【悪魔の絶頂】第44話 快楽地獄を脱げ出す道標

「ギシィ~、ギュィ~、ギュ~、ギィ、ギィ…、…、…。」


 やっと501号室からベットの軋む音が消え落ちた。


 男はこっちに尻を向け、菊紋をヒクヒクと弾きつかせ、白い濁った汁を滴らし、陰茎を咥えている淫口を見ながら、両親指で女の尻をそっと持ち浮かせ、陰茎を引き抜いた。


 女は蛙のように脚を広げ、腰を浮かしたまま、うつ伏せに顔からベットに埋まった。


 男はベットからゆっくりと立ち上がり、洗面所に行き、顔を洗った。


 時刻は午後10時を回っていた。


 女が501号室を訪れてから、8時間が経過していた。


 女はまたしても完膚なきまでに男に逝かされた。


 100回は逝っただろうか?


 いや、それ以上かも知れない。


 正に生き地獄、快楽地獄を呈していた。


「も、もう、し、死んじゃう、もう、もう、許してぇ~、あっ、あぅ、ま、また、イクゥ~、死んじゃうよぉ~、死んじゃう!」と


 そう叫び逝き果て、痙攣し、男の脚を枕代わりに顔を押し付け、か細い呼吸をしながら、意識を落としていくのだが、


 男にその白く丸く淫靡な尻を掌で「ピシャ、ピシャ」と叩かれると、


 ゾンビの如く起き上がり、男の凶器を淫口で確と咥え直し、卑猥な菊紋を男に見せびらかすよう、ひくつかせ、餅つきをするよう、丸く白い尻を上下に激しくグラインドさせ、


 そして、何度も同じように、壊れたビデオレコーダーを見るよう、自分勝手に、


「あっ、あっ、も、も、もう、ダメェ~、し、し、死んじゃうよぉ~、い、い、イクゥ~~」と叫び、痙攣し、失神するのであった。


 男は顔を洗い終わると、ベットに戻り、惨めに尻だけ浮かせ、蛙のようにうつ伏せに気絶している女の前に座り、ベットサイドからウイスキーを掴み、一飲みし、そして、残り僅かな抗うつ剤の入った瓶を掴み、2、3個指で掬い掴むと、無造作に口に放り込み、そして、ウイスキーで胃に送った。


 部屋の四隅の一角に死神が鎮座していた。


 死神は何も言わず、快楽地獄の立会人かであるように、龍眼を青く光らせていた。


 男は女の哀れな尻に向かって言った。


「今からが本番だ。呑気にひくついている暇はないぞ。」と


 そう言うと男は、ベットの背もたれにもたれ掛かり、脚を広げた。


 女の尻は時折、小痙攣でプルプル震えていた。


 男が怒鳴った。


「何が欲しいんだ!言ってみろ!」と


 女が「はっ」と意識を取り戻した。


 女はゆっくりと顔上げた。


 女は目の前が壁であることに初めて気づいた。


 そして、女は自分が四つん這いであることを知り、自分の股間を下から覗き込み、その先を見遣った。


 女の視界の先にはあの凶器がそそり立っていた。


 女は慌てて股間から腕を伸ばし、その凶器を強く握りしめると、それに向けて淫口を当てがいい、一旦、尻を上に突き上げると、その反動を使い、ぶすりと腰を沈め込んだ。


 潤沢な愛液が潤滑油となり、散々突かれ、広がっていた淫口は、男の凶器を丸呑みした。


「はぅっ!」と


 女は、苦痛か歓喜か区別の付かぬ叫び声を上げた。


 朦朧とした意識の中、女はゼンマイじかけのオモチャのようにぺたんぺたんと尻を男の下腹に打ち続けた。


「あっ、あっ、いい~、凄い~、き、き、気持ちいぃ~よぉ~、あっ、も、もう、もう逝く、もういっちゃう~」と


 早くも女は休憩後の1回目の天頂を迎えてしまった。


 女はへばり、男の脚に顔を埋め、そして、涎を垂らしながら、男の足の親指を咥え、しゅぶるように舐めた。


 女の淫らな菊紋と淫口は互いに白い濁った汁を滴らせ、パクパクと口を開閉させていた。


 女はこの先も永遠に続くであろう生き地獄にどっぷりと身を委ね、未知なる快感の到来に期待を寄せるよう、その潤んだ瞳から感涙を流し、男の足の親指を咥えた口元は微笑んでいるようにも見えた。


 その時であった。


 女の期待以上の事が生じた。


「あっ、あっ、あぁ~」と


 女は凄まじい膣内の快感に断末魔に似たよがり声を奏でた。


「す、す、凄いぃ~、な、な、なんか、違う~、こ、こんなのぉ、は、は、初めてぇ~、あぁ~」と


 女は無我夢中にシーツを掴み、絶叫しながら、髪の毛を振り乱した。


 女の膣内の膣口に近いスポット


 所謂、「Gスポット」に男の大きく硬い亀頭が蓋をするかのように押し付けられたのだ。


 男は女の最大の弱点を知っていた。


 昔から知っていた。


 このGスポットを亀頭の鎌で掻きむしるよう削ってやると、女は必ず悶え苦しみよがり狂うのを男は知っていた。


 しかし、あの頃と違う。


 今の女は淫獣であり快感の虜


 感度は桁違いに高まっている。


 さらに、抗うつ剤の過剰摂取の副作用か、男の陰茎は硬く巨大化し、特に亀頭部分はコブラのような鎌首に進化していた。


 男の鎌首が容赦なく女のGスポットを削り捲った。


「す、凄い、凄い、本当に、し、死んじゃう、本当に死んじゃう!イクゥ~」と


 女は、鎌首から逃れるようと高く高く尻を突き上げ、淫口から鎌首を吐き出すのと同時に、透明の液体を「プシュー」とシーツにシャワーのように降り注いだ。


 女は潮を吹き、逝き果てた。


 それでも男は容赦しなかった。


 女の腰のくびれを両手で掴むと、男の袂に引き寄せた。


 そして、強靭な腕力で女の両膝下を抱え、子供に小便をさせるよう、女の脚を広げ、後ろ向きに抱っこすると、ずぶりと黒い凶器に女を突き刺しにした。


 「あぅ」と女は唸った。


 そして、男は亀頭でGスポットを探し当てると、そこを拠点に女の腰を上下に動かした。


「あぁ~、イクゥ~、イクゥ~」と


 女は絶頂の言葉しか吐かなくなった。


 男は女が潮を吹く瞬間、女の腰を持ち上げ、小便のように潮を吹かせた。


 それを何回も何回も繰り返すうちに、女は白目を剥き、涎を垂らし、廃人のようになっていった。


 この時を男は狙っていた。


 潮を吹かせ上げた後、男は女を逆向きに抱え直し、ゆっくりとずり落ちるよう仰向けになり、騎乗位で女を突き上げた。


 そして、男の上で狂乱状態の女に叫んだ。


「おい!夫を何故、恨む!」と


 女はこの強烈な快感を男が止めないよう答える。


「あっ、あう、あ、あの人、わ、私を、私を、だ、騙して、つ、付きまとって、い、嫌なのに、嫌なのに~」


 男は動きを止めた。


 女は肩で息をし、静かに語った。


「貴方と別れた後、私、それでも貴方を待ってたの。貴方以外、好きになれなかった。それなのに、夫はしつこくて、しつこくて、何度も何度も断るのに、押しかけて来て。」


「それで付き合ったのか!」


「親も一緒になり、私に、弱った私に、夫を薦めたの。


 気付いたら、周り皆んなが結託してたの…


あんな卑怯な男と結婚なんかしたくなかった。


 夫を許さない…


 夫を殺したい…」と


 男は、女に対する猜疑心が浮かんだ。


「しつこく詰め寄られたぐらいで、俺を裏切るのか…


 それで、俺を諦め、結婚してしまったのか?


 いや、他に何かある!


 こいつは、まだ、本当の事を隠している…」


 男は再び、女を突き上げ始めた。


「あっ、いぃ~、いいよぉ~、気持ちいいよぉ~、イクゥ~」と女は簡単に逝き果てる。


 男は女の膣深くに陰茎をズブズブと差し入れ、亀頭で子宮を突き始めた。


「あぁ、そ、そ、それぇ~、それぇ~、す、凄い、いく、いく、いく~」と


 女が大きく逝く瞬間、男は陰茎を引き抜いた。


「何で、何で抜くのぉ~、お、お、お願い、突いてぇ~、逝かせてぇ~」と女が泣き叫ぶ。


 男は言った。


「お前はまだ真実を隠している。喋れ、どうして、俺から去ったんだ!」と


「言ったわ!全て言ったわ!夫が私を無理矢理落とし入れたの!」


「他にも何かある!」


「何もないわ!お願い、子宮を突いてぇ~、逝かせて下さい!」


「クソォ~、何を隠してんるだ!クソォ!」


 男は苛立ち、渾身の力で女を突き上げまくった。


 女は口から泡を吹きながら、気絶した。


 男は苛立ちながら、陰茎を引き抜き、女をベットに投げ捨てた。


「こいつ、何かを隠してやがる!」


 そう男は吠えると、煙草を取り、火を付け、ゆっくりと紫煙を吐いた。


 気絶した女の鼻にショート・ホープの独特な香りが漂って来た。


 女はその匂いに意識を取り戻した。


 女は快楽地獄の中でも無意識に本当の別れの理由を言わなかった。


 女は男の母親との一件の事は墓場の隅まで誰にも言わず持って行く覚悟があった。


「あの事だけは言えない。貴方のために、言えない…」


「あれを言ったら、全てを失う。貴方の全てを…、それが怖いの。」


 女の男を想い忍ぶ恋心が、快楽地獄を抜け出す道標となりつつあった。

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