第13話 高級なお宿


クリスタル馬車で教えて貰った宿に行きます。当然ですが来ているのは貴族の豪華な馬車ばかりです。その中でも私の馬車は綺麗すぎるので特に目立ってしまいます。このホテルは王都に御屋敷が無い遠方の貴族やお遊びに来た貴族の子弟、他国の貴族が泊まる所なんだそうです。受付に行きますとミハイルが2人の冒険者カードとギルマスの紹介状を手渡します。


「S級冒険者のツチミヤミスナ様とツチミヤミハイル様ですね。係りの者が最上階ロイヤルスイートにご案内します。こちらへどうぞ。」


~~~っ!ミハイル私と同じ姓ですよ同じ姓!チョー嬉しいんですけど!顔が赤くなるのを必死で押さえ涼しげに案内されなくてはいけません。ふうふう。

魔力ゴンドラと言うエレベーターみたいな魔道具で最上階に向かいました。うさっぴちゃんは街に入った時から異空間収納でミハイルが隠しています。魔法生物なので収納可能なのだそうです。私達のお家が出来るまでは我慢してね。そしてお部屋に入りますと・・。


「なかなかいいお部屋ですね。藁にシーツをかけただけの痒そうな布団に寝なければならないかと思いましたが。」

「一般の宿はそうでしょう。さすがに貴族御用達で藁は無いですよ。ミスナ様。」


冒険者ギルドで飲んで食べて来たので今夜はお食事はなしでと言う事になりました。めいめいにお風呂に入ります。寝るまで少し早いのでソファーで2人でくつろいでいます。お風呂上りのミハイルから良い匂いが漂ってきます。ああ・・。


「そういえばミハイル、冒険者ギルドで魔物を卸すのを忘れてしまいましたね。」

「今日はあの騒ぎですから無理でしょう。商工ギルドでも卸せますので明日は其方に行ってみても良いかと思います。ミスナ様。」

「そうですね。これから色々物を売る時もあるでしょうし、そちらも登録できればしたいです。明日は商工ギルドに行きましょう。」

「畏まりました。ミスナ様。それと男の私ではミスナ様の身の回りのお世話が行き届きませんのでメイドを置く事をお勧めします。」

「ミハイルが居れば私は十分幸せです。」

「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、ミスナ様のお着替えをお手伝いしたり下着などを洗濯する者がやはり必要でしょう。私がお洗いしても良いのですが・・。」


~~~~!きゃあああ!ミハイルに下着を洗わせるなんてとんでもない事ですっ!エリス様から頂いた天衣は汚れも破れもしない服なのですが。ミハイルは主人が洗濯や料理をしてはならないと言って私にはさせてくれないのです。ミハイルに脱いだ下着を見られるなんて恥かしくて死んじゃいます。ムリムリ!絶対ムーリ!


「そ、そうですね。ミハイルの言う通りメイドさんくらい居ないと不自然ですね。」

「この世界は物騒ですから戦闘も出来るメイドが良いかと思いますよ。ミスナ様。」


私は砂魔法で石英を抽出しクリスタルゴーレムの上位版クリスタルオートマタを創りました。何が違うかと言いますと命令をこなすだけなのがゴーレムでしてオートマタは自立思考で自分の判断で動けると言う点ですね。要するに人間と変わらない意思があるのです。


「鉱物抽出!クリスタルオートマタ=戦闘メイド!」


無色透明では目立ちすぎるので着色して人間と同じにしました。名前はクレアと名付けました。半袖膝上丈の可愛いミニメイド服にして、メイド服のエプロンには収納をミハイルが付与してくれました。


護身用の武器はチタンブレードのコンバットナイフとサンドガンです。スカートの中に普段は見えないように両足の太ももにベルトで固定し隠しています。


サンドガンと言うのは基本のサンドブリッドを打ち出す自動拳銃でオートマグに似た洗練されたカッコイイフォルムの銃です。通称サンドマグ。弾丸は砂の他に氷や炎などの属性魔法から鉄や鉛、水銀などの鉱物にも対応していて変更すればあらゆるものを打ち出せます。



「ミスナ様。ミハイル様。クレアと申します。これから身の回りのお世話をさせて頂きます。宜しくお願い致します。」

「よろしくね。クレア。」

「はい、ミスナ様。お茶をご用意いたします。」


クレアは早速自立思考して動いてくれました。自分の家を持ったらメイドさんをもっと増やしていきたいですね。


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