第12話 ギルドで酒盛り

ギルマスは気さくな人でお酒を勧めてくださいました。この世界では15歳で成人なので16歳の私でも飲めるそうです。蜂蜜酒を飲んでみましょうか。


「蜂蜜酒って甘いと思ったら甘くないんですね。」

「甘いお酒が良かったですか?ミスナ様。」

「いいえ、香りも良いですのでこれで大丈夫です。」


みんなでお酒とおつまみを食べながらわいわい騒いでいます。最初に来た時より3倍くらい人が増えていますが気のせいでしょうか?


グラス片手にジャックさん達が私達の所へやって来ました。


「おめでとうございます。聖女様に聖人様。冒険者ギルドに案内した甲斐がありました!」

「ありがとうジャックさん。私はFからはじめても良かったのですが・・。」

「何を仰います。聖女様の御力をもってすればすぐにS級ですから同じ事ですよ。俺達もエリス様の御名をあちこちで広めておきますね。」

「それは助かります。案内して頂いたお礼にこれを差し上げましょう。」


私は砂魔法の鉱物探査でチタンを抽出して鉱物造形でハーフプレートアーマーを4つ作りました。もちろんエリス様の紋章付きです。


「聖女様、これは?」

「この金属はチタンと言いまして鉄より軽く丈夫で錆びない優秀な金属なのです。あなたたちが少しでも安全に冒険できるようにと思いまして創りました。どうぞ。」

「「「「ははーっ!これほどの褒美を頂き、あり難き幸せでございます。」」」」


4人は片膝をついて騎士みたいに畏まってハーフプレートアーマーを受け取りました。何か凛々しくなってかっこいいですね4人とも。奥へ行ってピカピカの鎧を身に着けて帰ってきました。


「ジャック、お前たちとんでもない物貰ったな!チタンと言えば高価な上にドワーフですら加工が出来ないと聞く、いまだかつて存在しない鎧だぞ。」

「ジャックさん達前より男前が上がったような?かっこいいです。ぽっ。」

「おいジャック。物とりに気を付けろよ。そんなお宝殺してでも欲しがる奴が出てくるかもしれねえぜ?」

「ふむふむ。これがエリス様の紋章ですか。精緻で見事な創りですね。」

「さすがは我々の創造主たる様エリス様だ。神の御力をこの目で見れた!」

「お前たち、そのお宝に見合う男になれよ!C級じゃかっこ付かねえぞ?精進してせめてB級に上がってこいや。」

「ジャック、お前たちサザナミパーティは今からB級だ。」

「え?何でですか?ギスマスの旦那。」

「お前たちは聖女様の御力を見極め真っ先に冒険者ギルドに案内した。それが功績で無くて何とする?魔物討伐だけが功績じゃないんだぞ。」

「「「「俺達も昇格だってよ!ひゃっほう!」」」」


「お礼にと思ったのですが。チタンの鎧はまずかったでしょうか?」

「これだけのギルドメンバーの証人が居れば大丈夫でしょう。持っていたらそいつが犯罪者確定って事で目立ちすぎますからね。」

「そう言っていただけると安心です。ギルマスさん。」


それからジャックさん達は散々もみくちゃに囲まれてお酒の肴にされたようです。魔物を下した荷車はギルドに寄贈しました。何かのお役に立つでしょう。そしてこのサザナミの4人ジャック、ポール、ザック、ギッシュは精進を重ね後にS級にまで上り詰め冒険者ギルドを代表する重鎮にまで成長するのでした。


夕刻になったので頃合いを見て私たちはお暇しました。宿は貴族御用達の王都で一番の高級ホテルをギルマスさんから紹介してもらいました。通常は王侯貴族しか泊まれないそうなのですがS級冒険者は特別待遇で泊まれるそうなのです。



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