閑話休題 食堂の天使たち(一人の不純物あり)


 入学式の朝。他の一般生、特に中級魔術師、高級魔術師たちは何気ない朝を迎え、いつも通り食堂の朝食を取っていた。


 そして、そんな何の変哲もないその日に、食堂に来ていた魔術師たちは二人の天使を見たという。ただし一人の拳には血が少しついていたが、そんなことは気にならないほど黄金色に輝くような光を放つ二人。一人はブロンドショートに綺麗な深緑の瞳を持ち、もう一人はつややかな黒髪ロングに、六歳には見えない整った顔立ちの少女天使二人を。


「おい、あれ、だれだよ」


「知るかよ……いや、でも黒髪の方は、あれじゃないか? あの、エスティア家のお嬢様」


「まじか……俺知らなかった、ということは隣にいる子もきっとすごい貴族なのか……絶対そうだ」


「うわぁ、あれ初級魔術師だろ? 今日入学だろ? それであのオーラかよぉ。話しかけられないじゃん……ロリコンじゃないけどさ」


 なんて風に天使二人の話は一瞬で食堂内に伝わってゆく。それこそ、食堂の職員さんたちにも。


 そして渦巻く願望。


 とある者は魔術を教える機会を狙うものもいれば、隣の席に座ろうと企む者。普通の生徒よりもちょっと多めにご飯を盛ってあげようと企む者。その他さまざまな企みを持つものが一瞬にしてこの食堂に現れた。


 しかし、それと同時に全員(食堂の職員さん以外)が思った。


(((((後ろの男の子はいつか殺ろう)))))


 と。


 エイドは、知らず知らずのうちに学園内の生徒(特に男子)のヘイトを集めていたのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る