第7話 寄生
「ブジー、急げっ!」
「急いでるっ!!」
ダンジョンの壁──腸壁──から飛び出てくるヌラヌラの寄生虫はどうやら俺達に狙いを定めたらしい。逃げても逃げても追いかけてくる。特にブジーが執拗に攻撃されている。
「クソ、また髪をイカれた!」
走りながら振り返るとブジーの頭はまだら禿げになっていた。どうやら寄生虫のヌラヌラの部分に触れると髪の毛が溶けるらしい。なんて恐ろしいんだ! いざとなったらブジーを盾にして逃げよう。
「よし、次の角を曲がればダンジョンの壁の色も変わる筈だ! そこまでは追って来ないだろう!」
「はぁはぁ、頼むぜ……」
明らかにブジーがバテてきている。あの巨体だ。スタミナはないのだろう。そろそろなんとかしないとヤバそうだ。
「ギャギャギャ!」
そんな時、曲がり角から一体のゴブリンが出てきた。もうこの辺はゴブリン地区なのか? 助かった。こんなにもゴブリンを愛おしく思ったことはないぜ。
「死んどけ!」
急に元気になったブジーがゴブリンに向かって大上段に剣を構えたその時──。
ニュルン。
「やばい、来るぞ!」
「!!」
ドンッ! と音がしてブジーの背後の壁から寄生虫が出てきた!
「ヒッ!!」
紙一重で躱すと寄生虫はゴブリンに向かって飛んでいく。
「ギャ! ンギャン、ゴクン……」
「「!!!!」」
ゴブリンの奴、飛んできた寄生虫を飲み込みやがった!!
「「……」」
これはどうなるんだ? 助かったのか? ゴブリンは立ったまま動かない。
「おい、ベン。どうする?」
「放っておこう。下手に斬って寄生虫が出て来たら困る」
「そうだな。行こ──」
ボコボコボコボコッ!!
突然、ゴブリンの体が激しく痙攣し、皮膚の下を何かがのたうち回った。その数は1匹ではない。最低でも10匹、いや20匹はいる!
「……やばくないか?」
「あぁ、やばいな。ゴブリンの体の中で寄生虫が増えたみたいだ。今にも皮膚を突き破って──」
ニュルン。
「ギ、ャ、ギ、ャ、ギ、ャ」
ゴブリンの両耳から触手──寄生虫──が見える。なんて醜悪なんだ。
「しょ、触手ゴブリンだぁぁぁ!!」
ブジーは剣を放り投げて逃げ出した。剣士が剣を離してどうする。恐怖でおかしくなったな。
「ギ、ャ、ギ、ャ、ギ、ャ」
鼻からも触手が出てきた! これは無理だ! 逃げよう!!
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