8話 ガントレット

入学から1週間が経ち。放課後鍛冶屋に向かう。


ガチャ

「出来てるよ。ほら受け取りな。」

「トットさん。ありがとうございます。」

真っ黒のガントレットをライムは、右手に装着する。

「何に使うんだい。ライムの坊ちゃんは、殴ったりはしないんだろ?」

「こう使う。マグネット化」

右手のガントレットが磁石に変化する。近くにあった剣や盾などがガントレットにくっつき、腕が2倍くらいになった。

「スクラップアーム」

トットが口を大きく開けて固まる。

「それ、スクラップじゃないんだけど。」

マグネット化を解除して。集めた剣や盾を元の場所に戻す。店をめちゃくちゃにして申し訳ございません。

「トットさん。また作って貰いたいものがあるんだけど。」

「次はお金取るよ。」

「大丈夫。お金ならある程度ある。」

お父さんに入学祝いで、10万キャット渡されたからな。

「銅線って作れる?」

「銅線ってなんじゃい?」

どうやらトットさんは、銅線を知らないみたいだ。

「銅のはりがね、糸みたいなやつ。」

「あー、昔流行った止め具だね。50mで1200キャットとだけど1000キャットでいいよ。売れ残りだからね。」

発電という文化が無いから銅線は、必要ないのか。この世界は、電気の代わりを魔石で補い。独自の文化が発展していた。

「あるだけ全部ください。」


一万キャット分の銅線を買って寮に戻る。

これで研究が捗るだろう。


時は進み1ヶ月後。

「えーSSクラス皆さん。明日から初心者用ダンジョンが、解放されます。パーティを組むか、ソロで攻略するのも自由です。それでは、解散。」


俺はソロで良いかな。てか、ソロ以外の道がないんだ。いつの間にかぼっちになっていた。ボンゴはレネは仲直りが上手くいったらしい。付き合ってるんじゃないかって位、仲良くなってやがる。

エドモンド ラムプトン レネ ボンゴ

このメンバーで【冒険者ギルド】にパーティを設立した。パーティは、4人までだ。

俺も誘われては居たが、武器開発があって断っていた。自業自得だ。

ユマとルナは、双子でいつも一緒に居る。

話すことも無いので、一度も話したことがない。


放課後ライムは鍛冶屋に向かう。

武器開発が思う様に行かず、トットさんと共同開発する様になった。一人で開発にするより断然効率がいい。現在。トットさんからお使いを頼まれてシュークリームを買っていっている。

シュークリームのお店に見慣れた2人が並んでいた。ユマとルナだ。

「ライムだ。」「ライムだね」

「こんばんは」

「こんばんは?」「こんばんは」

挨拶を終えてシュークリームを買い、その場から離れようとする。

「まって?」「待って」

んにゃ?

「どうしたの?」

「私たち弱い。」「でも役に立つ」

たしかユマのユニークスキルは、マッピング

ルナは医学だったな。確かに戦闘面だけ見たら大変そうだ。

「ライム強い。」「ライム必要。」

何故だ。戦ってる所を一度も見せたことないのに。

「僕は強くないよ。」

「鍛冶屋の庭。」「見た。」

鍛冶屋で見られたのか。試し打ちなど色々させてもらってるから、見られても可笑しくないな、これからは気をつけよう。

「わかった。明日はよろしくな。」

「よろしく?」「よろしく」


店を離れて鍛冶屋に戻る。

「トットさーん。シュークリーム買ってきたよー」

「そこに置いといてくれー。」


トットさんは、マグネット武器の製作に取り組んでいた。トットさんは手を止め、ライムに新兵器を渡す。

「1日3回までしか使えない。威力は、抜群だ。

チャージに12時間。もっと硬い素材が有れば、この武器は強化できるだろう。しかし明日からダンジョンなのだろう?持っていけ。」

さすがトットさん。仕事が早い。

「ありがとう。」

ライムは、新武器を受け取り寮に帰るのだった。


明日のダンジョンの準備に入る。

「明日は初めてのダンジョンだ。忘れ物がない様にしなければ。」

ライムは気持ちが昂っていた。

準備が終わり、布団に入る。

、、、、、。

寝れない。

全然寝れる気がしない。

ライムは散歩をすることにした。

夜の街は、とても静かで別世界にいるみたいだ。

街の中央にある噴水に、1人の男性がいた。


「あぁ憎い。この世界はなんて、醜いのだろう。」

男性を目が合う。俺は急いで目を逸らすが謎の男性に話しかけられる。

「恥ずかしい所を見られてしまったな。誰も居ないと思っていたのに、子供が来るなんて、」

「あっ、俺は何も聞いていません。」

なんかやばそうな思想の持ち主っぽいので、関わらない様にしよう。

「来月。お芝居の公演があってね。此処で練習してたんだ。」

危ない人では無いみたいだ。

「これ、チケット。もし良かったら見に来てね。」

男性は、チケットを渡してその場を去った。


んー。気が向いたら見にいってみるか。

散歩を終え

ライムは寮に戻り眠るのであった。



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