第11話 冒険者ギルド

受付の女の人が男の人を私達の目の前に引っ張るようにして連れて来ました。


「ギルマス、早く。こちらです!」

「なんだなんだ、このお嬢さんが虹色出したって?そっちの兄さんもか?悪いがもう一度かざして見せてくれないか。」

「はい、わかりました。これでいいですか?」

「ギ、ギルマス。魔力値が測定不能でした。どうしましょう?」

「そうか、魔力が高すぎて振り切れたんだな。虹色は全属性もちのマジックマスターと言うクラスだ。エレーナ、2人にS級のカードを作れ。今すぐにだ。」

「え、いきなりS級ですか?それはギルドの規定では無理ですよギルマス。」

「お前は馬鹿か?規定なんか無視しろ。何にでも例外はあるものだ。この国に3人しかいないS級になり得る人材なんだぞ?そんな貴重な人材を指をくわえて逃したら無能呼ばわりされるじゃないか。いいから早く作れ!」

「わ、わかりましたギルマス。早速お作りします。」

「騒がしくてすまないねお嬢さん達。こちらでかけて待っていてくれませんか?」

「ミスナ様。椅子をどうぞ。」

「はい。ありがとうミハイル。」


暫くすると受付の女の人が虹色のカードを2つトレーに乗せてやってきました。


「これがS級専用のギルドカードです。どうぞお受け取りください。」

「ミスナ様。どうぞ。」

「ありがとうミハイル。綺麗な虹色のカードですね。」

「俺も一応S級なんですよ。同じものを持っています。」

「S級には何か制約とかあるのでしょうか?」

「特にはありません。冒険者はあくまで自由でなければならない。期待されて方々から要請はされるかもしれませんが強制でもないのです。試験を受けてなれる等級はAが最高でしてな。国家レベルの危機を救ったとか災害級の魔物を討伐したとか、そういう輝かしい功績がある者しかS級にはなれないんですよ。」

「では、まだ何もしていない私たちは遠慮したほうが良くないですか?」

「俺の目に狂いはないと信じます。あなた方は間違いなくS級、いやそれ以上と見ています。だから遠慮なくS級カードをお持ちください。」

「ギルマスさんがそこまで仰るのならば、ありがたくお受けいたします。」

「それは良かった。聖女様に聖人様。」

「えっ?それはちょっと・・。」

「さあ、2人ものS級冒険者の誕生だ!今日はギルドの驕りだ。みんなでパーッと祝おうじゃないか!」

「「「「「おおおおーーーっ!S級万歳!聖女様!聖人様!」」」」」


あれよあれよと言う間にギルド内の隣接する酒場でどんちゃん騒ぎが始まってしまいました。あれ?どうしてこうなったのでしょう?



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