7話 入学式


「新入生代表。ライム・クロム」


「はい!」


「新緑が日にあざやかに映る季節となるなか、僕たちは今日、このダンジョン学園の門をくぐりました。真新しい制服を身にまとい、これからの学園生活への期待や希望に胸を膨らませております。本日は、このような形になってしまいましたが、私たち新入生の為に式を挙げて頂き誠にありがとうございます。

 これからの四年間ダンジョン学園で過ごす日々の中で勉学はもちろん、部活動、生徒会活動においても積極的に取り組み、ダンジョン学園に貢献できるよう努め、新たな経験を通し多くの事を得たいと思います。

 また、新たな経験をしていくにあたり、壁にぶつかり、前への進み方がわからず立ち止まってしまうことがあると思います。そんな時は諦めるのではなく、仲間と手を取り合い、時には先生方、先輩方、保護者の皆様の力を借りながらも、少しずつ前に進めるよう努力していきます。

 僕たち新入生一同は、ダンジョン学園の生徒としての自覚、誇りを持ち、家族や先生がた、そして今日までダンジョン学園の歴史と伝統を築き、守ってこられた先輩方に恥じることのないよう、一つ一つの行動に責任を持ち、自立した学園生活を送れるよう心がけていきたいと思います。

 それぞれの目標や夢をつかむために、また、まだ目標が見つからない人は自分の目標を見つけるために、日々精進していきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は誠にありがとうございました。


新入生代表 ライム・クロム」


盛大な拍手が巻き起こる。

ステージから降り、ライムは席に戻る。


「生徒代表。アンズ・クロム」


おねぇちゃんがステージに現れる。

はい?なんでおねぇちゃんがそこにいるの?

生徒会長の邪魔してちゃダメだよ。恥ずかしいから自分の席に戻ってよ。うわぁ〜おねぇちゃん俺見てドヤ顔してる。これ悪夢かな?悪夢だよね?


「ライムー。やっと来たわね!来るのが遅いのよ。

来年で私卒業しちゃうわよ。おねぇちゃん、忙しくてあんまり家に帰れなかったけどライムなら、問題ないって確信してたわよ!ようこそ!私の学園へ。

ここでの生活は、かけがえのない時間になる事は間違えないわ。精一杯楽しみなさい!」



おねぇちゃんの話が終わり歓声が巻き起こる。

すごい人気だ。きっとおねぇちゃんが学園生活で積み上げてきた成果のつなのだろう。


入学式が終わり、クラスに向かう事になった。

俺のクラスはSSクラスだ。

SSクラスの教室の前に立つ。何故だろう中が騒がしい。

「貴族でも、此処では平等なはずよ!」

「平民と一緒のクラスで学べるかよ!」

「お嬢さん方、この後デートしませんか?」

「「しない。」」

「みんな。同じクラスなんだから仲良くしようよ。」


はぁ。前途多難だ。入学早々喧嘩してるクラスになんか入りたくない。個性強そうだし。めんどくさそう。


「此処で何してる?早く教室にはいらんか。」

髭の生えたご老人が後ろに立っていた。

あれ、このご老人どっかで見た事あるような、、、

「学園長!!」

「流石首席と言ったところじゃの。ユニークスキル持ちなのに試験を受けただけな事はある。ほれ、話し、これからいくらでもできる。教室に入りたまえ」

学園長に押され、教室に入る。

生徒達が一斉にこっちを向く。あぁ視線がいたい。

誰もいない一番後ろのはじの席に座る。


「よほほ、このクラスはSSクラス。全員がユニークスキル持ちじゃ。ユニークスキルは、指導が難しく学園長みずから教える事になった。喜ぶとよいぞ。」

一部の生徒は、嬉しそうに、また一部の生徒は興味無さそうにしてる。

「学園長!!学園長もユニークスキル持ちと言うのは本当なのでしょうか?」

女子生徒が学園長に質問をする。

「本当じゃよ。わしのユニークスキルは、結界魔法。どんな攻撃が来たって生徒達を守ってやるわい」

「あの噂は、本当だったんだ。」

「質問はもう良いかの?まずは自己紹介してもらおうかの。名前とスキルを、一番手前からどうぞ」

先程の女子生徒が立ち上がる。


「レネ・アンジェリル ユニークスキルは雲魔法。4年間よろしくお願いします。」

女子生徒が座り、次に男子生徒が立ち上がる。


「エドモンド・ヘミングウェイ ユニークスキルは、武器エンチャント。武器の事は任せて」

武器エンチャントは、生産系なのかな?


「ボンゴ・オンディンバ ユニークスキルはバーサーカー。そこの女以外は仲良く頼む」

レネに指を刺し、喧嘩腰だ。流石はバーサーカー。


「ラムプトン・クレメンズ ユニークスキルは、念話。連絡手段は任せてな!」

茶髪のチャラメガネ。


「ユマ・ローズ ユニークスキル医学。」

「ルナ・ローズ ユニークスキルマッピング。」

髪色が違うだけで、同じ顔をしている。多分双子だろう。髪型も同じだからかなり仲が良いのだろう。

ボブは、大好きです。


おっと俺の番か。

「ライム・クロム ユニークスキルはマグネット化

よろしく頼むよ。」

学園長から補足が入る。

「知ってると思うが、ライム・クロム君は今年の首席そして、生徒会長の弟さんだ。それじゃ。自己紹介も終わったので、今日は解散だ。授業は明日から、遅れるんじゃないぞ。」

学園長が教室から退出した。


さてと、今日から寮生活だ。男子寮に向かいますか。

「ライム・クロム」

んにゃ?

「ボンゴ・オンディンバ、どうしたんだ?」

「お前、首席なんだろ。頭良いって事だろ?ちょっと面かせや。」

ボンゴに連れ去られ、教室を出て中庭に向かう。

俺、いきなり絡まれる。あちゃ〜まぁいざと言うときは、殴ろう。うん殴ろう。

「で、何かようかな?」

ボンゴは小さな声で呟く。

「仲直りの仕方おしえてください。」

「はい?」

「さっきクラスで喧嘩した。」

「うん知ってる。」

「ライム・クロムは首席、頭が良い。仲直りの仕方知ってる。」

あ〜なるほど。レネと喧嘩して仲直りの方法を探していて首席の俺に尋ねてきたってわけね。

俺もこう言うの苦手なんだよなぁ。喧嘩なんてほとんどした事ないし。

「なんで喧嘩したの?」

「ユニークスキル持ちなのに、自分のスキルを馬鹿にしててムカついた。雲魔法は、雲を起こす以外何もできない無能だって自分で言ってた。平民は、家庭教師が居ないからって言ったら喧嘩になった。」 


なーるーほーどーなー。ボンゴは、言葉足らずだ。

レネは家庭教師が居なかったから、ユニークスキルを使いこなせていないのだろう。俺も家庭教師のありがたみを知っている。平民と言う言葉は、レネの中では禁句なのだろう。この国では貴族がいた。

貴族とは、現在では富裕層と呼ばれている。

貴族と平民の間に大きな溝が生まれ反乱が起こった。国の対策として、貴族の権力を少しだけ落とし、貴族と言う名前を変更して富裕層になった。平民と富裕層の戦いは、終わったとなっている。


「謝ったら許してくれると思うよ。お互い頭に血が上っただけだと思うから。」

「本当か?嫌われてないかな?」

ボンゴ、お前女々しいな。

「本当だ」

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