頑張りの方向性

シヨゥ

第1話

「頑張ることってそんなに大事かな?」

 疲れ切ってうな垂れる友達にそう声をかけてみる。

「僕の頑張りが無駄だって言うのか!」

 気が立っているのか食って掛かってくる。

「いやいや。君の頑張りで救われている人は多いはずだよ。絶対に無駄なんかじゃない。でも頑張ることで君は救われているのかな?」

「それは……」

 友達は頭を抱える。

「頑張るっていうのは、自分の限界を超えてまでして、今を良くしていくことを言うと思うんだ」

 語りかけても友達は頭を抱えたまま。

「頑張ること自体は素敵で尊いと思っているけどさ、その方向性を間違っていたらダメなんだよ。だって限界を超えているんだから」

 それでも聞いていることを願って語り掛ける。

「頑張るならもっと自分のために頑張ろうよ」

 ゆっくりと頭が上がり、

「そうだな」

 とだけ返してくれた。

「いつでも相談に乗るよ。迷ったら、分からなくなったらいつでも声をかけてほしい。それが友達だと思うからさ」

 また視線を落とした友達に肩を叩き、その場を後にする。ここからは彼次第。これ以上踏み込んではいけない気がするのだ。

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頑張りの方向性 シヨゥ @Shiyoxu

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