2話 ベイビーベイビー


「おぎゃおぎゃおぎゃおぎゃ。」

ただいま絶賛大泣き中。生まれた瞬間はどうやら全身に痛みを感じるらしい。赤子も大変だ。おっとっと怪しげな男に抱き抱えられる。なんと言うイケメンだ。少しチャラそうに見えるが髪色のせいだろう。金髪ですもの。顔が整ってて、金髪はチャラ男以外あり得ません。

「ライム お前の名前はライムだ。」

ありゃ〜この怪しげな男は、僕のお父さんでしたか。失礼、失礼。お父さん俺からよろしくお願いします。


「お母さんに似て、すごく綺麗だ。」

「あらあら、キリッとした目なんかお父さんにそっくりですよ。」

お母さん!いや〜こりゃ美人だ。お父さんずるいっす。どうやら、話を聞いていると目の色はお母さんのブルーブラックで、形はお父さんに似ているらしい。俺もイケメンに産まれたのだろう。なんせお父さんとお母さんが美形なのでな!イケメンじゃ無いはず無いだろう。


おっとっと、なんだか眠くなってきてしまった。

俺はまだ、赤ちゃんだからな。体力はないのだ。おやすみなさい。


目を覚ますとベビーベッドの上にいた。部屋はとても広く。辺りを見回すと可愛いお嬢ちゃんがいた。お嬢さんおはようございます。お嬢ちゃんが目をパチパチしている。あら、可愛い。


「ママーライムが起きたよーー!!!」


お嬢ちゃんが大きな声でママを呼ぶ。お願いもう少し小さな声で話してほしい。頭に響く。俺泣いちゃうよ。俺泣いちゃうよ。

「おぎゃぁぁぁぁ。」

ほら泣いちゃった。赤ちゃんが泣くのは、生理現象とおんなじだから自分の意思で止められないの。お嬢ちゃんそんな泣きそうな顔しないで、わざとじゃないの、困らせようって訳じゃないのごめんね。


俺が泣いているとお母さんが現れる。そして俺はお母さんに抱き抱えられた。なにこれ、気持ちいい。

「アンズ、赤ちゃんの前で大声出しちゃダメよ。」

「ごめんなさい。弟ができたのが嬉しくて。」

お母さんが、優しくアンズを叱る。


このお嬢ちゃんは、どうやらお姉ちゃんらしい。お母さんに似て顔が整っているが、幼さも感じる。絶世の美女と言っても過言じゃないだろう。


それから月日が流れる事はや2年。

なんと俺は自分で歩くことが出来る様になったのだ。2年間何もしていなかった訳ではない。この世界の情報収集に努めた。いや〜なんにもわからん。我が家が、周りより裕福である事。それと、魔法がある事。5歳になると教会に行き、スキルを貰えるらしい。我が姉、アンズが5歳になりスキルを手に入れたと自慢していた。アンズのスキルは風魔法。

風魔法の中でも珍しい自分を浮かすことの出来る系統らしい。風魔法と言ってもいくつもの分類に分かれているらしく、風を飛ばすのは、放出系。風を纏うのが、強化系と言われている。放出系は、集団に強く。強化系は対面に強い。俺は何になるだろうか。

アンズが5歳になり。家庭教師が我が家に参入した。あまり会ったことが無かったが美女だった事は覚えている。どうやらスキルの使い方を学んでいるようだ。アンズはスキルを使うセンスが良いらしくどんどんスキルの技をマスターして行った。あっ家庭教師に勝った。アンズの姉御ぱないっす。


「ライムー。先生弱いしつまらないわ、私と遊びましょ!」

アンズが俺を遊びに誘う。おねぇちゃん。先生弱いって言ったらダメだよ。ほら、先生泣いちゃうよ。

アンズは、俺の手を引っ張り書籍に向かった。一冊の本を取り出し読み聞かせをしてくれた。


「ダンジョン。ダンジョンの最下層には、ダンジョンマスターが残したお宝があるらしい。ダンジョンにはランクがあり、SSSランクの最下層に誰も手にしたことのないお宝をダンジョンマスターが隠した。

そのお宝を手に入れたものは、この世の全てを手に入れると言われている。」


アンズが生き生きと話す。

「私は12歳になったらダンジョンの最下層部を目指すわ!家族とお別れするのは辛いけど、必ず戻ってくるわ。ライムはどうする?」


ダンジョン攻略。俺も一緒に行きたい。せっかくこの世界に生まれて来たのだから楽しまなきゃ損だよな。俺には、この世界に産まれて夢ができた。その夢を叶えるためにもダンジョン攻略が、近道になるはずだ。


「あい!」

俺もダンジョンに行くと言う意思を伝える。


「じゃぁ今日からライムと私はライバルね!

負けないわよ。」


アンズとライムは拳を合わせるのであった。

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