第4話「大ダメージ」

「……ね、最近ハマってることない?」

「んー?最近ハマってること…ね。」

「気になるな。私も。寧々ねねちゃんのハマってること。」

「えー?真心ちゃんまで?しょーがないなぁ!!」


 …ただいま進行形で盗み聞き…ではないな、そう思いたい。

 女の子たちの会話の覗いている。

「私ね、最近"MITUKI-BOOK"みつきブックっていう小説アプリにハマっているの!!」


 ―――"MITUKI-BOOK"みつきブック

 それは、小説家新星が生まれるアプリの一つでもある。

 文庫大賞なども開催しており、この間ダウンロード数五十万を突破した注目されているアプリだ。

 そう、俺もそのアプリで投稿している。

「ふーん…このクラスでも流行ってんのか…?」

 と、俺はぼそっと呟いた。


「へぇ、私もやってるよ。」

「え!真心ちゃんも!?以外…っ。」

「何そのアプリ!今度入れてみよ!」


 …真心サンもやってるんだぁ…。

 初めて聞いた……。


「私ね、最近ハマってる小説があるの。

 デイリーランキングとかでよく載ってる人のだから真心ちゃんは知ってるかもしれないけど。」


 ごくん…と喉の音を立てる。

 何故かって?俺も自慢…じゃないけど上位に入ってる方だ。

 でも一日でもサボるとランキング下がっちゃうんだよな…。

 だから、殆ど毎日投稿を守っている。

 …あ、良いことあったときは別。

 沢山出しちゃう。


「“心綺しんきマフィア”!」


 はい、これ来ましたわ。勝ち組ですねーーっ。

 ここで「それ、俺の小説」…なんて言ったらモッテモテ間違いなしじゃない?絶対!


「それ、俺の――――。」

「私、その小説知ってますが、その……定番というか。

 なんていうか。

 あまり面白くなかった…っていうか。

 ま、まぁ。作者さんには申し訳ないと思うけど、嫌い…なんだよね。

 吐き気がする。」


 うぅーっ。

 胸が締め付けられるぅ…っ。

 その作者がここにいるのに!!

 ここにいるのに!!

 アンチかよ!??

 好きな人が俺のアンチとか嫌だよ??俺。

 そのまま言わなくてよかったーっと、心して思う。

 どれだけ嫌われるかわからないし。


(言っちゃったぁーっ!

 どうしよぉ…っ。

 この様子を作者様に見られてたら死ぬ覚悟だってできてる…。

 ぐさって。ぐさって…っ。うぅっ。やっちゃったぁ…っ。)

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