第35話 試験の結果と落ちこぼれ



「どういうことだ……これはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 中級魔術師になれるかどうかの試験結果が張り出された掲示板の前で絶叫する男が一人。


 その一派も同じように中級魔術師に昇格できないようで、おろおろと狼狽えている。


「ミディア、ジャスミンさん、行こう。初級魔術師最後の授業だ」


「え……えぇ」


「うんっ!」


 ジャスミンは戸惑いの表情を浮かべている。それもその筈、あのフールドが中級魔術師試験に落ちたのだから。


「はっ。き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 俺の声に反応したのか、それとも姉の声に反応したのか、激昂しているフールドがこちらに近づいてくる。


 そして怒りに身を任せたまま俺の胸倉をつかんできた。


「なんだよ?」


「何だよ? だと貴様ぁぁぁぁぁぁ! 下民の分際で何をしたぁぁぁぁ!?」


「何をって? 俺が何かできるわけないじゃないか。どこぞのお偉い貴族のお坊ちゃんと違って」


「何だと!?!?!」


「タロイ・タエス。お前が糞みたいなお父さんの力を使って自分の言いなり人形にしていた哀れな男の名前。なぁ? どうだった? 一時でも教師よりもえらくなっていた気分は?」


「っっっ! 何なんだ!? 貴様は一体何をしたんだぁ!?」


「何って、自分でよく考えろよ」


 先ほどから胸ぐらをつかんでいた手を剥がす。


「果たして本当に中級魔術師に上がる『資格』ってやつがあるのかをな?」


「っっっ!!!! くそがぁぁぁぁぁぁ!!!」


 歩き出す俺たち。倒れ込むフールド。


 その劈くような絶叫はしばらく辺りに響いていた。




第一章 初級魔術師編 完。


——————


この作品を面白い!と思っていただけたり、続きが気になる!と思っていただけた方の中で気が向いた方がもしいらっしゃったら、作者のやる気にもつながりますので、お星様をよろしくお願いします。




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