第66話「やっぱり俺はついていた」
「ロイク様とのご恋愛が上手く行くように、私、応援致します!」
「私も! おふたりを精一杯サポート致します!」
アンヌさん、ジュリーさん護衛を担うふたりの女子騎士は、
「主の話に感動した!」という面持ちで、目をキラキラさせながら、
はっきりと言い放った。
これで場の雰囲気は一気に盛り上がってヒートアップ。
恋する乙女ジョルジエット様、アメリー様に、
深く共感した護衛の女子騎士ふたりが加わり、
女子達4人でコイバナがさく裂したのだ。
こうなると唯一の男子である俺は聞き役、相づち役に徹していれば良い!
……と思ったら、超甘かった。
熱い熱いコイバナが1時間余り続いたと思ったら、矛先が俺へ来た。
俺の身の上、能力、そして趣味、好きな女子のタイプ、将来への夢などの嗜好等々。
4人の女子から、ガンガン! ガンガン!
『個人情報に関する質問攻め』が行われたのである。
「この場合、パスやノーコメント、無言は絶対にNG、ご法度ですわ」
としっかりと釘を刺された。
何かしら答えなくてはならない。
俺はじっくり考え、
内容と言葉を選びながら、……慎重に答えて行った。
まあ、こういうのも護衛の仕事のうち、仕方がないと割り切ろう。
やれやれと思っていたのも束の間。
ここで、ジョルジエット様が「はい!」と手を挙げる
「明日、土曜の休日は、私とアメリーは外出しますので、アンヌ、ジュリーとともに、護衛をお願い致しますわ、ロイク様」
まあ、当然そう言うだろうな。
俺というイレギュラーな護衛役が加わり、3人体制になったし、
護衛抜きで出かけないと、ちゃんと誓いも立てた。
アンヌさんとジュリーさんも、問題なしとばかりに、にこにこしてる。
まあ、いきつけの高級レストランで、とびきり美味しい食事をして、
ごひいきの店で優雅にショッピング……というところだろう。
と思ったら、ジョルジエット様がとんでもない事を言いだしたのである。
「ロイク様、明日外出して、いつどこへどう行って何をするのか、プランニングは一切お任せ致しますわ! 私とアメリーがお慕いするロイク様と、楽しく過ごせるプランを期待しております!」
「はあっ!?」
「お約束致します。どのようなプランでも文句は一切、言いません。ちなみに、予算は気にしないでお考え下さいませ。何卒宜しくお願い致します!」
「ええええ!? な、何ですか!? それはっ!!」
俺が、ジョルジエット様、アメリー様、ふたりの外出をプランニング!!??
つまり、デートのセッティングをしろって事かよ!?
いきなりこれって、とんでもないむちゃぶりじゃね?
さすがに俺は驚いた。
しかし!
告げたジョルジエット様は勿論、アメリー様も、女子騎士ふたりも全く驚かない。
ジョルジエット様はにっこり笑い、更に言う。
「ご心配なく! ロイク様がプランニングされるのは、お父様には了解済みです! そして警護主任のバジル・オーリク、家令のセバスチャンにも、お父様から話を通してありますわ!」
ご心配なく!
お父様には了解済みです!
バジルさん、セバスチャンさんにも、グレゴワール様から話が通っている……
ああ、そうっすか……って、
もしかして!
この件を知らなかったのは俺だけかい?
ついてないな、俺……
大きくため息を吐いた俺は、仕方なく『明日の外出予定』を考え始めたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ええっと……
俺は心を静め、冷静に考える。
当然、明日のジョルジエット様、アメリー様の外出プランニング……
つまりはデートプランの作成だ。
いつどこへどう行って何をするのか、条件が決まっている事を確認し、
考える事が不要な事はオミットすれば良い。
いつ……明日。
出発時間と帰宅時間を確認すればOK!
どこへ……これは王都市内だろう。
どう行く……すなわち足、交通機関。
これは、リヴァロル公爵家専用馬車で現地へ行き、降りて、徒歩で散策。
帰途は、再び馬車に乗り、移動だろう。
そして、何をするのか……王都で素敵なデートをするって事だよな。
何をするのか……ここが肝心である。
どういった場所で、どういうイベントを行い、または店で、食事を摂り、
ショッピングをするのか?
しかし、俺の『運』LUK:ラッキーの数値は、10,000の《MAX》。
やっぱり俺はついていた。
場所が王都というのが大が付く幸運だ。
故郷シュエット村から、初めて王都ネシュラへ来た時に、懐かしがって、
ルナール商会のオーバンさんからは、大いに突っ込まれたが……
実は俺、王都は庭!
前世でケン・アキヤマだった頃、ステディ・リインカネーションをやり込んだ際、
アバター、アラン・モーリアで、王都の隅から隅まで回って探索した。
どんな通りも、路地も、抜け道も。
どんな建物も、店も。
安全な場所、ヤバイ場所、なんでもござれ。
どのような人々が暮らしていて、
どこがどのように安全で、危険なのかを熟知している。
なので、ジョルジエット様、アメリー様の好みに合わせ、条件をセッティングし、
連れて行けば、OK!
後は、念の為、セッティングした場所と内容を、グレゴワール様、バジルさん、
セバスチャンへ伝え、アンヌさんとジュリーさんとすり合わせしておけば万全。
これなら、何とかなりそうだ。
俺はホッとし、今度は大きな安堵の息を吐いたのである。
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