4話 家庭教師が現れた。
神の祝福が終わり家に帰って来た。とにかく馬車の中が気まずかった。この世界には、磁石と言うものは無く。ライムは持っていたハンカチをマグネットに変えたが、両親はハンカチが鉄になったと思い。ユニークスキル[マグネット化]を生産スキルと勘違いしてしまったらしい。
「生産スキルも立派なスキルだよ。」
「どんなに強くなっても武器が無いと戦えないからな。戦う人を支えてるのは生産スキルだ。」
違うんです。お母さんお父さん。マグネット化は戦闘スキルです。と何度も両親を説得しようとしたが、ライムは生暖かい目で見られるのであった。
それから1週間が経ち。俺にも家庭教師が現れた。
30代くらいの白髪のイケメンお兄さん。
「御高名は伺ってます。ライム様。私し、エレンと申します。」
イケメンお兄さんの名前はエレンというらしい。言葉遣いも丁寧で好印象だ。どこかの執事だろうか?
午前中は、座学。午後は実技らしい。
座学の方は、数学や文字を教わるのだが前世の記憶があり、とことん暇だ。寝てしまって何度叩かれたことか、、。
実技は、さまざまな技を習う。何かに特化させるより。平均的に覚え色んな事に対処出来るようにって事らしい。姉とは、正反対だ。お姉ちゃんはひたすら武術を極めていたが、俺の場合はユニークスキルがよくわかっておらず、何かに特化させてしまうと特化した物が無駄になってしまう可能性があるからだ。
そして今、ひたすら石をマグネットに変えて的に向かって投げている。
「エレンさーん、これって意味あるのー?」
「無いかもしれませんね。」
「はい?」
「辞めてもいいですよ?」
エレンさんは、何事も強制する事も無く辞めたければ辞めていいよの精神だ。俺には、ダンジョン攻略の目標があるので辞めるという選択肢がない。無駄かも知れないが、全力投球をするしか無いのだ。
訓練が終わり、自宅に帰って家族でご飯を食べる。
おねぇちゃんは何しているだろうか。
おねぇちゃんは寮で暮らしているので、会う事は滅多に無くなった。年末に一度帰ってくる程度だ。
「最近森の方にモンスターが出たらしいよ。」
「あらまぁ、怖いわね。」
たわいもない世間話をして、食事が終わり自分の部屋に帰った。
ライムは、マグネット化の研究を進める。
わかっている事は
・生きている者はマグネットに変えることが出来ない。
・死骸なら、マグネットに変えることが出来る。
・鉄にくっつく事
・マグネットには二種類存在すること
マグネットには、S極、N極があり両方とも鉄を引き寄せる。または鉄にくっつく性質がある。S極は、N極と強く引きつけ合い、N極はS極を強く引きつけ合う。S極とS極だと弾き合う性質があり。N極とN極でもおんなじだ。この性質を利用して武器の開発を進める。時間は、掛かるだろうが地道に作っていこう。
月日は、更に流れ2年と7ヶ月。
朝ごはんを食べ、家庭教師の授業を受ける。今日が家庭教師の最終日だ。午前中の授業は、最初と比べて更に難しくなり様々な言語の勉強をしていた。午後の授業は、ランニングや筋トレが主になった。体は細いが30キロくらいなら、片手で持ち上げられる。トレーニングの成果だろう。トレーニングが終わりエレン先生とご飯を食べに行く事に。
「せんせーい。居酒屋は、僕には早いと思うのですが、、、」
「大丈夫ですよ。お酒は飲めませんがご飯は、美味しいですよ。」
店に入り、唐揚げや焼き鳥を頼んだ。酔っ払いが多くてかなり騒がしい。
「おいおい 子連れで来ていい場所じゃねぇーぞ。」
知らないおっさんが話しかけて来る。おっさんは俺の隣に座り酒を頼む。
「俺にもなぁ、お前さんと歳の近い娘がいるんだけど。天使みたいに可愛いのにさぁ。最近はおとんと一緒に歩きたくないって言うんだぜ。ひでぇーよなぁ。」
「ユーリス。俺の教え子に構うんじゃねぇーよ。」
「ケッ。お前が先生なんてツラじゃねぇーだろ。」
「先生は、いい家庭教師でしたよ。」
訓練は鬼畜だったけど。俺じゃなきゃ死んでたね。
俺を崖からつき落としてサバイバルとか、先生がしていい事じゃ無い。
「家庭教師だぁぁ?エレン富裕層嫌いじゃなかったか?」
「気が変わったんだよ」
先生が富裕層嫌いってどう言う事だ?
「どういうこと?」
「坊ちゃんには、わからねぇかも知れねぇが。家庭教師を持てるのは金に余裕があるやつだけだ。金に余裕がある奴は、金になりそうな奴には容赦しねぇ。誘拐や殺人。自分の地位を守るためになんだってするんだぜ。エレンはなぁ」
「おいっ。ユーリス」
先生がユーリスの話を止める。
「ライム、お前は自由に生きろ。色々な物を見て、色んな事を知れ。そして、この世界の仕組みを理解した時、ライムがどう動くか俺はそれが知りたい。」
先生は酔っ払いながら話してくれた。
店を出て自宅に帰る。部屋に戻り武器を取り出した。長年研究を重ねた武器が完成したのだ。武器を持ち、家を出て寝静まった街を抜けて森に向かうのだった。
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