、
そしてジョギングレベルの7kmへダウン。
もう普通の運動レベル。
まもなく王都南正門。
魔導懐中時計を見れば、午後2時30分少し前。
よし!
余裕のよっちゃんだ。
俺は、門番さんに一礼し、所属登録証を提示。
当然問題なしで、王都へイン!
そのまま、ジョギングレベルで走りながら、王都商業街区の、
ルナール商会本館前に到着したのである。
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