第5話「嫌いなセンセー」

 あれから、ショックを受けたまま、授業が始まった。

 やばい。さっきのショックで何も考えられない…っ。

 ぼーっと頭がしている。

「…ぃ……、ぉぃ……、おい…っ!河合!!聞いてるのかっ!?」

「え…あ……。」

 現在は数学の授業中。

 それも………。

 俺の嫌いなセンセーだ。

 よりによって数学の時間なのかよ?運が悪い…っ。

 絶対今日の運勢、最下位とか、凶じゃん…。

 好きな子が俺のアンチだし、ぼーっとしてるのが数学の時間だし。

 ほんっと、ついてない…。

「この問題、とけるよな?

 余裕そうにぼーっとしてたよなぁ??」

 余裕ではありません。

 っと、出してきたのは…?

 ――――――――――――――――――――

 1+4=5

 2+5=12

 3+6=21

 8+11=     

        ※BuzzFeed『1000人に1人

         しか解けない    

        「8+11=?」わかるかな?

         より引用

 ――――――――――――――――――――

 1+4は、まぁ、5で合ってるな…。

 でも、なんで2+5が12になるんだ?

 わっけわかんねぇ…っ。

 …こういう時は誰かが教えてくれないかなーっ、と、周りを見てみる。

 だが。

 しーーん。と、誰も話しかけてくれない。

 くっそ…、陰キャだからほとんど話しかけたことないんだよなぁ…っ。

 やばい、センセーがこっち見てる…こういう時は…。


「あ、さーせん。聞いてませんでしたわ…。」


 …と、言うしかないのである。

 友達作っとけばよかった…、と、今更ながら後悔をしている。

「…次はちゃんと聞いてるんだぞ。

 じゃあ…、変わりに天野。答えろ。」


 …。真心さん。巻き添えにしちゃってごめんなさい、と謝りたいことだが、すっと真心さんは立ち上がった。


「…答えは96です。」

 そう答えたあと、意地悪そうな目をしていたセンセーが目を細めて言った。

「なぜ、そうなった?」

「簡単です。例えば3+6=21。これを例とすると、一回3×6をして3に足していることがわかります。

 2+5=12も同じように、先に2×5をして2を足すと12にちょうどなります。

 これらと同じように、8+11…もう、河合さんもわかりますね?」

「あ…は、はい……。」

「なら、よかったです。では、途中式を答えてみてください。」


 そうきっぱりと言って真心さんは座った。

 かっけぇ…っ!と思ってるのもつかの間。

 早く立って言わないといけないと思い、椅子を少し下げ、立ち上がった。


「8×11+8…?」

 しぶしぶ言うと、センセーはすこぉし驚いた顔で言った。

「…流石だな。天野。」

「いいえ~、だってこれ、小学生でも解けますよ?」

 ニヤッと不気味に笑って言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

片思い中の女の子、俺同端拒否らしい 雫乃裕翔 @ute

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ