第59話「この試練を逆手に取って、修行の場に変えてやる!」
突きを5連発!
充分に手加減をした上で、的確にHIT!!
スコアボードの魔導水晶があっという間に全て点灯!!
まさに瞬殺!!
開始して、10秒立たないうちに、俺は少年騎士に勝利していた。
よし!
予想以上に上手く行った!
あの伝説の天才剣士、3段突きの沖田総司を超える!
それくらいの気構えで、この技……超必殺五段突きを磨いてやるぜ!
戦う相手は精鋭騎士50人プラス、鬼宰相グレゴワール様。
不足はない。
この試練を逆手に取って、修行の場に変えてやる!
そうだ!
俺は!
転んでもただは起きぬ!
たとえ失敗した場合でも、そこから『何か』を得ようとすれば良いのだ。
否!
絶対に『プラス』を得てやるぜ!
ここでまた、ジョルジエット様、アメリー様から絶叫に近い声援が!
「やったあああ!! ロイク様ああ!! 素敵ぃぃ!!」
「ロイク様あああ!! きゃ~っっっ!!」
改めて気合を入れ直し、決意を新たにした俺の前で……
俺に瞬殺された少年騎士は、うなだれて引き下がって行き……
ふたりめ……別の少年騎士が登場した。
敗れ去って行く、同輩らしき少年へ視線を向けると、
唇をぎゅっと噛み、
「自分が
……凄い殺気だ。
しかし、俺も負けない。
負けるわけにはいかない!
気合負けなんか絶対にしない!
しかし気合をピークに持って行った上で、俺は少し脱力し、
攻撃に一番良いバランスにして、開始位置にて試合開始を待つ。
「開始!」
セバスチャンの声が試合開始を告げた。
再び!
敢えてツーテンポほどスタートダッシュを遅らせた俺。
繰り返すが、当然、フライングと抗議されるのを防ぐ為だ。
どんっ!!
闘技場のフィールドを蹴り、ダッシュ!
あっという間に仇討ちを目論む少年騎士へ肉薄!
またも!
超必殺五段突き、さく裂ぅぅ!!
やはり俺にとって、常人たる少年剣士の動きは超が付くスローだ。
動きがゆっくりのコマ送りに見える。
どご! どご! どご! どご! どご!
ぐ! が! ぎ! ご! げ!
突きを5連発!
充分に手加減をして、先ほどよりも幾分スムーズに的確HIT!!
どうやらほんの少し熟練度がアップしたようだ。
ぱぱぱぱぱ!
即座にスコアボードの魔導水晶が全て点灯!!
まさに瞬殺!!
ほぼ同じ光景の繰り返しであった。
第二試合が開始して、10秒立たないうちに、
俺は二番手の少年騎士にも勝利していたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後も試合は同じように続いて行った。
俺がスタートダッシュを決め、超必殺五段突き、さく裂ぅぅ!!
少年、20代の若手まで、あっという間に瞬殺を重ねて行く。
敗北した騎士達は、さすがに帰る事など許可されず、
そのまま観客席へ移動、先輩の試合を見守っていた。
何やらひそひそと話しているのが見える。
俺の噂話でもしているのだろうか?
そんなこんなで、若手騎士全てを瞬殺!
出場者はベテラン騎士へと切り替わった。
しかし、ベテラン騎士達も本気モードの俺にあらがう事は、全くと言って良いほど、出来なかった。
俺は粛々と、ただただ瞬殺を重ねて行く……
そして!
騎士達の最後に出て来たのは、俺への非礼を詫び、謝罪してくれたベテラン騎士。
リヴァロル公爵家警護主任騎士、バジル・オーリクさんだ。
双方の開始線に並ぶ、俺とバジルさん。
ここで、バジルさんが声を張り上げる。
「閣下あ! 審判んん! 試合前に、ロイク君と会話をする許可を頂きたいっ!」
対して、グレゴワール様も声を張り上げ、
「許可するぞぉ!」
そして、大きく腕を挙げ、OKの『〇』を作った。
すぐに進行のセバスチャンもグレゴワール様の声を聞き、反応。
同じく声を張り上げる。
「オーリク様あ! 許可致しまあす!」
セバスチャンの声を聞いたバジルさん。
「ありがとうございます!!」
と大声で返し、ふたりへ深く一礼した。
そして、俺へ向き直る。
一体、バジルさん、俺へ何の話をするのだろうか?
軽く息を吐き、バジルさんが声を張り上げる。
「ロイク・アルシェ君! 感服した! 君はとんでもなく強い! 誰も君に一太刀も反撃出来ず、数秒で倒されている! 腕相撲の時よりも君の底知れぬ強さを感じた。剣聖エヴラール・バシュレに勝ったというのも納得だ」
成る程。
俺を認めてくれたのか。
素直に賞賛もしてくれた。
……ここは余計な言葉を放つべきではない。
「……………………」
俺は無言で一礼した。
更にバジルさんは言う。
「もし、君が
「……………………」
俺は再び、無言で一礼した。
その後、試合は再開され、やはりバジルさんも瞬殺された。
そして少し緊張しながらも、満を持して登場したグレゴワール様も、
やはり瞬殺!!
出場者交代、休憩時間も入れ、わずか2時間で、模擬試合は終了。
そして……
ぱららら、ぱっぱ~!!
ファンファーレが鳴り渡り、心の内なる声が、
レベルのアップ、各パラメータのアップを告げてくれた。
全てを記載しないが、こんな感じである。
〇名前:ロイク・アルシェ
〇種族:人間族
〇性別:男子
〇年齢:16歳
〇LV:レベル:11⇒12
〇属性:
〇職業:元農民⇒元店員⇒元プー⇒冒険者ランクB、ランカー
〇STR:ストレングス:6,900⇒7,200
〇DEX:デクステリティー:10,000《MAX》
〇VIT:バイタリティー:10,000《MAX》
HPは、5,000⇒5,200
〇AGI:アジリティ:10,000《MAX》
〇INT:インテリジェンス:4,800⇒5,000
〇MND:マインド:5,300⇒5,500
MPは、4,800⇒4,900
〇LUK:ラッキー:10,000《MAX》
〇CHA:カリスマ:4,200⇒4,800
スキル『五段突き』習得。
ちなみに、グレゴワール様、騎士達に勝ったからなのか、
カリスマのパラメータが著しく上がった。
こうして、腕相撲、模擬戦は俺の完全勝利に終わったのである。
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