【 第7話: お姫様? 】


「うぅぅぅ……」

「(や、やべっ……、ちょっと強く言い過ぎちゃったかな……?)」


 そこへ、突然、大きな木の裏に隠れていた、馬に乗った騎士のような姿をした男が現れた。


『ヒヒ~ン! パカパカパカ、ザザ~ッ!!』


「姫!! 大丈夫でございますか!! 貴様、我『ニヤ国』の『ミャー姫』に何をした!!」

「な、な、な、何だぁ……?」


 俺はビビッていた……。

 この立派な馬に乗った男は、大きな剣を腰にあるソードベルトから、スラリと抜くと、俺の首元辺りにやった。


「お、お、俺は、何もしてない……」

「していない訳ないだろう!! 姫は泣いていらっしゃる!! 貴様が、何かしたに違いない!!」

「してない、してない……、指一本触れて無い……。本当だ……、ミャーに聞いてくれ……」

「貴様ぁ~!! ミャー姫に向かって、呼び捨てとは、許さん!!」


 その騎士のような男は、剣を大きく振りかぶった。

 俺はもうやられると思った……。


 しかし、その時、ミャーが突然俺の前に来て、背を向けながら両手を広げて、その男にこう叫んだ。


「グリフ、やめて!! このお方は、ミャーのフィアンセなの!!」

「えっ!? ひ、姫……、今何と……?」


「タローはミャーのフィアンセよ!!」

「ひ、姫のフィアンセですか……?」

「そう! ミャーのフィアンセ……。だから、お願い! その剣を元のさやに収めて!」

「こ、これは、大変失礼致しました……。ミャー姫……」


 男は、そう言うと、その大きな剣を、ゆっくりと腰元の鞘に収めた。

 ミャーは、俺の方へ振り返ると、涙目になりながら、いきなり俺に抱きついた。


「タロー、良かった……、無事で……。ふぅぅぅ……」


 彼女は、俺の胸で泣いていた。

 俺には、何が何だかこの状況が全く飲み込めていなかった……。



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