第15話 商工ギルド②

ギルド長さんの案内で解体売り場で魔物を卸しました。コカトリスだけは美味しいので自分達用に残しておいたようです。ミハイルは何でもお見通しですね。そしてギルド長室に案内されお話をしました。


「秘書はん、お茶を持ってきておくんなはれ。」

「はい。畏まりました。ギルド長。」

「ささ、どうぞおかけくださいや。」

「それで聖女様はん、鉄をおもちなんやて?」

「これです。小売りがしやすいように全て同じ規格で1つ1キロにしてあります。」

「この創造主エリス様と言う刻印はどういう意味でっしゃろ?」

「私は鉄が売りたいのではなく、創造主たるエリス様の御名を皆さんに知って欲しいのです。エリス様の名を忘れてしまったこの世界の人々に。それで工夫をしてこういった刻印を付けて売ればいいかと思いまして。」

「なるほど、良い考えでおまんな。聖女様はんの御意向はようわかりました。商工ギルドに卸して下されば世界の裏側までも捌いてごらんにいれまっせ。」

「それは頼もしい限りです。ギルド長さん。」

「ワテの事はオウミで結構ですわ。ところで聖女様はん。鉄の他のインゴットはありますのん?」

「鉱物資源なら何でも地中から産み出せますが、この世界に存在する総量は変わりません。例えば一番多く存在する鉄は多く、希少な金は少ないと言う感じです。」


そういって私は鉱物抽出魔法で白金と金と銀と胴のインゴットを生み出して見せました。


「おおっ、すごいでんな!まさに神の御業っちゅう奴ですわ。ですが白金や金そして銀も割となんでっけど大量に捌いてしもたら貨幣価値が変わりますよって非常に難しい金属なんですわ。特に白金と金は国と相談しなければあきまへんねん。そのかわり銅は銀の次に魔道具の魔力伝導率が良くてその割に銀より安価でっさかいに大量に使われてましてな。常に需要があるんですわ。銀は高級魔道具に使われるんどす。鉄は不足気味ですよっていくらでも大歓迎でっせ。」

「私も貴金属の出し過ぎは良くないと思っておりました。それならば取りあえず鉄のインゴットを100000本、銅のインゴットを10000本、銀のインゴットは1000本だけ卸す感じでどうですか?」

「毎度おおきに!」


コンコン。


「お茶とお菓子をお持ちしました。どうぞ。」

「まずはおしめしにお茶でも飲んでくださいや。」

「はい、ありがとうございます。」

「それと聖女様はんは土地をお探しなんでしたな?」

「そうです。自分の家を持ってから落ち着いて動きたいものですから。」

「そないな事ならば金に困った貴族の別邸の跡地がちょうど売りに出てますよってそれで如何どす?北の貴族街ではなく中央東の高級住宅街にありまっせ。」

「ミハイル。どうしましょう?」

「貴族の別邸跡地なら広さもあるでしょうし良い物件ですよ。ミスナ様。」

「ではそこをくださいな。オウミさん。」

「いや、ワテ駄菓子屋で飴玉買うみたいに現地も見ず値段も聞かんで土地買う人はじめて見ましたわ。聖女様はんはさすが器が違いまんな。係の者を付けまっさかい案内させ・・いや、ワテが直接ご案内しますわ。」

「ありがとう。オウミさん。早速行ってみたいです。」

「こちらこそおおきに。またいつでもお越しくださいや。ささ、行きまひょ。」


オウミさんに案内されて件の土地に向かいます。ついでなのでクリスタル馬車に乗ってもらいました。



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