【悪魔の絶頂】第42話 満たしきれない性欲は溢れ出した!

 男は抗うつ剤の入った瓶を眺めていた。


「お前の『怒り』は天頂に達した。」


 男は死神の言葉を思い出した。


 瓶の中の抗うつ剤は、もう底に着きかけていた。


「もう、集める必要はないな。」と男は呟き、瓶から一粒のカプセルを摘み出し、角瓶のキャップを外し、そのキャップの中に器用にカプセルを取り除いた白い粉を入れた。


 そして、そのキャップにウイスキーを丁寧に注ぎ、吸い付くように啜った。


 すると、直ぐに体内が燃えるように熱くなり、目の奥が焼けるように疼くのを感じた。


 さらに、男の下腹部の下にある凶器は、鋼鉄のように硬くなった。


 男はベットサイドから柳刃で突き刺した、あの写真を掴み、そして、ぼんやりと眺めた。


 男は回想した。1日前の女の狂乱振りを。


「アイツ、死ぬほど逝きやがった。涎を垂らし、汁を漏らし、白眼を剥き、何度も何度も逝きやがった。


 腰を振り続け、咥え込み、締め付け、痙攣しやがった、


 気を失っても、挿れると、よがり声を出しやがる。


 淫乱女だ…


 性欲の塊だ…」と


 男は昔は思い起こさず、今ある女の生活に目を向けた。


「アイツ、かなり欲求不満が溜まってる。


 俺と同じ55歳だ、毎晩、旦那とする歳でもなかろう。


 だが、身体は妖艶だ。


 若い時より潤いがある。


 尻もまん丸で張りがあった。


 手入れしてると言っただけのことはある。


 中も潤ってた。


 俺のに絡みつくよう締め付けていた。


 薬と酒がなければ、俺の方が逝かされていた。」と


 男はあの歳で妖艶でセクシャルな身体を維持している、いや、より淫靡なメスとなっている女に疑問を持った。


「アイツ、旦那を愛してないな。


 旦那に身体が満足しないだけではなく、旦那を避けてる。


 身体を触らせてない。


 アイツ、ずっと長い間、抱かれてないな…」


 男はそう思うと、あの女の叫び声を思い浮かべた。


「主人が憎い。主人を殺して!」


 男は思った。


「本当に好きでなく結婚したのか?


 医者、エリートを選んで、俺から去ったんじゃないのか?」と


 男は女の淫乱振りに、逆に女の覚悟を感じた。


「俺のを頬擦りし、咥え込む。我慢できず、俺の上に跨ぎ腰を沈める。


 昔はあんなに積極的に求めて来なかった。


 アイツ、俺の夢と違うんだ。


 快感を与えられていなかったんだ。


 俺に愛と同じくらい性的な快感を求めている。

 

 アイツの恨み、旦那への恨み、聞いてやるのも一理ある。」と


 その時、部屋の北窓からゴォーゴォーといった風の吹き荒れる音が聞こえた。


「帰ってきたな。」


 男が呟いた。


 すると、天井四隅の一点から死神の青い筋の光が広がり、


 ドス黒い灰色の雲を纏った龍


 死神が登場した。


「どうだった?」と男が死神に声を掛けた。


「完全に飢えている。女は盛りのついた雌犬以下だ。


 あれほどお前に散々突かれ、逝かされたくせに、まだ物足りないよう自分で淫部を弄っておったわ!」と


 死神が淡々と様子を語った。


「お前が取り憑いたからじゃないのか?」と男が牽制すると、


「うむ、俺も最初は女を淫獣に仕立てあげるため取り憑いた。


 だが、女の「淫」の念は凄まじい。


 女の念は、憎しみと渇望だ。」


 こう死神は言い終えると四隅の点に消えて行った。


 男は思った。


「やはり、渇望か…、アイツは、飢えてる。愛と快感に飢えてる。俺の推測と同じだ。


 アイツに小細工は必要ないな。


 楽になったぜ。」と


 男はニヤリと笑いベットに横になり、ショート・ホープを一本掴み、火を付けた。


 2、3服した時だった。


 ベットサイドの男のスマホが光った。


「案の定だ。」と男は言い、スマホを覗き込んだ。


「今日も昼からそちらに行きます。」


 女からのショートメールであった。


 男はこう返信した。


「旦那は大丈夫か。」と


 暫くして、こう返してきた。


「貴方を疑ってる。」と


「他に何て言われた?」


「貴方と寝たのか?と聞かれた。」


「何と答えたのか?」


「答えてない。」


「それでも来るのか?」


「離婚は絶対しないと言ってる。」


「離婚したいのか?お前は?」


「したい。」


「何時に来る?」


「今からマンションを出ます。」


 こうやり取りした後、男は女を文字で焦らした。


「来てもしてあげないぞ。それでも来るのか?」と


 女のテンポの良い返信は途絶えた。


 5分くらいした時、女からの返信が来た。


「LINE ID0228」


 男は卑猥な内容をショートメールで避ける女の気持ちを汲み、LINEに女のIDを打ち込み、友達追加した。


 女のアイコンは猫の顔の画像であった。


 男のアイコンは初期画面のままであった。


 直ぐに女からのトークが入って来た。


「愛してる。だから、いっぱい愛して。もっと、もっと感じさせて。」と


 男はLINEで答えた。


「どうして欲しい?」と


 女のトークは瞬時に反応する。


「虐めて欲しい。もっと、もっと虐めて。」と


 男は焦らす。


「何もしない。」と


「お願い。してください。お願いです。」


「何をして欲しいのか、はっきり言え。」


「虐めて欲しい。私のお○ん○、いっぱい、貴方のお○ん○んで虐めてください。」


 男は驚いた。


 昔、焦らしても焦らしても、性器を淫語で口にすることだけは頑なに拒んでいた女が、あからさまに明瞭と書き込んで来た。


 男は試した。


「言葉でもそう言えるか?」と


 女のトークは素早かった。


「大丈夫です。言えます。」と


 そして、男が返信する間もなく、いやらしく下品なトークを女は書き込んで来た。


【貴方のお○ん○ん、凄いの。夫のとは違うの。貴方のお○ん○んに私のお○ん○壊れるほど感じるの。奥も疼く。貴方の大きなお○ん○んで叩いて欲しく今も疼くの。お願い。私のお○ん○、いっぱい、いっぱい、削って、いっぱい、いっぱい、突いて。いっぱい、いっぱい、虐めて。お願いします。】


 男はニタニタ笑い、こう思った。


「飢えてやがる。満たしきれない性欲が溢れ出しやがったな。さすが、ツインレイ、俺の片割れ。本性を曝け出しやがった。」と


 そして、こう返信した。


「すぐに来い!また、気絶させてやる!」と

 


 


 

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